コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中』 ( No.168 )
日時: 2017/11/23 00:00
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

63.いつ以来?



「沙彩ちゃん、どうせなら今日文房具リニューアルでもしないー?」

 授業と授業の間の休み時間、今日の本屋の話だろうか。夏音がそう言った。
 確かに沙彩はしばらく学校に行っていなかったせいか筆箱とかも質素なペンケースなうえシャーペンと消しゴムしか入っていないような感じ。夏音からしたら有り得ないんだろう、筆箱を見ながらそう言っていた。
 その提案自体は悪くないと思い沙彩はそうする、と言った。丁度今日は5時間で終わるため、家に財布を取りに帰る時間はあるはず。

「そして私は新発売の蛍光ペンをー…」
「買うな。またお金無くなるよ?」
「いいのいいの!ちょっとくらいー!」
「夏音のちょっとはちょっとじゃないから心配よ……」

 筆箱も買うとすれば3000円くらいはいるのだろうと思い、沙彩は大体の計画を頭の中で組み立てておいた――。本屋に行くことがこんなに楽しいと思えるのは久々かもしれない。


○*


「レッツゴー本屋!」
「トゥーが要るんじゃないの?文法的に」
「こんな時にまで英語は要らないよぉ……!」

 沙彩、夏音、千春、俊、悠夜。香澄とひかりは部活や家の用事で不参加となったので、このメンバーで行くことになった。……これは、夏祭り以来だろうか。あの時はひかりも居たけれど。

「てか……本屋行くのは良いけど何するつもりなんだよ?」
「決まってるでしょ秋本くんー、文房具を買うんだよー!沙彩ちゃんのあまりの文房具のなさに提案したの~」
「いや、月島は良いけど…俺らは」
「そこら辺でぶらぶらしとく~。あたしたちは女子会やっとくから、2人は……男子会でもしといて?」
「適当!」

 夏音は異常にテンションが高い。よほど沙彩が学校に来たことが嬉しいのだろうか。こうやって沙彩が少しずつでも心を開いていくことが自分のことのように嬉しいと感じるのだろうか。いつもより饒舌だった。

 少しすると本屋に着く。沙彩は鞄から外には見えないように所持金を確認する。……というのも、夏音と来たときはいつも使いすぎてしまうことが多いからだ。ちゃんと計画を立てて買わないと、叔母さんからもらった大切なお小遣いなのだから。

「さー!沙彩ちゃん、千春ちゃん!文房具売り場へ行くよ~」
「はいはい……」
「いえーい!」

 ……あまりにもテンションが高すぎて沙彩は半分呆れ気味なのだが、たまにはこういう空気も良いかな、と思い目を伏せてその嬉しさをしみじみと感じ取っていた――。


(こんなの、いつ以来かな…)