コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.59 )
日時: 2019/07/24 21:31
名前: Aika (ID: tDifp7KY)

Episode46:黒い感情。





休み明けの月曜日―――――。
わたしは、土曜日の…先生とデートしたときのことを思い出しては、にやけていた。

―――ヤバイ。こんな顔で教室なんか入って行ったら完全に変なやつだよ………。

心の中でそう呟いて、わたしは軽く両手で頬を叩いてから教室へ向かおうとしていた。

その時―――。




不意に…
視界に入ったのは―――。

廊下の窓際で楽しそうに話す女子生徒と…裕樹さんだった――――。




思わずその場に立ち尽くす。


わかってる――――。
裕樹さんは…あくまでも先生として生徒と話しているだけだってこと。
裕樹さんは…わたしのことがちゃんと好きだってこと。

だけど…。
やっぱり、 裕樹さんが他の女の子と仲良く話している姿を見るのは…つらい。

その場から凍りついたように動けなくて、ただ仲良く話している二人の姿を見つめていると。
裕樹さんがこちらに気づいて、目が合ってしまった。
とっさのことに動揺してしまい、わたしは思わず目をそむけてしまった。

それから…逃げるように教室へと入った。

こんな小さなことで、嫉妬してしまう自分に嫌気が差した――――。



*****************************************

―――「ここは、模試とかでも重要になってくるところだから押さえておくように」

現代文の授業中…。
付き合ってからは裕樹さんの授業の時は付き合う前よりも真面目に聞くようになってたけど。

今は…さっきの女子生徒のことでモヤモヤして…授業どころじゃなかった。

あの女の人…。
上履きの色が違ったから、3年の先輩…かな。
すごく大人っぽくて綺麗な人だったな―――。
裕樹さんもやっぱり、ああいう人が好みなのかな。

そうだとしたら…わたしに勝ち目なんかないな―――って、なんでわたしが彼女なのに弱気になってるんだろう。

いかんいかん。
彼女なんだから…もっと、自信持たないと!

「じゃあ…最後にこの間やった小テスト返すぞー」

小テストか―――。
あんまり、自信なかったやつだ。
ヤバイな……。

返される前から気落ちしていると、わたしの名前が呼ばれた。
返事をして、取りに行き自分の席に戻る。
おそるおそる得点を見ると…60点という数字が見えた。
まぁ、赤点を取ってた頃よりかは成長してる、か。
なんて、自己満足な気持ちでいると。
答案用紙の一番最後の問題の隣に何か書いてあるのに気づいた。

『―――今日、元気ないけどなんかあったのか?なんか悩みごとがあるなら今日の夜、電話して。俺でよければ相談に乗るから』

気づかれてることに
ビックリして、顔を上げると。
裕樹さんは、ニコッと微笑んでくれた。

途端に鼓動が大きく高鳴る。



―――裕樹さんは、 仕事中で大変なのに…ちゃんとわたしのこと見てくれてた。

それなのに、わたしは。
小さいことに嫉妬して…ひとりで落ち込んで。
どうしようもないな。





裕樹さんのこと、 もっと…信じなきゃ駄目だよね。




このときのわたしは、固くそう心の中で思っていた。