コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ・オリキャラ募集中!』 ( No.57 )
日時: 2017/08/11 00:56
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

23.寧ろ嬉しさだって。



「―――はぁ?」

あまりにも予想外だった悠夜の言葉に沙彩が間抜けな声を上げた。佐野のことを勘づかれて、そのことを聞かれていると思った沙彩には全く予想できなかった。

「え?……何でそんな反応?」
「……い、意外だった…から……」

佐野のことを聞いてくるのかと思って、という言葉を思わず言い出しそうになったが、悠夜のことだから少ない言葉でも何か分かってしまうんじゃないかと思って慌てて飲み込む。「意外だったから」ともう一度念を押すように言って、苦笑いをした。


「そんな意外…?前に学校に関して言ったら本気で怒るって言ってただろ?俺もその程度の約束なら守るし。なんか心外」
「あ……一応学校に関して聞きたいことはあったのね……」
「まぁそりゃそうだろ、けど…月島は話したくなさそうだしもういいけど」


そんなだったら、先生に怒られるんじゃないの――?


沙彩が思った言葉は、悠夜なりの優しさによって心の奥深くに消えていってしまった。


○**




それからしばらくして。
千春が自身のコミュニケーション能力で俊や悠夜とはすぐに仲良くなり――話題はテストのことへと移っていった。


「――それでね!あたし、俊くんに勝ったのー!」
「そうなの?え、俊…何点?」

うげ、と明らかに俊は顔をしかめる。

「……455」
「それでね、あたしが467点なの!すごくない!?すごくない!?」
「う、うん……そだね」

夏音の今までに見たことのない興奮ぶりは沙彩や悠夜、千春までもがどん引きするほどだった。
皆が冷や汗をかいて夏音の様子を見ている。

「あ、はは……ごめん、大きい声出し過ぎたー……」
「うん……そだね。私たちどころかお客さんの視線まで集まってるよ」
「え!?うっそー…すみませーん、皆さん!」

夏音の良く響く声が客の訝しげな視線にいつの間にか変わっていて……夏音は慌てて謝った。……結構、適当に。


「それで……悠夜くんは、どうだったんですか?テスト」

一瞬のうちに悠夜や俊と仲良くなった千春は、2人のことも名前で呼んでいた。けれど、なぜか同様に最近友達になった沙彩とは違い敬語で話している。

「まさか348点より上なんて言わないでくださいよ!?」

圧力を掛けるが――もう遅い。


「352点」
「あ…あああぁぁ……ですよね、負ける予感はしてましたよ……」


このメンバーの中で一番点数が低いということを実感して、千春は机に項垂れるのであった。
やっぱりこういう明るい人が居ると、場の空気が和む。この5人のメンバーで過ごすことは、沙彩にとって苦痛ではなかった――…。




『第2章』end…