コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『最終章開始♪』 ( No.177 )
日時: 2017/12/01 15:01
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

67.進む準備。



 沙彩の誕生日まで1週間をきるとそれはもう大忙しで、なんかゲームをしようとか飾り付けどうするのかとか、意見が飛び交っている。夏音がもう少し前から企画しておいたことを言っておけばよかったと呆れるほど。
 でも皆熱意を持っているから、何も言わないでおく。

「この部屋1週間使っても平気ー?」
「大丈夫!中々使わない部屋だから。飾り付けしても全然平気」

 パーティーに向けての飾り付けは夏音と千春で行っているのだが、元々この部屋がお洒落だからあまり飾り付けする必要はなさそうなのだが、どうしてもやりたいという夏音の声で今、ガーランドを作っている。さすがに天井に張り付けるのには手間がかかるから壁に。
 「happy birthday SAYA」とくりぬかれた紙をフラッグ状に切って紐に貼り付け、良い感じに曲線に作って貼り付ける――その良い感じというのが難しく、背が高いからという理由でこれをやらされた悠夜と俊はどうすればいいんだよと嘆いていた。

 そして、香澄とひかりはガトーショコラ作りの練習。香澄は元々家庭的なことが得意らしい。ひかりは陸上をずっとやってきたから器用なことは苦手らしいが、何とか出来るようになりたいからと補佐役。

「うーん……卵の量が少ないんでしょうか」
「うちには分からんよ…」

 こっちはこっちで苦労しているようだ。

「ずれてるずれてるー!曲線になってないよ~」
「何で桃瀬と有川がやらねぇんだよ……俺たちじゃ無理だって…」
「だからよそ見したらずれるよ!?俊くんそっち押さえて!」

 ……などとかなりハプニングが起こっているようだが、残された期間は1週間――短くも長くもないこの期間に、どれだけ沙彩を喜ばせられるか。夏音達は準備を進める――。


○*


「沙彩ちゃん、今日は学校来てくれたんだね!」
「ええ……おはよ」
「おはよ~。段々違和感なくなってきたかもー」

 翌日。今日は沙彩は学校に来ているから、学校内でのパーティーの会話は出来なさそうだ。
 それを目線で千春と夏音が確認して、口パクで「今日はやめよう」と言う。沙彩は特に気にして居なさそうだ。
 
 その時、千春はふと思いついて夏音を呼ぶ。少し沙彩の席から離れたところへ。

「どしたのー?」
「あのさ、沙彩ちゃんに12日に私の家来てって言わなきゃ駄目だよね」
「そうだね~……そっか……なんか自然な言い方ないかなー」

 突然自分の席から離れて何話してるんだろうと沙彩の訝しげな視線を受けながらも夏音と千春は悩む。やがて千春はあっと声を出した。何か思いついたのだろう。

「そうだ、勉強教えてって言うのは……?私だったら自然じゃない?」
「そうだね……言ってくれるー?ひかりちゃん達とかが来るのは内緒で良いよね」

 千春はわかった、と軽く頷いてとりあえず自分の席に戻る。今言ったら絶対何かあると勘づかれてしまうはず。ましてや頭の良い沙彩にだったら絶対ばれてしまう――。
 やはり知らない方が面白いだろうし、普段感情を見せない彼女を驚かせるために。