コメディ・ライト小説(新)

Re: エンジェリカの王女 ( No.90 )
日時: 2017/09/03 17:24
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: a4Z8mItP)

69話「悪夢の再会」

 最近三重坂では、一般人が夜間に通り魔に襲われる事件が多発している。目撃情報や撮影された写真などから判明している犯人の情報は、全身真っ黒の服装ということくらいしかない。撮られた写真は、一般人が撮影したものだからか、すべてぼけている。
 そして不思議なことに、通り魔に襲われた人間は全員、外傷はない。ただ、まるで魂を抜き取られたかのように、深い眠りに落ちてしまうのだという——。

 そんな中、今日は麗奈とメイドカフェなるお店へ行ってきた。もちろんエリアスも一緒だ。
「メイドカフェって、凄く不思議なお店だったわね」
 帰り、エリアスと雑談をしながら夜道を歩く。通り魔の件があるせいか、人通りはほとんどない。
「店員さんがわざわざ侍女に扮して接客するなんて変ねよ。侍女なんて家にいくらでもいるでしょうに」
「いえ、一般家庭に他者を雇うお金はありません。あれほどの数の使用人を雇えるのは、エンジェリカでも王宮だけです」
「そうなの?」
 王宮で生まれ育った私には使用人のいない暮らしなんて想像できない。やっぱり私の感覚はおかしいのだろうか。
「私の生まれた家は貴族でしたが、使用人は数名だけでした。それでもまだ良い方だと思います。聞いた話によれば、平民の家では使用人はいないのが普通だとか」
 エリアスは貴族だったのか。私としては使用人についてよりそちらの方が気になる。恐らく初耳ではないはずなのだが、聞いた覚えがない。
 ……もう忘れないようにしないと。
「へぇ。じゃあ、使用人がいる家は意外と少ないのね」
 エリアスは幸せそうな笑みを浮かべている。長い睫が表情に華やかさを添えていた。
「はい。ですから、使用人に奉仕してもらうことに憧れる者が多いのだと推測します」
「なるほどー。それでああいう商売になっているのね」
 彼は物知りなので、一緒にいると色々と教えてもらえて助かる。基本知識不足の私にはもってこいの相手だ。

「うわあぁぁっ!」

 突如、男性の大きな悲鳴が聞こえた。
 ——近い。
「……もしかして、噂の通り魔?」
 今は夜。つまり、それが現れてもおかしな話ではない。
 エリアスは一瞬にして警戒した表情に変わる。
「はっきりとは分かりませんが、その可能性もありますね。慎重に帰りましょう」
 彼がヒソヒソ声で言うので、私は小さな頷きで応える。
 それにしても、一人だったらどんなに恐ろしい状況だっただろう。近くに通り魔がいそう、だなんて。
 私は全身の神経を研ぎ澄ませながら、エリアスに引っ付くくらいの距離で歩いた。いつ何が起こるか分からない。なるべく常に警戒していなくては。
「王女、ご安心下さい。貴女は私が護りますから」
 言いながらエリアスはニコッと笑みを浮かべたが、どこかぎこちない表情だった。
 私はそれに小さな違和感を抱く。もっとも、そのぎこちなさの意味など私に分かるはずはないけれど。

