コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中』 ( No.113 )
日時: 2017/09/10 00:33
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

39.実は。



神社近くの公園には、他にも待ち合わせをしているグループが居て……神社より賑わっているくらいだった。沙彩と千春以外にはまだ誰も来ていなさそう。
とりあえずあとの4人を待つことにする。

「私、本当祭りの日楽しみにしてたんだよ!皆で行けて良かったなぁ…」
「……そうね。私も楽しみにしてたよ」
「―――え?」

思わずこぼれてしまった言葉に沙彩は口を押さえてしまったがもう遅い。
千春は聞こえていないわけではないのに聞き返す。

「沙彩ちゃんがそう言ってくれるなら企画して良かったぁ!まぁ……私から誘った訳じゃないし、結局言ってくれたのはひかりちゃんなんだけど…でも、良かった」

そこまで言われると完全に恥ずかしくなってしまった。赤くなった顔を隠すように千春から目を背ける。
今まで自分のことで、こんなに喜ばれたことはあっただろうか。
両親が亡くなってから――夏音以外とはほぼ誰とも喋らなくなり、自分の人生を閉ざしている部分があった。そんな楽しくない人生から一転して夏祭りまで――

――なんて、楽しいんだろう。

声に出さずとも多分この真っ赤になっている顔で千春には伝わっているとは思うから言わないでおく。

「あ、夏音…と秋本と…俊とひかりさん。4人揃って来た」
「ひかりちゃん、結構男子2人と喋れてるじゃん!」

5分程度話していると――後4人が一斉に来た。

「やっほー、沙彩ちゃんに千春ちゃんー!これで6人全員揃ったね~!今日はよろしくー」

相変わらずの気だるい口調だが、少しだけ嬉しそうなのが声を聞くと分かる。

「あと15分したら始まるから…それまでは…………まぁ適当に話しといて」

色々考えた結果何も出てこなかったのか、謎の空白があった後。
夏音がそう言ったと同時に沙彩たちは話し出す――。人見知りのひかりも、悠夜や俊とはまぁまぁ話せるみたいだ。大した時間も掛けずに友達として話している様子が伺えた。



「……あたしも、凄く楽しみにしてたよ」


突然夏音が沙彩に囁く。

「……え?」
「ただそれだけー。色々大変だろうけど最後まで付き合ってねー!」

それだけ言うと夏音は普通に他の4人と話し出した。


(あれ……?もしかして私がさっき…)

私も楽しみにしてたよ、という言葉を――聞いていたのだろうか――?