コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.61 )
日時: 2019/09/09 23:03
名前: Aika (ID: xbduus1y)

Episode48:大切な二つの宝物。





気持ちをお互いに確かめあって
貴方と結ばれた日―――――。
これからずっと…貴方の隣で笑って、いっしょにいられるとばかり思っていた。

だけど…

やっぱり、 わたしたちは…
結ばれちゃいけなかったんだね―――――――。



神様…。




この恋は… 罪なのでしょうか――――――?






***********************************************


あれから、わたしは。
自販機で飲み物を買っておぼろげな足取りで教室へと向かった。
教室へ入って志穂の元へと向かうと志穂はいつもの感じでわたしに話しかける。


「―――――あ、 桜ー。 遅かったね」
「あー…うん、 ちょっと、 ね」
「なんかあった?」

まだ、何も話していないのに。
志穂の鋭いひとことがわたしの耳に突き刺さる。

「あ…いや、明らかにさっきよりも元気がない感じというか…泣きそうな顔してたからなんかあったのかなーと思って。あたしでよければ聞くよ」


そんな志穂の優しい言葉が胸に響いてきて。
わたしの瞳から… 大粒の涙が零れ落ちてくる。
それを見た志穂はぎょっとしていた。


「え、 何々??どーしたの、桜~。泣かないでー」
「ック…ごめ……」


わたしの涙に周囲がビックリして…クラス中の視線がわたしと志穂に集まってくる。


「おいおい…志穂~。何、泣かしてるんだよー」
「えー、 桜ちゃんどーしたの?」
「平気かー?」

クラスメイトのそんなざわめき声が耳元に入ってくる。
たしかに、これは端から見たら志穂が泣かしてるような絵になってる気がする……。

「えぇー!あたしは、泣かしてないよ~!桜!とりあえず、涙ふこっ!」

志穂も、わたしが急に泣き出したからか、うろたえている感じだ。
志穂がわたわたとしながらハンカチを探している時だった。

誰かが…わたしの手を突然引いてきた。


顔を見上げると。
そこには、 見知った…クラスメイトの姿。



「――――とも…や?」
「ちょっと、話あるから来て」
「え?」


突然のことに頭がついていかなくて…。
わたしは、手を引かれるがまま…智也についていくしかなかった。

「えー?ちょっと、二人とも!あたしを置いてくなー」

後から、志穂も小走りでついてくる形になった。




□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □



連れてこられたのは…屋上だった。


「――――はぁー…ここなら、誰もいないし話せるだろ?」

ニコッと智也がわたしに笑顔を向けてくる。
もしかして…泣いている理由…見透かされてる?

「お前が泣いてたの…相田関係、 だろ?」

はっきりと、 智也はわたしの目を真っ直ぐに見つめながら聞いてくる。
やっぱり… 智也にはなんでもお見通し、 なのかな?
それを聞いて隣にいた志穂が驚いた顔になる。


「え……そーなの?けど、さっきまで嬉しそうにしてたのになんで……」



志穂は、さっきからずっと心配そうにわたしのことを見つめてくる。
二人は…いつでもわたしの見方で…わたしの大切な友達だ。

だからこそ。



今回のことは… 相談できない―――――。




二人に相談して巻き込んで…
二人まであの先輩に嫌がらせをされて傷つく思いをするぐらいならわたし一人が背負った方がマシだ。



「―――――違うから… ただ目にゴミが入っただけだから気にしないで」


そう言って… ニコッと笑う。
上手く… ごまかせたはず。
そう思ったのは束の間だった。


二人は大きくため息を吐いた。



「「―――――嘘、 だろ?(でしょ?)」」



二人が… 口を揃えてそう言った。
わたしは、平静を装いながら聞く。



「なんで……そう、 思うの?」



二人は顔を見合わせながら口を開く。


「なんでって言われてもなー」
「まぁ…中学の時から一緒で付き合いも長いし…なんとなく嘘ついてる時は分かるよ」

優しい顔で二人はわたしのことを見つめながら、さらに言葉を重ねる。

「どーせ桜の事だから俺達を巻き込みたくねーとか思ってるんだろーけどさ。俺は迷惑がかかったっていい。それでも…桜の力になりたいんだよ」
「あたしも!桜にはいつも助けてもらってるし力になりたいな」

二人の優しさに… また、涙がこぼれる。

「あはは…また、泣かせちゃったねー」
「ほら、 涙ふけよ」

二人がハンカチを差し出して。
わたしは、涙をぬぐいながら。
ゆっくりと、 言葉を紡いだ。

「―――――二人とも… ありがとー」





わたしは… 心から。
この先も、 この二人の大切な友達を。
絶対に、 大切にしようと思った――――――――。