コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.57 )
日時: 2019/03/01 00:53
名前: Aika (ID: dRebDXey)

Episode44:秘密の休日。




―――『たとえ、桜が先生を好きだとしても。俺は諦めない』



その言葉に結局何も返せないまま。
その日のわたしは、帰路について気がつけば家にいた。

自分の部屋のベッドにダイブする。

「―――何を…揺れてるんだろ、わたしは」


先生のことが……好きなのに。
智也に揺らいでる自分が情けなかった。

先生といる時間が短くて、不安になっているからだろうか―――?
だとしても、最低すぎる。


ため息をついていると。
不意にスマホの着信が鳴った。
その表示されている名前にわたしは、驚く―――。


―――相田 裕樹


「えっ……嘘」


わたしは、 スマホを手にとって電話に出た。


『あっ……もしもし?桜?』
「ゆっ……裕樹さん、 どうしたの?」


電話とはいえ久しぶりに学校以外で話をしているからか、わたしの声は緊張で震えていた。


『あ…んーと、これといって用はないんだけどさ…桜の声が聞きたくなっただけ、てきな?』

笑いながら、 裕樹さんはそう言っているけど
わたしの顔は途端に熱くなっていた。
電話でよかった―――。

これなら、 照れてるのバレてないし―――。


「もー、 何それー」


照れてるのを隠すように、 取り繕ってそう返した。すると、裕樹さんの笑い声が向こう側から聞こえてくる。
やっぱ、 電話で話すと微妙に声のトーンとか違うよな―――。
なんてことを、ぼんやりと考えていると。

不意に裕樹さんが口を開いた。


『あのさ、桜。 今週の土曜日って予定ある?』
「え、 ないけど…」
『じゃあさ、 デート…しない?』

突然の裕樹さんからのお誘いにわたしは、ビックリした。

「え、 いいの?」
『まぁな!遠出でも大丈夫か?』
「うん、大丈夫ー」
『じゃあ、 決まりな!』

詳細はLINEでやりとりをすることになり、その日の電話は終わった。

「裕樹さんと…デートか」

前回は夏祭りでみんなと一緒だったけど。
今回は、初の二人っきりのデート。
つまり、


ほんとの初デートだ―――。



「楽しみだなー…何着てこうかな」



この日のわたしは、 土曜日が楽しみすぎて
まったく寝つけなかった―――。




■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □


それから、 土曜日―――。



ついに、 デートの日です。




「おまたせっ!」



マンションの下で待っていた裕樹さんの元へそう言って駆け寄る。

「待ったかな?」
「いや、俺もいま来たところだから。じゃあ、行くか」
「うん」

それから、 裕樹さんの車に乗って出発した―――。


そういえば、 裕樹さんの車に乗るのって
すごく久しぶりかも。
中学生の時以来かもしれないな。

なんてことを、ぼんやりと考えていると
不意に裕樹さんが口を開いた。


「服、 可愛いじゃん」
「へ!!?」


まさか、 誉められると思っていなかったので変な声が出た。


隣で運転している裕樹さんを見ると顔が赤く染まっていた。
裕樹さんでも…照れたりするんだな―――。

「あ、 ありがと」

わたしは、うつむきながらそう言った。
それから、気をまぎらわそうと思い話題を変えた。

「とっ…ところで今日はどこに行くの?」
「あー、 遊園地行こうと思って!少し遠いところなんだけど」
「遊園地かー!いいね!楽しみだな~」



そんな感じで他愛のない会話をしながら車の中での時間は流れた―――。



―――車を走らせて2時間。




目的地に到着した。



「わぁー!すごーい!久しぶりの遊園地だー」
「どれから乗ろうか」

マップを見ながら二人で悩む。

と、いうか。
我に返ると、すぐ触れそうな距離に裕樹さんがいることに気づき鼓動が高鳴る。

―――ヤバイ。


鼓動が…苦しいぐらいに高鳴ってる。

「桜?どした、ボーッとして」
「なっ…なんでもない。あ、あれ乗ろうよ」

わたしは、誤魔化したくて
適当な乗り物を指差して裕樹さんの手を引く。

「おっ…おい、桜!お前、ほんとにあれに乗る気かよ!」
「いいのいいの!どれ乗っても楽しいし!」
「けど、お前…怖いの苦手じゃ―――」


裕樹さんの声がこのときのわたしには、まったく届いておらず
そのアトラクションがお化け屋敷だと気づいたのはなんと、わたしたちの番になってからだった―――。

「ぜっ…絶対に手を離さないでねー」
「分かってるよ。お前こそちゃんと掴んでろよなー」
「うっ…うっさいー」

裕樹さんの腕にしがみつきながら、前に進む。
半泣きの状態のわたしに比べ裕樹さんは平然と前へ進んでいた。

怖く、 ないのかな。


「裕樹さんってさー、 お化け屋敷怖くないの?」
「こんなの作り物だろー、全然怖くねぇ」

うっ…さすが、大人だな。
こういうときも、冷静でクールなんだ―――。

なんか、 新しい一面を見つけた気がする。


瞬間。

―――ガタンッ。
急に後ろから物音がして。


「ひぃっ!!!」


わたしは、ビックリして
裕樹さんの体に抱きついてしまった。

それから、数分して何も起きないことを把握してから…改めて今の状況を理解した。

あれ?
わたし、いま…裕樹さんに自分から抱きついてる?
途端に恥ずかしさで顔が赤くなってわたしは離れようとした。


「ごっ…ごめん、 今離れ―――」


すると、 裕樹さんが
さらに強くわたしを抱き締め返してきた。


「―――え?」





何も言わずに、 ただ抱き締める貴方に対して。
わたしも、そっと裕樹さんの背中に腕を回した。
耳元から伝わるのは…裕樹さんの鼓動の音―――。



何ともない様子でいつも、わたしと一緒にいるけど…裕樹さんもこんな風にドキドキしたりするんだ―――。




そんなことを、このときのわたしはぼんやりと考えていた―――。