コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ・オリキャラ募集中!』 ( No.66 )
日時: 2017/08/14 10:22
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

26.良案?



(どう思っているか……?)

佐野の突然の問いかけ。集まった150人ほどの中にどよめきが起こる。皆、周りの人とどう思うか…その問いかけに対して答えをまとめているのか、ざわつきも起こっていた。


「変わった奴……」
「静かな子!」

数人の男女の声が聞こえる。
夏音が聞いたその2つのフレーズは、沙彩を表すのに結構的確かなと密かに思った。
始業式や終業式、定期テストの時だけ来る……というのはなぜなのか、それは夏音も知らないし多分沙彩にも理由はないと思う。あるとすれば人としてこれは当然、とでも思っているのだろう。沙彩の基準は分からないが。


「そうですね、彼女は少し変わった子……私も失礼ですがそう思います」

このあたりは夏音も認めるしかなかった。不登校、と言う時点でとりあえず学校に通っている皆と何かが違うのは事実である。

「皆さんは、彼女を学校に来させるためにできることはなんだと思いますか?」

来させる―――その言葉を使ったとき、夏音の眉がピクリと動く。やっぱり……そういう言い方をするから、沙彩はいつまでも拒絶するのだ。



そんなことを夏音が考えていると。突然、夏音の隣に座っていた千春が立ち上がって声を出した。

「――先生!私と夏音ちゃんと俊くんと悠夜くんは最近よく沙彩ちゃんと絡んでいるので、私たちが何か言えば良いんじゃないでしょうか?」

え、と思わず夏音は千春を見上げる。夏音たちより前の方に座っていた悠夜と俊が後ろを振り返る。

「最近よく絡んでいる人間の方が、多分沙彩ちゃんも話しやすいでしょうし!」
「ちょ、千春ちゃん……マジで言ってる?それ……」
「だって、夏音ちゃんと俊くんは幼馴染みですし……きっとこの2人が居れば何とかなると思いますよ!」

あまりにもデタラメな千春の言い分に夏音は思わず絶句してしまうが、佐野はそれを良案だと受け止めてしまったようだ。


「……すみませんが、4人…桃瀬さん、有川さん、松原くん、秋本くん……いいでしょうか?」

千春が嬉しそうにはい!と頷くと同時に、夏音、俊、悠夜は頭を抱えてため息をつくのであった……。



(そんなこと無理だって……先生も分かってるはずなのに……)

夏音の朝からの愚痴は、さらに続きそうだった。