コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.40 )
日時: 2018/04/03 02:44
名前: Aika (ID: tcaX5Vvk)

Episode30:それでも、 君が好き。




玲奈といる時間は、 ほんと楽しかった。
玲奈とは考え方とか、 価値観とかも似ていて――。
一緒にいて、 楽な相手だった。


なのに。


玲奈と一緒にいても…
脳裏によぎってくるのは。




―――桜の顔だった。




そのたびに、 玲奈への罪悪感でいっぱいになる。




「―――裕樹?どうかした?」




ある日の…デートの帰り道。
俺は、 意を決して。
玲奈と向き合う。



そして、 ゆっくりと口を開く。




「―――ごめん、 やっぱり…俺たち、別れよう」





その言葉に、 玲奈は大きく目を見開く。




それから俺に詰め寄る。





「なんでっ…まだ、付き合って1ヶ月も経ってないよ?なのにっ…」




玲奈が怒りたい気持ちは痛いほどわかる。



だけど。






―――これ以上、 自分の想いを偽りながら玲奈と付き合えない。素直にそう思った。





「ごめん、 じゃあな。今までありがとな」





その場に泣き崩れる玲奈を置いて。
俺は、振り返らずにその場を去る。





瞬間。





曇天模様だった空から大粒の雨が降りだした。






大粒の雨に降られながら。
俺は、当てもなくフラフラと歩く―――。






―――最初は…他の誰かと付き合えば。
こんな報われない恋なんかすぐに忘れられるものだと思ってた。



なのに。




桜と顔を合わせるたびに。
忘れるどころか、 好きが溢れてくる。
目が合うたびに。
鼓動が大きくなる。
触れただけで、心臓が鷲掴みされたかのように苦しくなる―――。


いっそ、 嫌いになれたら楽なのに。
そう感じたりもしたけど、 嫌いになんかなれるはずもない。






桜は、 長谷部が好きなのかもしれない―――。
俺の想いは無意味なものかもしれない。




それでも。






俺は、 やっぱり。







―――誰よりも桜が好きだ。




この想いに気づいたのは、 ほんの最近のことだけど
きっと…気持ちに気づく前から。
思えば、 もっと昔から。

たぶん、 俺は…桜のことが好きだった―――。






だから、 できるなら。
たとえ、 許されない恋だとしても。





俺が桜を、 幸せにしたい―――。







大粒の雨に降られながら、 俺は…強くそう感じた。