コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君との出会いは本屋さん。『☆続編開幕☆』 ( No.214 )
- 日時: 2019/04/01 12:06
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
- 参照: それぞれのバレンタインの話。
88.
バレンタイン前日――女子達は明日渡すお菓子を一生懸命作っている。千春も、その一人。俊に渡すためのカップケーキ……ふっくらと膨らんだプレーンのケーキの前で、千春は腕を組み考えていた。
(デコレーションどうしよう……!!)
そう、プレーンの生地ということもあり、美味しそうではあるが地味なのである。だからこそのデコレーション……これでこのカップケーキに対する印象が変わる。
(こここ、告白はデコレーションじゃ駄目だよね!?じゃあアラザン散らそうかな……それかチョコペンでなんか書く!?あぁもう……!!)
葛藤の末。ホイップクリームを絞り、アラザンを乗せることにした。
(ど、どんな顔して渡せば良いんだろう……)
初めて作った本命。受け取ってくれるのか不安な気持ちと、喜んだ顔の妄想で千春の頭はいっぱいになるのであった。
○*
「よしっ、できた……」
悩んだ末。お世話になった人たち全員に贈ろうと思い、大量生産の可能なクッキーを作ることにした沙彩。
ラッピングの袋に数個のクッキーを入れ、それを紙袋に詰めていく。明日はこれを学校に持っていかないと、と沙彩は自分の学校鞄の近くに置いた。
沙彩のクラスの学級委員長であり、彼女を学校に引き戻すきっかけとなってくれた悠夜。何もかも塞ぎ込んでいた彼女の傍にずっと寄り添い続けてくれた夏音。夏音を通じて出会い、以来沙彩を元気づける存在となってくれた千春。幼馴染みであり、目立ちはしないが色々な手助けをしてくれた俊。陸上部のときのライバルであり、そして仲間であるひかり。出会って間もないが、学校に行くようになって初めて得た友達である香澄。
そして、沙彩。知り合いというと夏音と俊しか居なかった彼女の友達はこんなに増えた。
彼彼女らに感謝の気持ちを込めて――。沙彩の頬は、心なしか緩んでいた。
○*
「姉ちゃん何作ってるの?」
桃瀬家。夏音には小学5年生の弟、日向がいる。この姉弟は割と仲が良く、兄弟げんかもあまりない――
「明日はバレンタインだからね~、生チョコだよー」
「ふーん……………」
謎の間を、夏音は不思議に思い日向の顔を見る。夏音より低い身長の日向は、知らず知らずのうちに上目遣いをして何かを訴えていた。それを見て夏音はピンと来る。
「…欲しいのー?」
「……」
無言でこくっ、と頷いた日向。
(あ、可愛い)
兄弟げんかが少ないのは、日向の可愛さに夏音が甘やかしてしまうからかもしれない。
○
今回はそれぞれのバレンタイン前日の過ごし方。
こういう感じのほのぼのした(?)日常っていいですよね……。
話は変わりますが新元号発表されましたね!←