コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.53 )
日時: 2018/09/01 02:01
名前: Aika (ID: UPSLFaOv)

Episode40:誓い言。




*志穂 side*



打ち上がる無数の花火を見上げながら―――。
思い出すのは…

あのときの

智也が好きだということを自覚した瞬間のこと―――。


「―――智也…」


それまでは、 別れた彼氏のことが忘れられなかったのに―――。
なのに。





「人の気持ちって…こんな簡単に変わるもの、なのかな―――」




意味もなく、 そんなことを呟いた。
その声は人混みの喧騒と夜空に咲き誇る花火の音に書き消された。





□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■




*桜 side*



―――パンッ…。



「きれー…」
「だなっ」


裕樹さんが花火がよく見える穴場スポットに連れてってくれた。

そこは、 川沿いの場所で屋台からは少し離れているんだけど人通りも少なく落ち着いて花火が見られる感じの場所だった。


「良いところ…連れてきてくれてありがと」



素直にお礼を言うと。



「―――どーも」



少し赤い顔で裕樹さんが照れ臭そうに頭をかいていた。

なんか、 ちょっと可愛いかも。

クスッと、思わず笑ってしまうと。

「なんだよ…なに、笑ってんの?」
「ん~?別に~??」
「ったく…」


裕樹さんはそう呆れたように言葉をこぼしながら
空を見上げて花火を見ていた。

その横顔に…なんとなく目が離せない自分がいた。



―――隣に、 裕樹さんがいて…
いま、一緒に花火を見ている。

こんな日が自分に来るなんて想像もしたことなかったな―――。


ほんと、 いまだに…夢じゃないかって思う―――。





「―――桜?」





裕樹さんの声にハッとして、我に返る。




「あ…ごめん、なに?」
「いや…なんか、ボーッとしてたけど大丈夫か?」



心配そうな顔でそう聞く裕樹さんに、慌てて答える。



「―――大丈夫だよ!」



そう言ったわたしの表情を見て。
裕樹さんも、安心した表情に変わる。



「―――あのさ、 桜」




瞬間。
わたしの手を、 裕樹さんがそっと握ってきた。

その行動に心臓が鷲掴みをされたみたいに、ドキッと高鳴る―――。



「――――ずっと…一緒にいような。来年も再来年も…その先もずっと…」




普段なら言わないような、言葉を裕樹さんが言ってくれたことが…本当に嬉しくて―――。



思わず、 涙がこぼれ落ちた。



涙をみて、 慌てる裕樹さん。




「―――えっ!なんで、泣くんだよ?嫌だった??」




珍しく慌てふためいている、裕樹さんがおかしくて。
わたしは、 涙を目に浮かべたまま…笑顔で口を開いて裕樹さんの言葉を訂正する―――。





「―――違うよ…嬉しくって、 泣いてるの。嫌だなんて思うわけない」





涙をぬぐいながら、さらに言葉を並べる。






「―――何十年先もずっと…わたしは、裕樹さんの隣にいたい」







裕樹さん以外の人なんか、 ありえない。
わたしの一番は…貴方だけなんだよ。
代わりなんか、 考えられないぐらい




わたしは、 貴方が大好き―――。






夏の夜空のした―――。





お互いの気持ちを確かめ合うように







わたしたちは、 キスをした―――。







「―――じゃあ、 約束だからな」
「うん……」


そうやって、お互いに誓いあって

指切りげんまんを交わした…夏の夜の出来事だった―――。










このときは、 この幸せがずっと続くって…





馬鹿みたいに信じてたんだ―――。