コメディ・ライト小説(新)

Re: 彼女+僕=珈琲牛乳。 ~bitter&sweet~ ( No.28 )
日時: 2017/11/22 23:02
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
参照: http://From iPad@

■:第3話 「私という人間(3)」

もっと私は勉強をしなくなった。
自分の部屋で勉強をしていても、少し離れたリビングから電話越しにお父さんと言い争うお母さんの声が聞こえてくるからだ。

……辛い。 もうやめちゃいたい。
気がついたら、私は勉強が嫌いになっていった。
そして、家にいる時間をなるべく短くした。

私のために、働き始めたお母さんは幸せそうに見えない。
私の受験のことでお母さんとぶつかっているお父さんは、もっと家に帰ってこなくなった。


*

「今日も塾かぁ……」
毎日毎日、同じことを繰り返す日々。
他のみんなは、楽しそうに放課後のことなんかを話していて。

「私も友達の家に行ったり、買い物したりしたい」
……でもそれは、お母さんを裏切る。 けれど何より、一緒に行ける子がいないということが1番私を苦しめた。
ひびちゃん、戻ってきてくれないかな──。



「ただいま」
相変わらずシンとした部屋。
荷物を置いて、リビングに行くとテーブルにラップのかかったご飯とメモが置いてあった。
若干乱れたお母さんの字、きっと忙しいのにわざわざ書いたんだろう。


──お母さんもお父さんも、今日は帰れそうにないのでご飯食べてから塾に行ってね。 帰ったら、また勉強して23:00までには寝ること。────

お母さんは私のために働いている。 私がそれを裏切っていいのか……。
──いいわけがない。 頑張るしかない。


中途半端だった気持ちに区切りをつけて、私は心を入れ替えた。

──3日後に行われた、塾のテスト。
あがりっぱなしだった私の成績は、初めてここで落ちた。

お母さんは「大丈夫よ」と笑顔で言って、私の頭をそっと撫でてくれたけど、その手の冷たいことと私がいないところで、結果の紙を握りしめて泣いていたことを私は知っている。



重い。
──……お母さんの気持ちが重い。
できないことをお母さんのせいにしようとしている自分がいる。


ちょっとずつ、私の我慢が利かなくなっていく。──


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