「エリアス、か」

 突如背後から声が聞こえる。振り返るとそこには、全身黒の青年が立っていた。
 私は寒気を感じ身震いする。
 さらさらの黒髪に瑠璃色の瞳。顔は案外整っている。夜の闇のようなローブが夜風になびく。
「……どうして」
 エリアスは、目の前に現れたローブの青年を睨みながら、静かな声を発した。声色も表情も落ち着いたものだったが、近い距離にいる私には、エリアスが動揺していることが分かった。長い睫の下にある瑠璃色の瞳が微かに震えていたから。
 目の前に立つローブの青年は、片側の口角を持ち上げ、ニヤリと怪しげな笑みを浮かべる。薄い唇が少しばかり歪んだ。
「久しぶりだね、エリアス。俺は強さを手に入れた。もう誰にも負けはしないよ」
 エリアスを昔から知っているような口ぶりだ。
「知り合い?」
 私は控えめにエリアスに尋ねる。すると彼は微かに首を縦に動かし、それから一歩前に出る。
「……ルッツ」
 その名前を、私は聞いたことがあった。
 エンジェリカの地下牢で話した時にエリアスが言っていた、魔界へ行ってしまった弟。それが確かルッツという名前だった気がする。
「そこのお嬢さんがアンナ王女だね。確保させてもらうよ」
 ルッツは思いの外穏やかな喋り口調だが、漂わせている魔気は尋常じゃない。それを感じたからか、エリアスの頬を一滴の汗が伝い落ちた。
 私でも見ただけで強いと分かる。戦うより逃げた方が数千倍賢い判断だろう。
 だが、エリアスは逃げることを選ばなかった。聖気を集めて作った長槍を持ち、戦闘体勢をとる。
「そう簡単に渡してはくれないよね。なら仕方ない。ここで戦うことにしようか」
 私は後ずさる。二人の戦いを見たくないと思った。
「俺はお前を越える。あの日誓ったように、今ここでお前を倒してみせる!」
 ルッツは、おどろおどろしい黒ずんだ魔気から、グロテスクな長い大剣を生み出す。鉄製の剣身には毒々しい赤がこびりつき、鈍い輝きを放っている。
「……戦うしかないか」
 エリアスは真剣な顔で、独り言のように呟く。
 その表情を見てすぐに察した。彼はルッツと戦いたくない。そう思っているということを。
 目の前に敵がいれば躊躇いなく戦い倒す。エリアスは今までずっとそうだった。それがどんなに強そうな相手でも、怯むことなく戦っていた。だから、エリアスのこんな表情を目にしたのは初めてだ。
「エリアス!覚悟しろ!」
 ルッツは威勢よく叫び、大剣を構えた。

 ——運命とは、どうしてこれほど残酷なのか。

Re: エンジェリカの王女 ( No.91 )
日時: 2017/09/04 18:31
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 32zLlHLc)

