コメディ・ライト小説(新)

Re: 短編集 ( No.96 )
日時: 2017/08/09 21:22
名前: モズ (ID: w4lZuq26)

 「夏」と言えば?
キャンプ?イベント?スイカ割り?
ライブ?ビキニ?肝試し?

↑とある歌詞を引用しました、ってわかる訳ねぇ。

今回はその内の一つのお話です。
恋愛とは限りませんが……。
お楽しみください。


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「好きな君は溶けちゃった」

・泉鈴華(いずみりんか)
・雪野零(ゆきのれい)


 肝試しって恐いよね。私はけっこう得意なんだけど。
一緒に行った友達からも言われる。


 「いつでも冷静だよね」


 別にそういうつもりなんか、ない。
怖くないだけなんだけどな。
それでも最近怖いというか。不思議なことがあった。



episode 1

Re: 短編集 ( No.97 )
日時: 2017/08/09 22:24
名前: モズ (ID: w4lZuq26)
参照: コメントしないでくれよー

パソコン用執筆。


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 「きゃあっ!怖いよ!ギャーー!」


 所詮、ただの人間なのに。何が怖いの?
日本でも「怖い」と有名なお化け屋敷で友達は叫ぶ、叫ぶ。
そして私の体にしがみついて悲鳴。正直、うるさいと感じてる。
それで涼しいお化け屋敷を出ると言われる、絶対。


 「鈴華って冷静すぎるよー。普通に歩いてたよね、怖くないの?」


 そしてほぼ毎回、こう答える。


 「怖くないよ。みんな人間だし」


 そういうとその友達は反応に困ってふーん。そう言う。
そして次のアトラクションへ向かう。
お祭りのお化け屋敷でも、もちろんそうなる。
でも、今年はちょっと違った。
お祭り騒ぎに紛れた悲鳴の飛び交うお化け屋敷じゃなくて、木の裏。
それも少し奥まったところでたくさんの木が生えている。
とっても静かで肌寒かった。
そっと肩を叩いてにっこり笑う君。
知らないのに話せた、君。
冷たい手と温かい目線が不気味で。
そんな君は幽霊だった。


episode 2

Re: 短編集 ( No.98 )
日時: 2017/08/17 14:40
名前: モズ (ID: w32H.V4h)
参照: コメント不可能

 今年もお化け屋敷でうるさい悲鳴を聞かされ、しがみつかれ、
祭りが少し嫌いになって友達と別れた。
家に帰るには人がたくさんいるなかを歩いた方が距離的には早いけど、
神社の少し奥まった林を歩いた方が早い気がした。
それに人ごみ、お喋りが鬱陶しく感じていたから
足は自然と神社の奥へと出向いていった。



 ザクッ、ザクッ



 神社の敷地内だから砂利が敷かれている。その音が心地いい。
静かな中に音楽がしているようで歩いてて楽しかった。
 けれど、少し肌寒い。人がいないからかもしれない。



 「っくしゅん! 本当にここ、寒いかも」



 私の独り言はすぐに消えた。すぐに静かになった。
 


 「……、何。誰かいるの?」



 何かがいるような気がした。見えない、何かが。
寒気がしてきた、体が少し震えていた。



 「……そう、……なそう?」



 私じゃない声がした。
けど、上手く聞き取れなかった。
けれど、私以外の足音、というか。
砂利を踏む音が聞こえない。人じゃないのか?
少し不気味に感じて反応しなかった。



 「僕の声、聞こえる?僕、うるさい?」



 今度はちゃんと聞き取れた。男子のようだ。
たぶん声の主は幽霊だと判断していたが、その声は何故か震えていた。
幽霊なのに、どうして?
それを聞こうとしたが声が出てこなかった。



 「見えないと不安だよ……ね?
うん、僕は幽霊だよ、ふふっ」



 そう言うとスーッと姿が見えるようになった。
声的に中学生くらいかと思ってたけど。
その幽霊は身長も低いし可愛い顔してたから
やっぱり中学生に思えた。



 「僕、雪野零って言うんだ。よろしく! 」



 幽霊の癖にめっちゃ元気じゃん。なんか、笑える。中学生だね、やっぱり。



 「あっ、今笑ったよね? 笑った、笑ったぁ!」



 「いや、笑ってないし! ん、まぁよろしく。
中学生の幽霊なの?」



 「違うよ! これでも生前は高校生!
しかも死んだの、つい最近だよ! 」



 そんな訳で高校生の幽霊と話すことになった。



episode3

Re: 短編集 ( No.99 )
日時: 2017/08/22 19:25
名前: モズ (ID: y36L2xkt)
参照: 正規ルートで終わらせないぜ

 筈、だった。
初めて会ってほんの数分、高校生の幽霊、雪野零はそわそわ。


 「どうかしたの? ……雪野さん? 」


 「あっ、えっと……。
僕、死んだすぐだからあんま地上にいられなくて……。
冬……今年から来年への年越し。丁度その頃!
そのくらいになると地上に長くいられるようになるんだー!
そのときにまた、会いたいんだけど……急すぎだよね」


 幽霊にもそんなルールがあるんだ……。
そっちにまず、びっくりしたけど。


 「まぁ、会うくらいならいいけど……」


 私がそう言うと雪野さんはパァ!と笑顔になった。
本当、単純。なんか、可愛い。


 「それって、本当!? ほ、本当!? 」


 「本当だよ。雪野さん」


 「あ、雪野で良いよ。幽霊にさん付けとかなんかあれじゃん?」


あれの意味はわからないけど。悪い人、じゃなくて、
幽霊ではなさそう。なんか、楽しい人。


 「あははっ、なんか楽しい、雪野って」


 「……あ、そろそろ逝かないと……。ごめんね。
僕の癖に。話してくれてありがとう。
年越しの日、ここにいるから。また、会いたいな」


 雪野がそう話していると姿がどんどん薄くなる。
もう、見えなくなりそうだ。


「それじゃ、ばいばい! 」


 「うん、また会おうね! 」


そして雪野は消えた。けど、思い出は消えない。
ほんの少しだけだったけど、楽しかった。


「また、会えるといいな」


そうして私の夏は終わっていった。
そして年末が来るのをひたすら待っている。



「好きな君は溶けちゃった」
夏パート、終わり。



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もう、最近あんまり書けなくて。
冬に持ち越しすることにしました。
夏は終わって気分によって秋。
冬パートを書いて終わりとなります。
覚えていれば、ですが。


兼ねて、他の小説の更新などのお知らせもします。
次の更新でします。