コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ募集中』 ( No.4 )
日時: 2017/07/30 18:31
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

00.不登校児。



田舎と都会の中間くらい、交通の便や店などはある程度整ったこの町――涼風りょうふう市の涼風中学校。涼風中学校の生徒や、部活関係で対決する中学校の生徒は皆、すず中と呼んでいる。

そんな中学校の2年3組には――実は不登校児がいるのだ。


「不登校児っすか……?」

2年3組の学級委員の人は職員室前に集まってください――そんな放送を受けて、その組の学級委員――秋本悠夜あきもとゆうやは困ったように、3組の女担任から渡された不登校児に関するプリントを見ていた。

「ええ。いつも始業式、入学式、終業式……ありとあらゆる式と、定期テストの日にだけ学校に来る神出鬼没な人よ」
「し、神出鬼没って……」
「しかも成績がいいのよ、この子。叔母さんが塾講師をやってるらしくて。定期テストは彼女からの要望で保健室で受けてもらってるんだけど……ほぼ100点。しかも全部!」

私が担当している数学なんて100点以外取られたことないわ――そんな担任の微かに苛立ったような声を聞きながら、プリントを見る。

そのプリントには、多分生徒証明書を作った際の写真を借りてきたのか……この学校の紺色のブレザーの制服姿、真顔の女の子が写っていた。


(月島……沙彩、か。変わった名前だな?)


月島沙彩つきしまさあや。中学2年生にしては大人びた顔立ちをしていて、カラコンを入れていないのに青く光る瞳が特徴的だった。
多分、町中にこんな人が居たら気づくだろう……そんな特徴のある顔だった。


「そういえば……一つ空いてる席があるっけ……3組に」

あまり不登校児に関して気にしたことはなかったが、そういえば悠夜のいる3組には空いている席があった。


「そう、そこが月島さんの席よ。そこでお願いなの」

少しだけ低くなった担任の声に、悠夜は肩を微かに震わせる。
何となく、次に言われる言葉は予測できた。


「彼女に会いに行って、連れてきてほしいの」



――あぁやっぱり。そう来ますよね。

悠夜は声にならない言葉を心の中で呟いて、「はい」と声を振り絞って頷いた……。