コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中(=゚ω゚)ノ』 ( No.10 )
- 日時: 2017/07/23 12:44
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
05.同じ反応。
『この前に話した月島沙彩のことなんすけど……』
お昼休み。
悠夜はそんなことを担任に話して、沙彩のことを聞き出そうとしていた。「お母さん」という言葉と、不登校の理由に関して。
話してくれるかは……微妙だが。
職員室前の柱にもたれかかっていると、担任が給食の片付けから帰ってきたようで、悠夜を見つけると急ぎ足で向かってきた。
「ごめんね、遅くなっちゃって……」
「いえ……それで、月島のこと」
とりあえず、本題に入ってみる。
「月島ってどうして不登校なんですか?」
ピクリと、担任の眉が動く。
……やっぱり聞いてはいけないものなのかな、と……夏音や担任の反応から見てそう思ってしまったが、聞いてしまったものは仕方ない。
担任の言葉を待っていると―――
「月島さんはね……ちょっと、不幸が重なったのよ」
『沙彩ちゃんはね……不幸の連続があった、とでも言っておこうかな』
返ってきた言葉は、夏音が言った言葉と殆ど変わらないものだった。
「言えない事情なんですか?」
「……月島さんからしたら、言ってほしくないことだと思う。月島さんを連れ戻してきて、なんて言った割にこんな言い方するの……本当に申し訳なく思うけど、これは……」
言葉を濁らせる担任に、やっぱり無理か、と諦め教室に戻ろうとすると。
「あれー?秋本くんと先生!こんなところで何してるんですかー?」
後ろから、最近――いや、昨日聞いた声が聞こえた。
「……桃瀬」
夏音だ。この少し気だるそうな声は、他には居ないはず。
「ま、まさか秋本くん……先生に告白でもしてたんですかー?」
「違ーよ!何でそうなるんだよ」
「じゃあまさか逆……?先生が秋本くんにこくは」
「違いますよ桃瀬さん!月島さんの件です!」
夏音の爆弾発言に悠夜と担任がひどく焦って否定する。
「んー……面白くないなぁ。てか先生、沙彩ちゃんは何をしても必要なときにしか戻ってこないと思うよー?昨日も会いに行ったけど、本当に戻る気なさそうだったから……」
「桃瀬さんは昨日も部活サボったんですか?」
「そうだよー、だってつまんないもん、文芸部。やめよっかなー」
「本当面倒くさがりですよね……貴女は」
担任の呆れた声を聞きながら夏音は、昨日の沙彩の言葉を思い出していた。
『教師の鬱陶しさってのはいつまでも変わらないものね』
(そう思わせるようになったのは、先生――佐野先生のせいでもあるのに)
沙彩の件から逸れた話で少し盛り上がっている佐野紬の横顔を見ながら、夏音は沙彩が不登校になる前の出来事を思い出す――。