コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君との出会いは本屋さん。『最終章開始♪』 ( No.187 )
- 日時: 2017/12/10 22:19
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
74.パーティー開始!
「いらっしゃ~い!沙彩ちゃん、こっちこっち」
パーティー当日――千春は沙彩を家まで案内し、千春が後ろについて案内していった。向かう部屋にはクラッカーを持った沙彩達が居る。もちろん千春も後ろからクラッカーを吹っ掛けるつもりだ。
「すごい大きな家ね……この部屋?」
「うん!開けてみて!」
千春はパーカーのポケットからクラッカーを音を立てないように取り出す。沙彩がドアノブに手を掛けたと同時にクラッカーの紐に手を掛ける。
――ドアがガチャリ、と音を立てたと同時に。
パァン、と大きな音が沙彩を迎え入れた。
「………え?」
「「誕生日おめでとー!!!」」
困惑する沙彩に向かってお構いなしに全員が言う。未だ沙彩は困惑状態だが、少しずつ状況を理解していって居るようだ。「そっか、今日誕生日か……」と呟いて部屋の様子を見回した。
部屋は一面綺麗に飾られていて、設置されている机にも造花が飾ってあって。いかにもパーティー仕様、と呼べるような綺麗な部屋だった。
「happy birthday SAYA」というガーランドから、誕生日パーティーであることも確信できる。これは間違いなく夏音達が自分のためにやってくれたパーティーなのだ――沙彩はそれを確認すると無性に嬉しい気分になった。
「……皆……」
「驚いたー?2週間くらい前からずっとやってたんだよ~」
目を丸くしている沙彩に向かって夏音が言う。だから最近早く帰っていたのかと沙彩は納得していた。
「ごめんね!最近早く帰ってて……ずっとこれ準備してたんだよ」
「……なんか……すごい…嬉しい。本当、ありがと……!」
沙彩は素直に感謝の言葉を言った。その言葉に今まで準備してきた甲斐があった、と夏音達全員が安堵の表情を浮かべた。
「とにかく座って座って!今からビンゴゲームするよ!!」
「あ、ありがと……」
「これ、カード!早速始めよ!」
千春の元気がよい声に合わせて夏音が自作のくじを取り出す。立方体のような箱の上に丸い穴が空いていて、その穴に手を突っ込んでくじを引くという方法だ。箱の中には1~75番までの番号の紙が入っている。
「じゃあー…………はーい!46!」
早速ビンゴゲームが始まったようだ。夏音が高らかに最初の番号を宣言する。
その途端、「45ならあるのに……」という声が聞こえてくる。
(46……あるじゃん)
番号があったときにそれを開ける「パチッ」という音が誰からも聞こえない中、沙彩にだけは46番があったようだ。
その番号のところをあけると、隣に座っていたひかりがのぞき込んできた。
「お~、沙彩ちゃん46番あったんや?ええなぁ~」
「たまたまよ……多分ね…」
そんな会話をしていると、夏音が次のくじを引いていた。
「11番ー!」
何人かがあった、と声を出して11番のところをあける。沙彩も「B」の欄を見てみると、あった。それに丁度、「FREE」と46番と11番が横1列に並んでいて、割とリーチに近い状況だった。
――それから3回ほど惹いた後。沙彩は何らかの数字をあけて――彼女が手を挙げた。なになにー、と夏音が首を傾げると。
「ビンゴ。横1列で…」
「えっ!?早ー…」
夏音が沙彩のカードを見て確認すると、確かに、と言って突然大きな箱を取り出した。その箱の中には、夏音達が買ったプレゼントが。
ちなみにプレゼントは交換会となると沙彩は持ってきていない分夏音がもう1つ買っておいたから過不足はない。
「好きなの選んでー」
「え……いいの?」
「もちろん!だからこの箱出してるんじゃん~」
どうしよう、と明らかに沙彩が動揺している様子を夏音が可笑しそうに見る。探っている中で、沙彩は手袋――香澄の選んだものを見つけた。それを手に取り、「これにしよっかな」と笑顔で言う。
それは今までには見たこと無いくらいの嬉しそうな笑顔で――やっぱり企画して良かったな、と夏音は改めて思った。