コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『最終章開始♪』 ( No.185 )
日時: 2017/12/10 00:23
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

73.いよいよ明日。


「何これかわいい~。超女子じゃん」
「店員さんがこれ頼むんですか!?みたいな顔で注文受けてたよね!」
「うるせぇよ……高宮が言ってた事ってマジだったんだな」
「美味しいしいいじゃん、悠夜……ちょっと…結構辛いけど」

 夏音がそのパンケーキの可愛さに写真を撮っている傍ら、愚痴っている悠夜と俊。その様子を見て大爆笑の千春とひかりと香澄。
 あまりにも彼ら2人にはパンケーキが似合わなさすぎるのだ。

「……サプライズパーティーの用意じゃなかったら沙彩ちゃんも連れてきたかったよねー」
「ほんまそれ!めっちゃおもろいのに……まぁ今回はしゃーないけど」
「サプライズパーティーが終わったらまたどこか行きましょう」

 パンケーキの店に入って30分間、それはあっという間だった。


○*


 そして――2日後。沙彩の誕生日パーティーまであと1日だけとなった。
 この日も沙彩が学校に来ている――それはもちろん良いことなのだが――だから、学校では極力パーティーの話を避けなければいけないのだ。
 夏音は個人個人に「終わったら千春ちゃんの家に集合」と言って、最終確認をすることに決めた。

「千春ちゃん、楽しみだね!明日のパーティー」
「うん!きっと驚くだろうなぁ」

 沙彩に聞こえないように小声で話す。沙彩の驚くか拝めに浮かぶのか、千春は嬉しそうに微笑んだ。

「夏音に千春……は今日も早く帰らないといけなかったりする?」

 その時、沙彩が突然声を掛けてきた。パーティーの話は小声で言っていたから聞こえていないようだが……。

「……え?な、なんでー?」

 丁度最近はパーティーの準備に向けて沙彩をほったらかしにしていたのだ。勘の鋭い沙彩が気付かないわけでもなく……図星を疲れた夏音はいつもの調子を忘れるくらい焦ってしまった。

「ごめん!今日もちょっと早く帰らないと行けなくてさ……来週からは絶対一緒に帰れるから!」

 焦ってしまった夏音を見て千春もかなり焦ったようだが、こじつけの理由を上辺だけの笑顔で述べる。
 一応そのことには気付いていないのか、気付いた上でなのか分からない意味深な笑みを沙彩が浮かべて「分かった」と言った。
 もう、何かに勘づかれている勘が半端ない。

 
○*


 また今日もそそくさと皆で千春の家に向かった。一応尾行などはないことを確認して。
 今日は飾り付けなどの確認だ。一応大体は出来ているからいつもより早く終わりそう。

「モビール吊して……あ、あそこずれてるー。あと100円ショップで色々飾り付けは買ってきたから飾るね~」

 夏音が手っ取り早く作業を進める。前日となって焦っている様子だ。

「ジュース買ってきたから有川さんの家の冷蔵庫って借りれる?」
「あ、いいよ!どうぞどうぞ!」

 好きな人――俊に話しかけられたからテンションが上がっている千春がいるそばで、ひかりと香澄がチョコレートケーキの最終確認。
 
 それぞれがとても忙しい一日を過ごしていて、いつもより楽だとは思っていたけれど意外と喋っている暇もないくらいだった。皆がサプライズパーティーを成功させたい一心で一生懸命手を動かしていた――。

 いよいよ明日は、サプライズパーティーを行う日だ。