70話「復讐」

 ルッツの剣とエリアスの槍。二つがぶつかり、夜の闇に鋭い金属音が反響する。
 兄弟なのに戦わなくてはならないなんて、こんな運命はあまりに辛い。ただ見ているだけでも胸が締めつけられる。
 全部私のせいだ。通り魔のことは知っていたのに、麗奈に誘われて浮かれて遊びに行ったから、エリアスをこんなことに巻き込んでしまった。
 私はなんて愚かなの……。
 エリアスの動きはいつもより鈍かった。戦うことを決めても、実の弟であるルッツを倒すことに躊躇いがあるのだろう。
 それとは対照的に、ルッツは一切迷いがない。
「……くっ、ルッツ。なぜ王女を狙う!」
 エリアスは勢いのあるルッツに押され気味だ。このままでは勝てるものか怪しい。
 ノアを呼びにいく?でもここからだとかなり時間がかかる。それに負傷しているジェシカを一人にするのも心配だ。
 二人の攻防を見つめながら思考する。しかしなかなか良いアイデアが出てこない。
「それが俺の主君カルチェレイナ様の願いだからだ!」
 ルッツは魔気を噴出しエリアスを吹き飛ばそうとする。しかしエリアスは後ろに飛び、紙一重で魔気をかわした。
「天使でありながら悪魔に仕えるとは情けない」
 エリアスは眉を寄せ、複雑そうな顔をする。
「黙れ!」
 悪魔に仕えていることを否定されたルッツは激昂する。黙っていればそれなりに整った顔なのだが、今の彼の顔からは憎悪の念しか感じられない。
「カルチェレイナ様は俺の苦しみを分かってくださった!俺が幼い頃から兄と比べられどんな惨めな思いをしてきたか、理解してくださった!」
 激しく荒れているルッツを悲しそうな瞳で見つめながら首を左右に振るエリアス。
「それは違う。カルチェレイナは理解してなどいない。彼女はお前を利用しているだけだ」
「黙れ!黙れ黙れ黙れっ!」
 ルッツは取り乱し激しく否定する。カルチェレイナを妄信している彼は、彼女に利用されている可能性など考えたくないのだろう。
 大剣を振りかぶり攻撃を仕掛ける。が、エリアスはそれを軽くかわす。
「取り乱すのは良くない」
 とても冷ややかな声。エリアスは先ほどまでとは打って変わって冷淡な表情になっていた。
「冷静さ不足は昔からの癖だが、以前より悪化している」
 エリアスはルッツを幻滅したような目つきで見る。その表情には、先までのような倒すことへの躊躇いはなく、そこにあるのは哀れみの情だけ。
 私にはそう感じられた。
 エリアスは長槍を音もなく振りルッツの大剣を弾き飛ばす。大剣は数メートル飛んで地面に落下し、モアッと魔気に戻って消えた。
「悪魔に心酔しきるとは愚かなことだ。……だが」
 厚い鉄板をも貫きそうな冷たい視線に、関係ない私ですら悪寒を感じる。もしあんな目で見られたらと思うと、怖い。
「これで迷いは消えた。私はもうお前を躊躇せずに殺せる」
 エリアスは何かスイッチが入ったようだ。どこで切り替わるやら。実に不思議なことだわ。
 ——とその時。また魔気を感じ、ルッツに目をやる。
「バカにするな!昔みたいに勝てると思うなよ!」
 怒りに目を見開く彼の周囲に黒いもやが漂っていた。恐らく魔気だろう。
 一歩誤ればジェシカもこんな風になっていたかもしれない。そう思い、私は恐怖を覚える。
「勝てると思うなよオォォ!!」
 怒声と共にルッツから大量の魔気が噴出され始める。
「な、何これ……」
 その光景を、私は信じられない思いで見つめた。泥のように溢れ出す黒い魔気のせいかゾクゾクする。
 とても静かな夜だ。街の一角でこんなことが起こっているとは誰も思っていないだろう。
「……ぁ」
 エリアスは突然膝を追って座り込んでしまう。持っていた長槍は霧のように消え、左肩を押さえ呻く。
 驚いてエリアスに駆け寄る。
 彼はまだベルンハルトの時の傷がまだ完治していない。だから放っておくわけにはいかないと思った。
「エリアス、大丈夫?」
 額に冷や汗が浮かんでいる。
「え、えぇ。問題ありません。……くっ」
 押さえている左肩から黒いもやが出ていた。
「大丈夫そうじゃないわね。でもどうすれば……」
 こんな夜だと近くに人はいないしね。
「王女は離れていて下さい。私は大丈夫ですから」
「嘘ね。苦しそうだわ」
 呼吸が荒れている。それに顔色も良くない。これでよく隠そうとできたものだ。
 私もそこまでバカではない。
「……すみません、やはり王女に隠し事はできませんね。貴女はとても鋭い」
 いやいや、さすがに誰でも分かるでしょう。
「お前の命を吸い取ってやる!もう終わりだ!」
 ルッツが叫んだ。
 次の瞬間、黒いもやに包まれていたエリアスの左肩から、白い霧のようなものが出てきた。
「……えっ。これは一体、どうなってるの?」
 事態が飲み込めない。今、何が起きているのか。
 エリアスはとても苦しそうな顔をしている。答えられなさそうだ。
「ルッツ!貴方、何をしたの。狙いは私でしょ!エリアスをいじめるのは止めて!」
 勇気を出して言い放つと、ルッツはニヤリと笑みを浮かべて返す。
「カルチェレイナ様の狙いはお嬢さんでも、俺の狙いはエリアスだよ。やっと夢が叶うんだ。俺の——」

