コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中』 ( No.150 )
日時: 2017/09/24 09:46
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

54.もしかすると。



ひかりと千春は部活だったため、夏音、悠夜、俊、香澄の4人で本屋へ行った。香澄はまだ本屋の位置を理解できていないようなので案内しながら。

「でも居るかなー?」

前、夏音が行ったときには居なかった。それどころか「学校」と。でもまさか、何回も何回も学校に行くわけではないだろうから居るかな、とは口で言いながらもほぼ確信に近いものを持っていた。

はずだったのに――


「………あれ?また居ないー?」


いつもの席を見ても、沙彩の好きな小説のコーナーを見てみてもどこにも居ない。念のため文房具やらのコーナーも見てみたが、沙彩の姿はどこにもなかった。
……また学校、という説はないだろう。なら家か、と思い夏音が皆を促した。


「…家行ってみよっかー」


○**○


夏音がインターホンを押す。沙彩の部屋の窓のほうを見たが彼女は窓から顔を出していなかったから、今忙しいのか1階に居るのか。
とりあえず2回ほどインターホンを鳴らして沙彩の動きを待つ。

それから1分くらいの静かな時間があって――。


「……誰…って!?」


インターホンの音だけでドアを開けたからか、そのインターホンを鳴らした人物に驚きつつ姿を現したのは――――なんと、白のブラウスに紺のブレザーを着ている……制服姿の沙彩だった。
もしかして1分くらい間があったのはこれを隠そうとしていたのか。最近だと夏音たちの可能性もあるからと。

「……せ、制服……?」

思わず夏音は口に出す。沙彩が普段制服を着ていることなんてない。いつも黒系の服を着ていることが多く、彼女の容姿も含めて中学生っぽくないのだが、制服を着ていると中学生感が溢れている。
香澄はまだ多くの事情を知らないせいか大して驚いては居ないが、悠夜も俊も目を丸くして沙彩を見ていた。


「……てか、何の用?」

そんな悠夜と俊の視線と夏音の呟きはわざとなのだろうが無視して沙彩が淡々と問いかけた。

「……いやー…本屋にいなかったから家かなーと思って……」
「そう。悪いけど今日は忙しいの。帰ってくれる?」

「楽しい気持ちあると思う」といったときからは考えられないくらいツンとした態度だったが、沙彩の意志に反することをずっとしているなんて友達の夏音としては嫌だったから、夏音は「帰ろっかー」といつもの調子で言ってその場解散とした。


(着る服なかったのか……もしくは……)


途中までは悠夜と俊と同じ。香澄は逆方面だからそのまま帰ったが、悠夜と俊が話しているのを聞き流しながら夏音は考えていた。

――ドアが開いた瞬間、夏音は確かに目で見た。沙彩が学校に行くときはいつも履いている黒のラインが入ったスニーカーが玄関に出されている、ということを。普段本屋へ行くときは別の靴を履いているから、あのスニーカーが出されているということは――そして今日、制服を着ていたということは―――。


「まさか……」


――明日早めに学校に行こう、と夏音は思った。例え結果がどうであろうとも。