コメディ・ライト小説(新)
- Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.60 )
- 日時: 2019/09/09 22:23
- 名前: Aika (ID: xbduus1y)
Episode47:残酷な運命。
この時のわたしは…
この関係がずっと続くって馬鹿みたいに信じていた―――――。
現実は…そんな簡単になんかいかないって
分かってたはずなのに―――――。
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その日のお昼休みのことだった。
先程の授業での先生とのやりとりのことを思い出しては…にやけていた。
「どしたの、桜。なんか嬉しそーじゃん」
志穂がお弁当を広げながら何気なく問いかける。
その台詞に
わたしは、はっとして。
「え……顔に出てた?」
「うん。 今もめっちゃにやけてる」
困ったな。
わたしって、そんなに分かりやすいのだろうか。
「な…なんでもないー。ちょっと飲み物買ってくる」
「あ、逃げたー」
そそくさと、背中から聞こえてくる志穂の声に構わず
その場からお財布を片手に持って立ち去った。
さすがに、事情を知っているとはいえ
こんな話をしたら…からかわれそうだし。
そんなことを悶々と考えながら
自販機に向かっている途中だった。
「ねぇ… そこのあなた」
誰かに後ろから話しかけられた。
振りかえると…そこには、朝の時間に裕樹さんと話していた3年生の先輩がいた。
その先輩は…じっと、わたしを見つめていた。
「あの… 何か?」
先輩が何も言わず黙ったままだったので、わたしから問いかけると。
先輩がゆっくりと…口を開いた。
「――――――あなたって… 相田先生と付き合ってるの?」
告げられたのは…耳を疑うような
衝撃のひとことだった。
昼休みの喧騒が…ザワザワと
不快に鳴り響いていた――――――。
ごくっと、唾を飲んでから
わたしは口を開いた。
「わたしたちは…よく誤解されますが、家が隣同士のただの幼馴染みです。小さい頃からずっと一緒にいるので仲良く見えてしまうかもしれませんが…本当にそれ以上の関係なんかじゃありません」
とっさのことで。
思考回路が追いつかなくて。
わたしは、 捲し立てるようにそう言った。
逆に疑われてしまうかもしれないとか思ったが今はまず弁解した方がいい。そう思ったから――――。
「―――――ふーん…ただの幼馴染み、 ねぇ」
そう含みをこめた言い方をする先輩は。
手に持っていたスマホをいじりだして。
わたしに、 先輩のスマホの中に入っていたある写真を突きつけてきた。
それを見た途端。
わたしの心臓はドクッと…大きく跳ねあがる。
それは…
遊園地でデートしたとき…わたしと裕樹さんが仲良く笑い合いながら…手を繋いでいる写真だった。
「――――ただの幼馴染みが… こんな仲良さげに手を繋ぐなんてあるかなー?」
嫌味な感じでそう言ってくる先輩に。
言い返したいけど…言葉が出てこなくて―――――。
わたしは、 黙ったまま…ただその場に立ち尽くすしかなかった。
「このことが学校側に知られたら…アンタも相田先生も…何らかの処分を受けるだろーね」
「わっ…わたしはどうなってもいい!だから…お願いします。先生に迷惑がかかる形にしたくないんです。だから――――――」
わたしが震える声でそう言うと。
その先輩はにやっと笑みを浮かべながら。
口を開いた。
「そーだよねー…あたしも相田先生のこと好きだしー、やめられたら嫌なんだよね~。だからさ、 あたしの言うことを聞いてくれたら…今回のことは水に流してあげる」
「え――――?」
先輩はわたしの耳元に口を近づけてきてそっと、ささやいた。
「―――――相田先生と…1週間以内に別れてくれたら、今回のことは誰にも言わない。ただし、もし別れられなかったら…学校側にチクる」
先輩は… そんな条件を出してきた。
わたしは、 何もなす術がなくて。
ただ… その条件を呑むことしかできなかった―――――。
頷くと。
先輩は満足そうに笑って、 わたしの元から去っていった。
わたしは、 力なくその場にしゃがみこんだ。
――――瞳からは、 涙があふれでていた。
本音を言えば… もちろん、別れたくなんかない。でも、 別れないと…裕樹さんが―――――。
「わたし… どうしたらいいの―――――?」
力なく呟いた言葉は、 誰の耳にも届くはずなんかなかった。