コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中』 ( No.171 )
- 日時: 2017/11/24 20:12
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
- 参照: 最終章突入!
『第5章』
65.誕生日パーティー。
それから沙彩は1週間に3回程度は学校に行くようになった――。それから2ヶ月ほど経った頃。
「ねぇねぇ……」
今日は沙彩は学校に来ていない。沙彩もかなり心を開いたのだが、まだ心の痛みはあるのだ。そのタイミングを見計らって、夏音は千春やひかり、香澄、悠夜、俊。沙彩と仲の良いメンバーに声を掛けた。
「2週間後、沙彩ちゃんの――」
○*
放課後。あれから少し話した結果、夏音たちはカフェに行くことになった。
どうやら今日は部活はないらしく、皆の都合がついたようだ。そしてわざわざカフェに行くのは、夏音が言った「あの話」について話し合うためだ。
『――沙彩ちゃんの誕生日なんだけど、サプライズパーティーでもしないー?』
あの話とはこういうことだ。
12月12日。沙彩の14歳の誕生日――。
多分沙彩は中学になってから一度も人に誕生日を祝われたことはないはずなのだ。言ってしまっては悪いが。母親、父親が居なくなってしまって……夏休みが明けてからは不登校。夏音は沙彩と知り合ってから何回か家に訪れたり本屋に行って話したりもしたが、そういえば誕生日は祝ったことがない。
だからこそ、今回は温かい友達に囲まれた誕生日を過ごして欲しい――言葉にはしないが、夏音にはそんな願いがある。
「はしょはどーふるお?」
千春がパンケーキをもぐもぐしながら言った。「場所はどうするの」だ。
「……千春ちゃんの家って、大きいよねー?確か」
「まぁ、人並みには…?」
「どうせならでっかい家がいいよー!千春ちゃんの家使わせて貰える~?」
「もちろん!私の家で良いならね!」
そもそも、中学生の所持金でパンケーキを頼んでいる時点で何か違う。割と千春の家は裕福なのだろうか。
とりあえず場所は決まったとして。
「12月12日…………土曜日!丁度良いんじゃない?皆参加できるー?」
「土曜やったらええよ」
「12日だったらテニス部も休みだった気がする」
「私も…大丈夫です」
よし決まり、と夏音が呟いて何やらメモ用紙に書いていく。日にち、場所、時間……そんなことが書いてあった。今日の話し合いで決めることだろう。
言い始めたのは2週間前だが、夏音はずっと前から考えていたのだろうか…。沙彩に楽しんでもらうために。
「じゃあ……飾り付けとお菓子作りはあたしたち女子でやるよー。男子は飲み物お願いできる?」
「分かった」
「了解ー」
多分こんな、会議を開くくらい大きな誕生日パーティーを沙彩は開いてもらったことがないはず。キッと喜んでくれるはず、夏音はただ一心でパーティーの内容を考えた――。