コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中』 ( No.141 )
日時: 2017/09/21 00:16
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

50.手紙の内容は。





「――お母さん…お父さんから……?」

便せんを開く。母の丸文字が便せんいっぱいに綴られていた。よく見ると、続きあります――と書いてあり、もう一度封筒を見るとあと2枚の便せんが入っていた。よく1枚目、一番最初の便せんを取れたものだ――というのはさておき。


「……これはお母さんが事故に遭ってから死ぬ前までに書いた……もの……で…―――」


【事故に遭ってから死ぬ前までに書いたものです。貴女に教えていなかった、貴女の名前の由来……。それをどうしても言っておきたくて、手紙という形になりました。きっと沙彩がこれを読む頃には私たちは居ないと思うけれど……最後まで読んでください】

便せん1枚目。沙彩の名前の由来……。


反射的に2枚目を開く。そこには―――


【貴女の名前は私が拓哉さんと結婚したとき……女の子が生まれたら絶対、この名前にしようって決めていたものでした。貴女の名前の「沙」……。限りなく広がる海のように大きな心を持って、何事にも前向きで取り組んで欲しい。皆を楽しませるような存在になって欲しい、という思いからです。貴女の名前の「彩」……。彩りのある楽しい人生を送って欲しいという意味からです。この2文字で貴女の名前は「沙彩」。今まで教えられなかったのを申し訳なく感じます】


心大きく―――この言葉に沙彩は胸を打たれる。……お父さん、お母さんの願い。全く何も通じていない、という罪悪感が沙彩にのし掛かってくる―――。
それに彩りのある人生――不登校に何の彩りがあるの――?

3枚目はさすがに戸惑ってしまった。父母の願いを何一つ叶えられない自分に、開く権利があるのだろうか。
だが、母親の丸文字で「最後も見てね!」と書いてある。それを見て震える手で沙彩は3枚目の便せんを取り、開く。

1枚目と2枚目の便せんより文字が詰まっている――。


【貴女には辛いことが今ありますか?一人で抱え込まなければならないものがありますか?嫌だ、何もかも嫌だ、と叫び逃げ出したいと思ったことはありますか?……貴女の感情、貴女次第です。ですが……迷ったときは、貴女の名前の由来、思い出してみてください。きっと貴女にとって何か光への手がかりになるかもしれませんから…。夏音ちゃんと俊くんとは仲良くしていますか?2人以外にも沢山お友達を作っていますか?一生の宝物、大事にしてくださいね。クラスとは馴染めましたか?たまには前に出て話すことも大事ですよ】



ここまで読んでくれてありがとう、という言葉でその手紙は終わっていた――。