コメディ・ライト小説(新)

Re: 罪恋***好きでいてもいいですか?*** ( No.7 )
日時: 2017/04/09 00:48
名前: Aika (ID: a2Kit7un)

Episode4:友達。




―――友達。
そう思っていたのは、 わたしだけだったのかな。


貴方はわたしに何も話してくれない。
それは、 わたしを信頼できないからなのでしょうか?




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―――ピピピピッ…


目覚ましの音で目が覚めた。

「もう、朝か…」

1人、部屋のなかで誰に言うのでもなくポツリと呟いてベッドから起き上がりカーテンを勢いよく開ける。

窓の外からは太陽の眩しい光が入ってきた。
その光に目を細める。

「なんか…懐かしい夢を見てた気がする」

夢の中で…先生と初めて出会ったときのこととか、懐かしい思い出を見てたような…そんな気がするのは、わたしの気のせいだろうか。

そうぼんやりと思いながら制服に着替えて身支度を整えてから勢いよく家を出た。

「行ってきまーす!」



―――わたし、岡崎桜は今日から高校2年生になります。



■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■



「あっ!桜ー!おはよ」

学校につくと、中学からの親友の坂下志穂とバッタリ下駄箱で会い笑顔で挨拶をしてきた。
わたしも、笑顔で返す。

「おはよ、志穂!何組だった?」
「あたしはね、5組だったよー!桜は?」
「うっそ!同じクラス!」
「まじか!超嬉しい!よろしくね」

志穂と同じクラスと知って、不安だった気持ちが少しだけ和らいだ。人見知りの激しいわたしにとって、志穂と同じクラスというのはとても心強い。

志穂は愛想もよくて…さっぱりとした性格でわたしとは違って誰とでもすぐに仲良くなれる。
おまけに、見た目も可愛いから男子ともすぐに仲良くなれるし。ほんとにいつも感心してしまう。
きっと新しいクラスでもすぐに馴染めるんだろうなぁ…。

「あれ?志穂に桜じゃん!」

途端に自分の名前が呼ばれて振り向くと。
そこには、よく知った顔があった。

「智也か。何?あんたも5組なの?」

嫌そうな顔でそう言う志穂。
あからさまなその表情にわたしは苦笑してしまう。

「そうだけど?つか、そこまで嫌そうな顔しなくてもよくね?俺、結構傷つくんですけど」
「そうだよ、志穂。可愛そうだよ」
「いや、別に嫌じゃないけどさー!あたし、智也と中1からずっと同じクラスなんだよ?もう、さすがに勘弁してほしいんだよー」

ああ、なるほど。そういうことか。
たしかにこの2人はずっと同じクラスだったかも。

「そういやぁそうだな。今気づいたわ」

しれっと、そう言う智也にイライラしながら返す志穂。

「あんたは、どんだけあたしに関心ないのよ!」
「いや、別にそういうわけじゃねーけど」

噛みつくように言う志穂に戸惑う智也。
志穂はため息をついて。
それで、にやついた顔でからかうように言う。

「まー!あんたは、誰かさんと同じクラスになることだけが目的なんでしょ、どうせ」
「ばっ…何言ってんだよ、お前は!」

ん?誰かさん?

「志穂、誰かさんって何?」

わたしがそう聞くと。直後、智也が慌て始めた。

「だー!桜は知らなくて良いことなんだ!志穂っ!おめー、ちょっとこっちこい!コラ!」
「痛いなー、引っ張んないでよね」

智也が志穂の制服を引っ張って、ズンズンと歩いて2人でどこかへ消えてしまった。
わたし、1人を取り残して。
何だったんだろう、 誰かさんって?
もしかして、智也の好きな人かな。智也に好きな人がいたなんて初耳だな。
あの様子だときっと志穂は知ってるんだろうな。

なんで。


「智也…わたしには、教えてくれないのかな」


わたしも、 協力したいのにな。智也の恋。
友達だから、 わたしにできることなら何でもしたい。

なんで。
わたしには、 何も話してくれないのかな―――。



「なーんて…わたしじゃ、きっと役にたたないから教えてもらえないんだろうな」


そう1人でボソッと呟いて。足早に教室の方へと向かった。