コメディ・ライト小説(新)

Re: 下書きだらけ ( No.172 )
日時: 2018/09/30 20:18
名前: モズ ◆hI.72Tk6FQ (ID: rBo/LDwv)



 『黒嶋さんは眼鏡を取りたがる』

 永遠に冬だと思われた僕に春が訪れそうなのですが、信じられません。
ですが、そのきっかけがあんなことだとあんまり嬉しくないのですが。
簡単に言うと僕はとある女子に気に入られてしまっています。
しかもスクールカーストにおいて群れを為さないのに上位、つまり顔が良いだけの人に。
それも好かれている、それだけなら問題は何もないのです。ただ、問題は……

 「ほら、今日もあの姿を見せてよ……あの顔、好きなんだから」

 「……ここ、学校だってこと分かって付きまとってるんですか?」

 本人無自覚の半ストーカーにでもなっていたこと、でしょうか。
それから周りに人が居ようとそんな風に懇願してくること、ですね。
 当の本人こと黒嶋さんは先程も説明したように顔が良いだけで学校生活を満喫している人です。
上位グループの他の群れを為すだけの派手な女子は黒嶋さんのことを気に食わない人も要るみたいですが、
一部のただ単に人が良い派手な女子は彼女と楽しそうに会話しているのを見掛けました。
他にもそれでいて天真爛漫だから男子にも好かれない筈が無いわけで。
つまり本当に人気者、という表現が似合う人、それが黒嶋さん。
本人意識せずとも人が寄ってくるのが黒嶋さん、そんな彼女に近づかないのが僕であり。
そしてそんな彼女が僕とよく一緒に居る、これは誤解しか生まない。
その被害を減少させるため(とはいえ被害が及ぶのは自分だけなのだが)彼女に忠告をしている。
離れてください、女子と歩いててください、あの顔は虚像ですから、と行っているのにも関わらず。
どうして黒嶋さんは尚も付きまとうのか、僕には一切理解ができなかった。
 もしかして本当にあの事件のことを言っているのなら、忘れて欲しい。忘れてくれ。



 あの事件、これは一月前のお話である。
とはいえ誰にも誤解をして欲しくないのだが、元凶も何もかも黒嶋さんである。
つまり僕の学校生活を乱したのは完全に黒嶋さんである、ここが大事である。
そして本人はそのことに一切自覚がない。とてもまずい事態だ。
 さて話を戻すだが、何が起こったかというと黒嶋さん曰くあの顔、を見られてしまったわけだ。
そもそもお互いに同学年ではあるが、住む世界が違うのだからすれ違っても顔を見ることさえ無かった二人。
九月に入り肌寒くなってきた時期の話、僕は空き教室にて睡眠を取っていた。
これだけの文章だと僕に対する印象が悪くなってしまうから言葉を付け足して補足をしていこう。
相当眠くなるであろうこの時期、僕は放課後、倉庫状態の空き教室にて睡眠を取っていた。
つまり寝てしまうのは仕方なかったし、人が来ることはあり得ないと踏んでいた場所で寝ていたのだ。
実際、テストが近付いてきていて数学にて演習を繰り返していたら刻々と時間は過ぎていくのだ。
だがそこに何故か黒嶋さんが侵入、そして何を思ったのか僕の眼鏡を、命とも呼ばれた眼鏡を取られたのだ。
それからは何者かが居る雰囲気、声、何だか温かい空気に違和感を覚えながら寝ていたのだと思う。
それから暫く、僕が完全に意識を覚ますと目の前には僕の眼鏡を掛けた黒嶋さんが居たわけで。

 「……え、は? それ、僕の眼鏡……って僕の眼鏡返してくだ」

 僕の悲痛な叫びを無視して黒嶋さんは喋りだした。

 「ちょっと、動かないで」

 その言葉で動きを止めてしまった僕、とても良い奴とか思いながら待っていると、
パシャ、という嫌な音が聞こえてくるではないか。

 「今、何したんですか」

 「眼鏡を取ったあなたの写真を撮ってたの、可愛かったから」

 厳密には黒嶋さんに取られたことにより眼鏡の無い、僕の写真だろ。と思ったのだが。
そんなのお構い無し、のようだった。
そんな風に語る黒嶋さんの表情は見るからに「どうして止めちゃうのよ」とか言ってそうだ。

 「ねぇ、誰かは知らないけど。眼鏡なんて止めたら?」

 「……視力が悪いから眼鏡は掛けているんですけど」

 名前ばれを防ぐために名前だけは名乗らないでおいた。
ぼやけた視界でも分かったのは黒嶋さんが裸眼の僕の顔に自らの顔を近付けたこと。

 「あの、距離が近くないですか」

 尚、黒嶋さんに肩を掴まれて身動きは殆ど出来ない状態。
動いたら動いたで黒嶋さんに何かさせてしまっては僕の身が無くなるのだから、
動ける筈もなかったのだが。

 「眼鏡じゃなくてもコンタクトがあるじゃない。折角の顔が勿体無いじゃない」

 「そんな大した顔、してないですから。離れてください」

 「分かったわよ、じゃあこの眼鏡は私が掛けてるわね」

 「はいはい、分かりましたよ。勝手に見てれば良いじゃないですか!」

 多分、この言葉が一番まずかったように思える。というか、まずかった。
その日は黒嶋さんの気が済むまでひたすら見られている、という謎の時間だけで終わった。
勿論、眼鏡はしっかりと返してもらったのだが……

 「また、見せてよね? そうじゃないと付きまとうから」

 「それは嫌、止めてくださいよ。僕の学校生活が崩壊するのでそれだけは止めてください」

 こんな会話でも合ったような、気がする。夢だったら、どんなに嬉しいことか。
 これが僕的には事件、黒嶋さんにとっては何かしらであろう事である。



 つまり、とてもヤバい状況なのだ。命とも呼ばれた眼鏡を伊達にして人の視線を避け始めたのもその影響だ。というのに、

 「」






修正するの、最早恒例。