コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ・オリキャラ募集中!』 ( No.42 )
- 日時: 2017/08/04 10:07
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
16.純粋な笑みはいつ以来?
「だから、ここ。英単語の綴り間違ってるって。lakeじゃなくてlike。湖なわけないじゃない……これも間違えるって……想像以上に勉強できないのね、貴女……」
「小学校の時にもまともに勉強してないんだよぉ……」
「中学1年生の時は?」
「内申関係ないからしてないよ……」
勉強会が進むにつれ、沙彩はかなり千春のことが分かってきた。……想像以上に勉強が出来ないこと。簡単な英単語さえも分からないこと。やる気はあるようだが、それに頭脳が比例していないという何とも残念に思えてくる子だった。
「――そういえば。何で千春…は私に勉強教えてもらいたいと思ったの?」
つまずきながらも自身のやる気で何とかしようと必死に頑張る千春を見て、ふと沙彩は感じたことを言ってみた。
沙彩と夏音が幼馴染みで友達、その夏音と友達だからと言って簡単に勉強を教えてくれるとは限らない。むしろこんな結果になったことの方が不思議なくらいなのだ。
すると千春は。
「次のテストで……300点は超えないとお母さんに部活やめさせられるんだよ」
「っえ!?そうなの!!?」
――真っ先に反応したのは夏音だった。まさか、知らなかったのか。
「し、知らなかった……千春ちゃん、バスケット好きだもんねー。そりゃあそんなやる気になるわけだよ~」
千春は大のバスケットボール好きで、小学生の時はクラブに入っていた。中学生になってからももちろんバスケ部に入り、3年生たちを押しのけてレギュラー入りするなど実力も相当。
だからそんな大好きな部活をやめさせられるのは相当ショックなんだろう。
「……なら、私…貴女が300点超えられるように頑張るね…!」
――その勉強会の時に、初めて見せた笑みは応援の意味と自分も頑張るという力強い意味が込められた笑みだった。
○**
「っぷっはあああー!」
「やっぱサイダーって美味しー♪」
3時間ほど経って。ようやく千春が何となく理解を深めてきたお祝いとして沙彩がジュースを入れて皆で飲んでいた。
「それ飲んだら続きするよ?」
「お厳しい……沙彩ちゃんもサイダー飲めば?」
「私は後で飲むから。千春、だいぶ分かるようになってきたじゃない」
「まぁ、やれば出来るみたいな??」
「……千春ちゃんが調子乗ってるー」
夏音の一言に沙彩の部屋が笑いに包まれる。
……もちろん、沙彩も笑っていた。
(――そんなに笑う沙彩ちゃん、久しぶりだね)
事情を知っている夏音から見たら、少し微笑ましくなるような光景だった――。