コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『最終章開始♪』 ( No.180 )
日時: 2017/12/02 10:49
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

69.朝から勉強会?


「千春、勉強会……何時から?」

 沙彩の誕生日パーティー――沙彩は勉強会だと思っているが、それまであと4日になった。沙彩はそう言えば思い出したというように千春に聞く。
 そういえば言っていなかったと千春はしばらく考える。

(朝からの方が良いよね……夏音ちゃんに時間相談しとけば良かったなぁ……)

 心の中ではそんなことを考えながら、表ではうーん、どうしようかなーと時間だけを考えるふりをする。

「………10時!かな」
「かなり早いわね……お昼ごはんはどうするの?」
「わ、私たち――じゃなくて私が作る!」
「千春って料理できるの?」
「レシピ通りなら!!」

 無理矢理沙彩を安心させるように笑みを浮かべるが、明らかに引きつった笑いに初めて沙彩は疑問を浮かべた。

「……勉強会、なんかあんの?またお母さんに部活やめさせられるとか……」

 「あ、鈍感で良かった」と千春は心の中で安堵のため息をつく。

「いや、今回は前の期末良かったからそんなことないんだ!冬休みの宿題にいっつも苦労するから良かったら復習するのに付き合って貰えないかなーって思っただけ……」
「……勉強熱心ね…。じゃあ10時、勉強道具とかは……」
「大丈夫!勉強道具は……筆箱だけで!色々お世話かけてごめんね!」
「……いや…」

 何だか今日は千春の様子がおかしいと気付いた沙彩であったが、別に何もないのなら何もないで良いだろう。前の期末――実は2週間くらい前にも勉強会をしたのだが、また勉強会。やっぱり変だとは思うが、沙彩はもう何も触れずにおいた――。
 その方が千春も助かるのだけれど……。


○*


「ってわけで……10時からって言っちゃったんだけど……皆大丈夫?」
「10時から始まるって事ですよね?ということは私たちはかなり早くに千春さんの家に行って最終確認をしないといけないって事ですね……」
「ガトーショコラもめっちゃ早くから作らなあかんよな……」

 やはり少し時間を間違えたかもしれない、と放課後のいつものカフェで千春は思う。思えば10時から勉強だなんて沙彩が疑問を抱くのも必然だ。そんな早くから勉強するなどと言ったら何か勘づかれるに違いないのに。

「千春ちゃん、大丈夫ー?沙彩ちゃん、何か勘づいた様子とかないー?」
「……また勉強しないと部活やめさせられるのっては聞かれたけど……パーティーのことに気付いた様子はないと思うよ…」
「中々言動に気をつけないと駄目だよねー…」

 自分で企画したけれど中々サプライズパーティーとなると大変だと夏音はため息をつく。沙彩の喜ぶ・驚くよう様子が見たい、少しでも楽しんでもらいたい――ただ一心で頑張ってきたけれど、やっぱり疲れる。

「月島って勘とか鋭そうだからな……」
「変なところで急にひらめいたりするから大変だよ~」

 悠夜も共感していた。

「……てか、放課後に私たちが急いでカフェ行ってるのも不審に思われてたりしないかな?」

 不意に気になって千春が言った。そういえばそうだと皆が一斉に周りをキョロキョロと見る。
 沙彩の姿はなさそうだし、ここは沙彩の家からは遠いけれど。万が一不審に思った沙彩が尾行していたりしたら大変だ。
 一応沙彩が居ないことを確認すると、夏音は話を切り出す。

「じゃあ10時から始まって、最初にビンゴゲームをしてケーキ食べる?ケーキは10時までに焼いて冷やしておこっか。昼からはなにするー?」

 新たに生じた疑問に沈黙が訪れた。