コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中』 ( No.165 )
日時: 2017/10/29 10:41
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

60.謝罪の言葉。



「……月島さん…?」

 今まで必死に堪えていた涙が次々とこぼれてくる。しばらくして佐野が問いかける声を聞いて、やっと何度拭っても止まらなかった涙が止まった。
 
「沙彩ちゃん!」

 沙彩が突然泣き出したのを見て夏音も耐えきれなくなったのか、思わず図書室に飛び込んでくる。

「……私は……今でも貴女のことが憎くてたまりません」

 声を絞り出すように沙彩が言う。佐野は今までの話から本当に憎いと思っていることを読み取っているのか、辛そうに目を伏せた。
 どうせ、今更許せない――とでも言うんだろうと思って。

 だが、沙彩の言葉は違っていた。

「…けど、すみませんでした」

 え、と。その場にいる佐野、夏音が目を見開く。急に出た謝罪発言に2人は戸惑いを隠せなかった。

「……私が不登校になったときから貴女が私に対して申し訳ない気持ちを持っていたかは知りませんが……。全く気にしてないと思っていたから……少しくらいは考えて居るんだって……だから、良かった」
「月島さん……」

 悠夜にも言われたが、沙彩は今日はやけに自分に素直だ。思ったことをはっきり言えるのは、いったい誰のおかげなんだろうか。

「貴女のことは嫌いですが、それでも私は…そんな貴女が居る学校にも来ようって……思えるようになったから……今、決めました」
「き、嫌い……」

 ズバッと言われて思わず佐野は復唱してしまうが、沙彩が言いたいことをまとめている様子を見て真剣な顔になる。


「これから数日間学校に行きます」