コメディ・ライト小説(新)

Re: 恋愛とかなんかさらっと書くコーナー ( No.20 )
日時: 2017/05/13 20:47
名前: モズ (ID: Ft4.l7ID)

「ゲームだけじゃない」

相澤園夏(あいざわそのか)
戸塚涼太(とつかりょうた)


「やっぱ、園夏強いわーー」



「……ん、まぁ、そうじゃない?」



いつも俺は園夏とゲームしている。
教室に残っていつも何人かでゲーム。
でも最後まで残っているのはいつも、
俺たち二人でが多いと思う。

園夏は俺たちのなかではダントツで
ゲームが上手い。
それでいて勉強もスポーツも
なかなか出来るから本当にズルい……

それでいて意外に優しいやつだったりする。
ゲームで俺が負けたらアドバイスをくれるし
勉強だって俺が聞いたら教えてくれる。
たぶん、シンプルにいいやつなんだろうけど。



「ねぇ、今日ラストで
ここのダンジョン、マルチでしよ?」



気づけばもう、空はオレンジ色。
ゲームしていると時間が経つのが早い。
でもそれだけなのかと最近考えてる。
ゲームも楽しい、けどそれだけかな。
園夏といるから、
だから楽しいんじゃないかって。
そう、思うようになっている。

たぶん、これを世間的には
『恋』と呼ぶのかもしれないけど。
そんなの、俺にわかるわけがなくて……



「そうだな、リーダーはこれでいいか?」



こんな反応しかもう、できない。
すぐにゲームの話になってしまう。
でも園夏に告白を仮にしたとしても
それが本当だと受け止めてくれる、
とは思えない。

なんか、冷めてる。無関心なところがある。
それが園夏。
普通にしていれば、
ボーイッシュな可愛い女の子なのに……
それでゲーム好きだから……
つまり、園夏が好きで
一緒にゲームをしているやつもいる。



あ、死んだ……



「うっ……ごめん。
コンボ出せなかった……」



そんなミス、珍しいな。
俺から目を逸らして口を固く結んでしまった。



「何か考えことでもあったのか?
俺でよかったら聴いてやるけどって、
雑魚の癖に上から目線でごめんな」



「……別に涼太は何も悪くない。
それに涼太には何があっても
相談できないししたくないから」



そうして帰りの支度を始めた。


けど、そんな風に言われたら
何だかムカついた。



「俺に相談できないってどーいうことだよ!
俺が頼りないとでも言うのかよ」



「別に……頼りないとかじゃないし」



園夏は決して嘘は付かない。
どんなときでもそうだった。



「じゃあ、なんだよ。
俺だから無理なのかよ」



「まぁ、そうかもしれない。
でも明日もゲーム、しよ」



俺だから無理とか……なんだよ。
でも園夏の言葉には
そんなこと言えなかった。
から、



「……あ、そうだな。
明日もするか」



それしか言えなかった。



それが半年くらい、続いた。
もう、寒い秋の終わりごろだった。



「ねぇ、もし来年クラスが違っても
こうして一緒にゲームしてくれる?」



園夏がいきなりそう聞いてきた。
もちろん、ゲームしながらだけど。



「んあ、まぁ俺帰宅部だし暇だし。
俺も園夏とゲームしてると楽しい……しな」



最後の方は恥ずかしかった。
けど今まで言えなかった思いだったから
それがドバッとあふれでてきて、
口からそれが出ていた。

から、もう顔を下にして
ゲーム画面を見るしかなかった。

絶対、キモいって言われる……



「そう。私もそうだよ。
涼太と……ゲーム楽しいよ」



顔をまだ、あげられなかった。
園夏がどんな顔かわからない。
笑っていると、いいな。



「ねぇ、涼太。
これからもずっとゲームしよ?」



人の気配を感じて
顔をあげてしまった。
……園夏の顔がすぐ近くだった。

自然と目があってしまう。
園夏は珍しく普通の女子みたいに
顔を赤くして照れていた。
そして普通の女子みたいに笑っていた。



「……俺も、園夏とゲームしたい。
あのさ、聞いて欲しいことがあるんだ。
ゲームしながらでもいいよ」



顔をいつも合わせてなかった。
から顔を合わせるだけで
凄い恥ずかしかった。
それはお互い様だったようだ。



「俺さ、たぶん園夏のこと、好きなんだ。
いつも二人でゲームしてる、この時間。
とっても楽しいんだ。
園夏が勝ったときに時々見る、
小さな笑顔、俺それが好きなんだ。
めっちゃ可愛くて……」



下ではキャラクターが
敵に攻撃をしていた。




「……こう見えても私、涼太のこと、
好き……だからね?」




「え……」



「って、涼太のキャラもう死にそう……っ
死んじゃったね……あはは」



確かに俺のキャラは死んでいた。
でも何も悔しくなかった。
園夏に思いを伝えられたから、
それにその思いはお互い様だったから。



「……一緒に帰るか。園夏」



「っ、そうだね。
帰ってあげてもいいよ」



園夏の持ち味だった冷たい態度が
少し温かく感じる。
園夏のその言葉にはちゃんと
思いが詰まっているように感じた。



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それからもいつものメンツでゲーム。
そいつらには俺と園夏のことは話した。
そうしていつも楽しくゲームしている。

けど、やっぱり二人でゲームしてる時が
一番好きだしみんなもそう考えてか、
前よりも早く帰っていく。



「じゃあ、今日も二人で
イチャイチャしろよ。じゃあなっ!」



園夏との楽しい時間が始まる……





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「ゲームだけじゃない」END



本当に短編って感じですね。
はい、読んでいただき、
ありがとうございました!