 ——復讐トイウ夢ガ。

Re: エンジェリカの王女 ( No.92 )
日時: 2017/09/05 17:24
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: JbPm4Szp)

71話「私の願い」

 ルッツの目は本気だった。だから私は、彼が復讐という意味でエリアスを傷つけようとしているのだと、すぐに分かった。
 でも私一人ではどうしようもない。エリアスを連れてここから逃げることも一瞬考えたが諦める。私には無理。
 本当に情けなくて、泣きたいぐらいだけど。

 そんな時だった。
「隊長ー!王女様ー!」
 闇の中、ノアの声が聞こえてきた。私はそれにすぐに気づき辺りを見回す。
 道のずっと向こうから走ってくるノアの姿が見えた。
 救世主!今はそう思える。
「ノアさんっ!」
 苦痛に顔を歪めるエリアスの背をさすりながら、姿が見えてきたノアの名前を叫ぶ。私一人ではどうしようもなかったので彼が来てくれて良かった。
 彼は気づいたらしく足を速める。
「ノアさん!助けて!」
 私は彼に助けを求める。とにかくエリアスをこの苦痛から救わなくては。
「追い詰められたからといって仲間を呼ぶとは、エリアスは相変わらずさすがだな!」
 そんな風に皮肉るルッツに対し、ノアがいつもより低い声で言う。
 まったく、信じられない。「どうしてそんなことを言うの」と言ってやりたい気分になる。だがそこまでの勇気はなく、喉まで出てきた言葉を飲み込む。
「もしかして今、隊長をバカにしたのかなー」
 ノアはエリアスに失礼な発言をしたルッツに対して、密かに怒っているようだった。彼の表情の変化は掴みづらいが、しばらく近くにいた私には分かる。
 だがルッツは微小な変化に気がついていないらしく、そのままぬっと片手を伸ばす。
「すべて奪って、死よりもずっと辛い思いをさせてやる!」
 憎しみに満ちたような表情で言い放つ。
 彼を見ながら私は思った。何が彼をここまで歪めてしまったのだろう、と。同じ血を分けた兄弟なのに、どうしてここまで憎しみの感情を抱けるのだろう。
 私は一人っ子だから兄を持つ者の気持ちが分からないのかもしれない。でも、普通そんなに憎むものだろうか。
「……ぐぁ!」
 エリアスは急に叫び、地面に倒れ込む。左肩から出ている白い霧のようなものの量が増えていた。
「エリアス!もしかして聖気を吸われているの?」
 私が尋ねても、彼は苦痛のあまり呻き声しか出せない。余程の激痛なのだろう。
「隊長、しっかりしてー」
 ノアの声も聞こえていないようだ。反応がない。
 そこへゆっくりとルッツが歩み寄ってくる。ノアは立ち上がり、ルッツの前に立ち塞がる。
「邪魔するつもりか」
 問いに対しノアは怯まず答える。
「隊長には触れさせないよー」
 ノア、貴方がかっこよく見えるなんて、私はどうかしているのかな。
「お前の相方の女、この前ヴィッタに遊ばれたらしいな」
 ノアは眉を寄せ、不愉快そうな表情になる。
「そんなことどうして知ってるのかなー」
「ヴィッタから聞いた。もう戦えないくらいやったと。相方の女もエリアスなんかに関わったから不幸になった……」
「何てこと言うの!!」
 その時、私は無意識に叫んでいた。ルッツの発言にもう耐えられなくなって。
「ジェシカさんが捕まったのは私のせいだわ。エリアスは助けに来てくれた!彼は何も悪くないでしょ!」
 ありもしない罪を勝手に押し付けるなんて許せない。そんなのおかしいわ。
「いやいやー、王女様のせいでもな……うっ」
