コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『☆続編開幕☆』 ( No.213 )
日時: 2019/03/31 15:34
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

『第7章』

87.2月14日は…



 それから早1ヶ月――この時期は、男子が浮かれ、女子が燃える季節。なぜなら――

「沙彩ちゃん、バレンタイン何かつくるのー?」
「は?バレンタイン?」

 そう、この季節だからだ。好きな人にチョコを渡す――恋愛において最も大事なその日、バレンタインデー。
 今まで不登校だった沙彩に、そんな日は関係なかったのだが……学校に来るようになり、そのようなイベントに参加する機会を与えられる。しかし当の本人は全く興味がないようだ。

「バレンタインデーだよ~、ほら、義理でも良いから男子に渡しなよ」
「面倒くさい……どうして私がそんなことしなきゃいけないの」
「……いや別に良いけどさー、せっかくの機会なんだし」

 沙彩ははぁ、とため息をつく。浮き足だって照れてる男子を冷めた表情で見据える彼女は、心底呆れているようだった。

「千春ちゃんはもちろん俊くんに―――」
「それは言っちゃ駄目ー!!!」
「もごっ」

 全く恋愛に於ける進展がない千春と俊。このように、少しでも相手を意識させるためにもバレンタインデーは重要なのだ。

「だってさ、不登校だった私から急にチョコもらうとかおかしくない?」
「沙彩ちゃんをよく知らない人はそうかもしれないけどー……、ほら、秋本くんとか。お世話になったでしょー?」
「何だって私があいつに……まぁ色々お世話にはなったけど」
「来年はこの時期受験だよ~?今年だけなんだから、はっちゃけられるのは!」
「何でそんなに熱が籠もってるのよ」

 沙彩は流し目で夏音を見た後、考える。

(……そんなこと言ったって、何作ればいいのよ)

 密かに、バレンタインデーの計画を立てていた。お世話になった、という言葉が効いたのかもしれない。


○*


「あーー!!!お姉ちゃん!!バレンタインどうしよう!!?」
「うん?もしかして千春ちゃん、好きな人居るの?」
「……そうなの!だからどうしよう!?」
「ついにあなたにも春が来たのね……」

 千春の姉――秋帆あきほ。文字通り秋に生まれた、千春より3個上の姉だ。彼女には最近彼氏が出来たらしい。そのことを知る千春は、早速姉に相談してみることにした。

「お姉ちゃんはバレンタイン何作るの?」
「あたしはねぇ、ガトーショコラよ。本命に渡すんだったらクッキーやグミはやめなさい」
「なんで?」
「恋人にはならない、貴方のことが嫌いって意味を持つのよ」
「えー!!絶対やめよう!!」
「そうねぇ……カップケーキとかがいいんじゃないかしら?これには、貴方を特別な存在として見ているって意味が込められるらしいわよ。彼が知っているのかは分からないけどね」
「わかった!!カップケーキ作る!!」

 バレンタインまであと2日――有川家は、カップケーキの試作の匂いでいっぱいになっていた。