コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ・オリキャラ募集中!』 ( No.30 )
日時: 2017/07/30 18:49
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

12.テストの日は。



「「「お疲れ様でしたー!!」」」


テニス部員20人の声が響き渡る部室。丁度部活が終わり、今から帰ると言うところだ。



「――今日は珍しく様子を見に行ってくれって言われなかったんだ?」
「ああ……まぁ、もうそろそろテスト一週間前だからじゃね?」

そう、今日は珍しく。佐野に「月島さんの様子を見に行って欲しい」と言われなかったのだ。だから久しぶりに部活をすることが出来た。
……と言っても、部活をするのはあと数日で一旦お休み。期末テストまであと1週間あまりだからだ。内申点の関係で、そんな時期に勉強と関係ないことはさすがにさせてはいけないと思ったのだろう。

「もうそんな時期か……」
「けど、俊はあんまり困らねーだろ?お前頭良いしなー」
「そういう悠夜だって平均点以下は取らないじゃん」
「でないと顧問がなんて言うかわかんねぇし」

学業優先だもんねー、と俊が苦笑いで返す。


「――そういえば…月島はテストの時は来るんだっけ?」



『ありとあらゆる式と、定期テストの日にだけ来る……』

ふと、佐野の言葉が蘇る。そういえば……テストの日には来ると言っていた。内申点に関わるからか、教師たちに何か言われるのを勘弁だと思っているからか。おそらく後者だろうが、少し不思議だ。




「――やっほー!今帰りー?」


教室へ鞄を取りに廊下を歩いていると、最近は聞き慣れた明るくも気だるそうな声。

「夏音?今日は部活サボらなかったの?」
「たまにはねー!沙彩ちゃんは今日からちょっと家で勉強するらしいからさ~、どうせ暇だし」
「月島って頭良いらしいな」
「そうだね~、特に沙彩ちゃんは数学と英語が得意だよー。英語に至っては話すのもペラペラでびっくりするよー……」
「あんまり話したりはしなさそうだけど」
「それは言っちゃ駄目だね!」

人差し指を唇に当てて笑みを作る夏音は心なしか怒っているような気がした。……沙彩のことを悪く言うのは許さないようだ。彼女のこんな笑みは恐怖にも近い感情を覚える。

「…………学校来てなくても頭良いとか羨ましい」
「そうだね~。じゃあ帰ろっか」






――帰り道には、夕陽が降り注いでいた。