コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『最終章開始♪』 ( No.184 )
日時: 2017/12/07 18:40
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

72.乙女な趣味?



「……送信っと」

 夏音は「終わったよー」と連絡し、店の前に立っておいた。よく見えそうな場所で。

「秋本くん達が意外に可愛いやつ買ってたら爆笑だよね~」
「確かに……っ」

 夏音の言葉でそれを想像してしまったのだろうか、千春と香澄が笑いを必死に我慢していた。ひかりは完全に具現化してしまったのか吹き出していた。
 夏音が連絡はまだかと携帯を開くと、丁度ラインが来た。

「……まだ決まってないんだって。どんな店行ったんだろー……」
 
 送られてきた内容はまだ決まってないから待ってという感じのことであった。沢山の店を回っているのか、それとも店が大きいのか。それとも、男子達が意外に趣味が乙女なのか……。
 決めるのが長いと一般的には言われる女子陣は20分ほどかかったのだが、それ以上とは。

 夏音は「店どこ?」というラインを送るとすぐに「3階の『コール』って店」と返信が帰ってきた。

「『コール』って店に居るんだってー。行ってみる?」
「面白そう!どんな感じに迷ってるのかな?」
「行こ行こ!早よ行かなすれ違うかもしれへんし」
「そうですね……私もどんな店なのか見てみたいです」
「決まりー!レッツゴー!」

 そんなこんなで、悠夜と俊が居る店に向かうことになった。



○*


 地図でコールという店を見つけ、夏音達はそこに向かう。
 そして着いた先、確かにコール――『Call』という店にたどり着いた。

 だが、その店は――

「あたし達が行った店くらいの可愛い雑貨屋さんじゃん……」

 夏音達がさっきまで行っていたパステルな雰囲気の雑貨屋と何ら変わらない、可愛い目の雑貨屋だった。まさか悠夜と俊がこんな店に入っていたなんて驚きだ。

「あ、あ…秋本くんっ……」
「来るの早!?」
「あたしたちが行ったところは入りたくなかった癖にー……こーんな可愛い店に入ってたんだ?趣味が乙女~」
「だって普通の男っぽいやつだったら桃瀬達が嫌だろ!?」
「はいはい弁解お疲れ様~。それはそれはどうも有り難うございました~」

 夏音は意外に誰かの弱みを見つけたらそれについていじったりするタイプだ。しかも口調のせいかかなりイラッとさせる効果がある。
 悠夜は夏音達のことを思ってこんな可愛い店に入ったようだが、それでも可笑しさはこみ上げてくるばかりだった。

「……でー?雑貨は買えたの?」
「……まぁ。今買ったところ」

 悠夜が羞恥心で頭を抱えてしまったので、代わりに特に何も気にして居なさそうな俊が答えた。これだけいじられて平然としている俊は結構凄いと思う。

「それだったら皆買えたよねー?……3時か……これからどうする?」
「良かったらパンケーキの店にでも行きませんか?秋本くんと松原くんは少し入りにくいかもしれませんがね」
「高宮さんも割と笑顔でそう言うこと言っちゃうタイプなんだ?別にパンケーキの店ってそんなファンシーな雰囲気じゃないでしょ」
「いえ……前に調べたんですけど、割と明るい感じのお店だったと思います」
「いいじゃんいいじゃん!パンケーキ~!食べに行こー」

 パンケーキ、と聞いた瞬間眉がピクリと動いた夏音は遂にしびれを切らして強制的にパンケーキの店へ行くことになった。