コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.54 )
日時: 2018/12/10 03:59
名前: Aika (ID: qsIQOkd3)

Episode41:新学期。





夏の夜空に大輪の花火が咲くなかで。
わたしたちは、 誓った―――。

何年先も、 ずっと隣にいようと約束した。

このときのわたしは、ずっとずっと…大好きな貴方の隣にいられるものだと…そう思っていた。

だけど。



現実はそんなに甘いものじゃない―――。



そんなことをこのときのわたしは…知る由もなかった。



■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■


長い夏休みも終わって…今日から新学期。
結局、あの夏祭りではぐれてから智也と志穂には会わないまま夏休みは終わってしまった。

二人とも元気にしてたかな―――。

そんなことをぼんやりと考えながらいつもの通学路を歩いていると。

目の前に見知った後ろ姿が映る。

ギターケースを背負った…見慣れた男の子の背中―――。
わたしは、その男の子の名前を大きく叫ぶ。


「―――智也~!」


すると。
その声に気がついて、 智也が振りかえる。


「桜っ!おはよ!」


いつもの見慣れた笑顔で、智也は手を振りながらそう言っていた。
わたしも、笑顔を返して智也の元へと駆け寄る。

「久しぶりだね~、 夏祭りの時以来じゃない?あのときは二人していなくなって急にはぐれるからビックリしたよ~」

何気なく、そんな会話をふると。
智也はさっきの笑顔とは一変して無表情になる。

「あー、 そうだな。悪かった」


あれ?
なんか…智也の様子がおかしい気がする―――。
気のせい、 かな。


なぜか、わたしはこのときの智也の様子が気にかかってしまって。


「夏祭りで…何かあった?」


無意識で…こんなことを口走っていた。
何聞いてるんだろう、 わたし。
そう思いながらも…言葉を並べてしまった。


恐る恐る智也の顔を伺うと。
何ともない顔に戻っていて。
あどけない感じで言う。


「―――別になーんも、ないよ。早く学校行こうぜ」



根拠はないけど。
智也の表情や声で…なんとなく、気づいた。



絶対に…何かあったやつだって――。




志穂と…喧嘩とか?



でも、それはない…か。
あの二人って些細な言い合いはするけど、それ以上の喧嘩はしたことないし。


でもでも。
他に思い付くことなんかないしなー…。

なんて考えていると。

気づいたら学校の下駄箱まで来ていて。
志穂と鉢合わせてしまった。



「―――あっ…桜!おは…よ」



わたしに気づいて挨拶をしていた言葉が。
隣にいた智也を見た瞬間に言葉を失う志穂。
わたしは、隣にいた智也に目をやると。
智也はいつものあどけない様子で志穂に向かって言葉をかけていた。


「―――おはよ、志穂」


それから、さっさと上履きに履き替えていた。


「―――おはよ…智也」


志穂も弱々しい声で挨拶を返していた。
それを聞くと智也は優しく笑ってわたしたちを置き去りにしてさっさと教室へと向かっていってしまった。


一連の二人の様子を見て…確信した。








夏祭りの夜に…この二人の間に何かあったことを―――。