コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『☆続編開幕☆』 ( No.215 )
日時: 2019/06/02 12:23
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

89.



「はぁ~~、緊張する……」

 翌朝、教室で。ピンクの袋に入ったカップケーキを見つめながら、千春はため息をつく。今日はバレンタイン当日。どんな風に渡そうかなぁ、なんて考えながら、千春は俊が学校に来るのを待っていた。
 
「あ、おっはよー」

 いつも通り少し気だるけな挨拶が、教室のドアの方から聞こえてきた。夏音だ。

「おはよう!夏音ちゃん」
「そのピンクの袋は…俊くんに渡すやつ、かな」
「そうなの!!すっごい緊張するよ…!」

 一生懸命恋に向きあう千春に、夏音は大丈夫だよ、と声を掛ける。そして、

「あぁこれ、千春ちゃんにあげる」

 取り出したのは昨日作った生チョコ。千春は友チョコという文化があったのを知らず、俊にしか作ってきていなかった。夏音の作った生チョコを見て驚愕する。

「えぇぇ!?女子同士でもチョコって贈り合うの!?」
「そーだよ~。世間知らずだなぁ、千春ちゃんは」
「うー……ごめん!ホワイトデーには返すから……!」
「そう?じゃー楽しみにしてる~」

 そう言った後、夏音は部活のメンバーにも一応渡してくると言い残して教室を去った。
 早い時間に来たせいか、まだ教室には誰も居ない。窓の向こうの木の葉がすれる音が聞こえるくらい静かだ。

 そんな静寂を、ドアの開く音が破った。

「……あ、」

 俊だ。その姿を見て、千春の鼓動は高くなる。

「お、おはようございます…!」
「おはよう。有川さん、早いね」
「あ、はい………」

 千春は後ろに隠したピンクの袋――カップケーキを軽く握りしめた。俊はその間に自分の席に着く。

(早くしないと、他の人が来るかもしれない)

 大丈夫と言った夏音の言葉を信じて、千春は俊の席へと一歩踏み出す。

 そして。

「あの……俊、くん」

 呼びかけの声に、俊が振り向く。胸の鼓動を、千春は必死に笑顔の裏に隠した。

「こ、これっ!どうぞ!!」

 なるようになれ、と千春は俊の目の前にピンクの袋を突きつけた。勢いのあまり俊の顔面に当たりそうになったが、辛うじてそれをよける。

「あ、ご、ごめんなさい……」
「はは……ビックリした、これ俺に?」
「そう!です…!」
「ありがと」

 俊の微笑みに、千春の鼓動は収まるどころかもっと速く、高くなるばかりだったが、とりあえず受け取ってもらえた喜びに千春は安堵した。

「そういえば何で敬語なの?」
「え…?別に、何となく癖なだけですよ」
「女子にはタメ口じゃん。俺にもタメ口でいいよ」
「え、あ、そう…?」
「うん。そっちの方が楽でしょ」
「うん……!ありがとう!――――」






○*

お久しぶりです!高校生活始まって2ヶ月。ハードスケジュールで体調を壊したましゅです。←
部活にも入って充実した日々を送っては居ますが、中学校時代帰宅部だった生で体力がありません!笑

今回は千春と俊の恋模様。まだ一方的片思いですねー。
こんなにこの作品でガッツリと恋の話を書く日が来るなんて。
千春は、男子に敬語って言う設定なんですが、私がちゃんとそれを守って書いていたかは不明です。もうそういうことにしておいてください<(_ _*)>