 突如ノアは言葉を詰まらせた。顔面から血の気が引く。目を見開き、彼自身も何が起こったか理解できていないようだ。
 視線を下ろすと、彼の腹部に黒いものが突き刺さっていた。よく見るとそれはルッツの剣だった。
「……え?」
 ノアはまだ何が起こっているか把握できていないようだ。しかし、足だけ震えている。
 ルッツは一切の躊躇なく、刺した黒い剣を抜いた。
「な……何てこと……!」
 恐怖のあまり全身がガタガタ震える。
 どうしてこんな残酷なことができるの。おかしいわ。ルッツはどう考えても普通じゃない。
「これは……痛いよー……」
 ノアはしゃがみこんで、歯を食い縛り片手で頭を押さえる。
「ノアさん!大丈夫!?」
「う、うんー。平気……ではないかもー……」
 どうしてこんなことになってしまったのだろう。頭が真っ白になる。
「しっかりして!お願い!」
「王女様……頑張るよー……。痛くない、痛くないー……」
 ノアはおまじないのように「痛くない」と繰り返す。それでも痛みを和らげることはできず、顔をしかめている。
「お嬢さんは別れを告げといていいよ。さて、エリアスはそろそろか……」
「う、く……だ、ダメー!隊長に触らないでよー!」
 エリアスの方へ歩み出すルッツに向けてノアが叫んだ。傷からはポタポタと血が滴っている。こんな大きな声を出すのは、体にかなり負担をかけていると思われる。
 呼び止められたルッツは、気分を害したのかこちらへ戻ってくる。そして、ノアの髪を片手で乱暴に掴み、持ち上げる。
「うるさい!」
「隊長は僕たちの恩人だよー!いじめさせないよー!」
 ノアはかなりのダメージを受けているにも関わらず怯まなかった。最早無謀の域に達しているが、ここまで強い心はなかなか持てるものではない。
「恩人?ふざけるな!」
 次の瞬間。ルッツの手がノアの腹部の傷に刺さっていた。
「……あ」
 ノアの表情が怯えたものに変わる。
「魔気を入れてやる!」
 少しするとノアの体がビクンと動く。そして、さらに数秒経つと、一気に弛緩した。
 その時、私の脳裏にある記憶が蘇る。
 ジェシカを助けに魔界へ行った時のことだ。彼は常に多少の魔気を浴びるのを辛そうにしていた。私は何も感じなかったにも関わらず、だ。
『……あ!もしかして、ノアは気に敏感だからじゃない?』
『あ。そうかもだねー』
 確かあの時、こんなやり取りをした。
「ルッツ!止めて!」
 止めなくてはいけない。本能的にそう感じた。
「ノアは気に敏感なの。魔気の影響も普通より受ける。だからお願い!魔気を入れるのは止めて!」
 もしかしたら言葉で止めるのは無理なのかもしれない。最悪力ずくで……いいえ、きっと分かってくれる。
 ——そう思った私が甘かったの。
「お願い、止めて!それ以上入れたらノアが死んじゃう!」
 ルッツはすっかり動かなくなったノアを、ごみを捨てるように乱暴に投げた。
 すぐに手首に指を当ててみる。かろうじて脈はあったが、かなり微弱だ。
「さて、一人片付いた。次はエリアス。エリアスを消す」
 私のせいだ。
 私が自分勝手に遊びに行ったりしなければこんなことにはならなかったのに。すべての元凶は私。
 どうすればいいの。……今更後悔したってもう遅い。すべて奪われてしまった後だもの。

 その時、私の中の何かが崩れ落ちる音がした。細胞がすべて変わっていくような、そんな感覚。
「そうだ……私はエンジェリカの秘宝……」
 エンジェリカの秘宝——それはどんな願いも叶える。
「ならきっと……私の願いも叶うじゃない」
 エリアスやヴァネッサ、ジェシカとノアも。みんな揃って、また幸せに暮らす。

「それが私の願い」