コメディ・ライト小説(新)
- 第一話 ( No.14 )
- 日時: 2018/03/14 23:38
- 名前: 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM (ID: VhEnEiwQ)
今日は4月10日。入学式、そして始業式の日。
去年は季節外れの雪だったにも関わらず、今年は晴天。桜の木から沢山の花弁がヒラヒラと舞い落ち、辺りは一面桜だらけ。淡い綺麗な色をした絨毯を敷かれたみたいになった地面の上には、クラス発表の紙を待つ沢山の生徒たちの足で埋め尽くされている。
「こはる、おはよう!」
とんとん、と肩を叩かれて振り返ると、そこには中学に入ってから仲良くなったーー杏が手をひらひら振りながら立っていた。春休みの間に長くなった髪をツインテールにしていて、なんだか身長も伸びたみたい。見馴れた彼女が横に立つことで、少し気分は落ち着いてきた。
「杏おはよう! ……ねぇどうしよう、すっごい緊張する……!」
……そう。私も周りの人と同じく、クラス発表の髪を待っている。仲良い子と離れたらどうしよう……そんな思いが昨日から頭の中をぐるぐる回っていて、不安で埋め尽くされていく。中学校生活最後の年。受験もあって、とっても大変だと思うし何より最高の思い出を作りたい。
良い人となれたら良いな……何て思いながら、少し首を捻って辺りを見回す。
「ちょっ、やめろって!」
そうして視界に入り込んだ……いや、入れたのは朝から元気良く友達とじゃれているーー相川 啓。……私の、初恋の人。
風に揺れて跳ねるチョコレート色の髪はとても綺麗で。笑顔が眩しいくらいに素敵で。ーーもし、同じクラスになれたら名前の順近いし隣の席になれたりするのかな。初恋とはいえ、未だにやっぱり気になってしまう。気も合って話しやすいし、もし本当にそうなれば――。
「あっ!」
杏、そして周りの皆が一斉に歓声をあげた。
ーー何事かと思ったら、ついにクラス名簿が発表されたみたい。既に自分の名前を見つけたであろう生徒たちは、喜んだり悲しんだりーーとにかく、叫んでる。
「こはる! 私たち同じクラスだよ!!」
杏が嬉しそうに青色で『3組』と書かれた紙を指差した。
私も確認してみると、確かに杏と私の名前は並んでる。
「良かったー! 今年もよろしくね!!」
ーーなーんて言いながら、私はちゃっかりクラス名簿を見つめてた。
ーー3年3組4番。それが私の出席番号。
ーーそして……。
「あっ俺3組だ」
相川 啓。
目の前の紙には、そう書いてあった。
- 第二話 ( No.15 )
- 日時: 2017/05/17 20:14
- 名前: 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM (ID: fNlXVxWP)
ーーまさか、願いが本当になるなんて。
杏と同じクラスだったのは嬉しいんだけど他に誰がいるんだろう……杏と共に階段を上がり、新しい教室へ足を踏み入れる。
「あっ、来た来た!」
明るい笑顔で駆け寄ってきたのはーーマリンと甘味。私と杏含めこの四人は、一昨年から仲良くなったんだけだけど……今年も同じクラスなんてビックリ!
嬉しさのあまり私は荷物をおいてすぐ三人のもとへ駆け寄った。
「今年もよろしくね~!!」
お互いハイタッチをして笑いあう。
ーー今年はついに受験生になるわけだし、クラスも楽しい方がいいよね。
――あぁそうそう。私の隣の席には……啓が座っていた。とっても嬉しいけどまさか本当になれるなんて。今までの運の無さはここで使われたのか、何て思うほど驚いている。
ーーでも、啓と隣の席になれたとはいえ……話せるかな。私は男子とあまり喋らないタイプだから不安だけど、小学生の時啓とは結構良く話してたし大丈夫だよね……!
*
そんな期待を抱きながら始まった新しい生活。私の前の席が初めて同じクラスになった子で不安だったんだけど、結構フレンドリーな子みたい。
「こはるちゃん、修学旅行楽しもうね!」
くるっと後ろを振り向いて口を開いたのは結愛ちゃん。肩に付かない髪を下ろしていて、明るい子。――さっき言った通り、ほぼ初対面とも言える私とも仲良く話してくれる。
「うん! めっちゃ楽しみ~!」
――そうだ、忘れていたけど今年は修学旅行があるんだ。
中学校生活の一大イベントとも言える修学旅行を啓と行けるなんて――正直とても嬉しい。
2日目は班別に行動するらしいからからもっと楽しみ――班の人も結構話せる人だから良かった!