コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『☆続編開幕☆』 ( No.197 )
日時: 2018/04/09 19:34
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
参照: 第6章。

79.新たなイベント。



「初詣…?みんなで行くの?」
「うん。楽しそうじゃないー?」

 パーティーから数日後の朝――。まだほとぼりが冷めない頃。夏音は沙彩にそんな提案を持ちかけていた。今は12月中旬。年明けはもうすぐで、それに冬休みが近い。今の時期に言っておくのは自然だ。
 沙彩は案の定戸惑いを隠せなかった。……初詣なんてしばらく行っていないし、友達と行くとなったらそんなことは初めてだ。

「……着物、ないけど」
「今回は私服だよー。寒いし、人混みだし」

 戸惑いのまま、何らかの理由を付けて断ろうかと思って口走ったが、夏音にはお見通しのようで。沙彩が言葉を詰まらせたのを、目ざとく拾った。

「どー?」
「……みんなは、もう誘ったの?」
「これから誘うよ~」
「……みんな行くなら私も……」

 その言葉に、夏音は一瞬驚いた顔をして――それから、盛大に呆れたような顔になった。

「……はぁー…、沙彩ちゃんがどうしたいかだよ~。みんなはもちろん誘うよ?ってか、嫌なのー?」
「そういうわけじゃないけど、なんか……新鮮だなぁって」
「なんだ、じゃあ……」
「……行きたい、です」
「いえーい!じゃあみんなを誘ってくるね~」

 嵐のように過ぎ去っていった夏音。パーティーに引き続き、沙彩の胸は高鳴っていた。


○*


 夏音は廊下を歩いていると、鞄を背負って教室に向かってくる千春の姿が目に入った。
 早速、主旨を伝えて千春を誘う。

「初詣?いいよ!沙彩ちゃんも来るの?」
「うん~。誘って、行きたいって言ってたよー」
「やったぁ!!じゃあ私、ひかりちゃん誘うよ!」
「よろしくー。あ、ついでに俊くんにも声かければ?」
「……おぉ……頑張る!分かった!」

 少し茶化すように夏音は言ったのだが、千春は素直に受け止めてしまったようで。夏音は千春が俊のことを好きなのは知っている。だから時々、こういうことを言ったりするのだ。青春だなぁー、なんて思いながら。

 夏音がパタパタと走っていく千春を目映そうに見つめながら、しばらく廊下を彷徨いていると。

「……あ、秋本くん。おはよー」
「桃瀬か。おはよ」
「早速だけど!年明けたら初詣行かないー?」

 ……早速過ぎる。悠夜はそんな気迫に押されながら、「初詣か」と呟いて考えた。

「……いいけど。1日の朝?」
「やった!うん、朝か昼くらいに行こうかなって思ってるよ~」
「ふーん……分かった。また詳細決まったら教えて」
「おっけーい」

 もうそろそろ、みんながやってくる頃だろう。夏音は悠夜と一緒に教室までの道を歩いた。