コメディ・ライト小説(新)

Re: 彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~ ( No.22 )
日時: 2017/10/07 19:33
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

■:第8話 「原因追求」

「あとさ……」
僕は、珈琲牛乳をテーブルに置いて口を開く。

「ん? なになに?」
ゆっくりとベッドから体をこちらに向けて、前のめりの姿勢をとった環は「興味津々」といった様子で僕の話に耳を傾けた。

「──また、教室にも来いよな」
「あー、そのことか。 当分は行かないかな。 体調が急に悪くなったのもそれが関係してたりしてねー」
「まじかよ! じゃあ、屋上でもいいから」
「君は何でも真に受けすぎだよ。 そんなんじゃ心配だなぁ」
やれやれ、と環は上から目線で僕を見てきたがこの状況じゃ説得力の欠片もない。


……けれど、僕の鈍感さも相変わらずだったようで呼吸をするようについた環の嘘を見抜くことができなかった。
体調が急に悪くなった原因の一つに、「教室」が関係していることを僕は後々知らされる。
──もしかしたら、環自身もこの段階では気づいていなかったのかもしれないが。


「まぁでも退院したら、屋上で待ってるから」
「ありがと」

環は珈琲牛乳を飲みながら、そう言って笑った。
一つ、鼓動が大きく跳ねた。




*

「じゃあ、そろそろ帰るね」
「気をつけてねー」

そう言葉を交わした後、僕は病室を出た。
ドアから手を離して、閉まる音を聞いてから僕は歩き始める。


「……環ちゃんの、お友達さんですか?」
聞き慣れない、高くて響く声。 振り返ると看護師さんだった。

「はい」
「久しぶりに、環ちゃんの嬉しそうな声を聞きました。 私からもありがとうございました!」
「いえ、僕は何も」

そう言ってから看護師さんとも別れて、受付の前を通って病院をあとにした。


──また来ることになるのだろうか。 ……いや、環が元気なら来ることはない。
今日の様子だったら、大丈夫そうだったし珈琲牛乳さえあれば元気だもんな。


引っ越してきてから今日まで、1日たりとも環のことを考えなかった日はないかもしれない……。


──気がついたら僕の1日の生活で、環は欠かせない存在にまでなっていた。


果たして、そんな彼女は僕にとって何なのか……人との関わりがとぼしい僕には分からないことだ。


ただの屋上の仲間、ではなさそうだ。
……もっと特別な──大切な人。


考えごとをしながら飲む珈琲牛乳はやけに甘く感じるなぁ……。


紺色と橙色が混ざりあった空を見上げながら、僕は1人で歩いていた……──。


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