コメディ・ライト小説(新)
- Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ・オリキャラ募集中!』 ( No.75 )
- 日時: 2017/08/24 18:49
- 名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)
29.意外な疑問。
冷蔵庫に常備してあるジュースを2杯入れ、千春が居る沙彩の部屋に持っていく。千春の笑顔の裏に何か隠された目的があるんじゃないかと沙彩はびくびくしたままだ。沙彩が「なんで家に来たの」と言ったときにもあまり動揺を見せなかったから、夏音に言われて……そんな目的ではないと思う。
だからこそ少し怖いのだけれど――
「はぁ……」
もともと、夏音の友達であった千春。夏音は面倒くさがり屋だから、必要以上に友達を作ったりしない。普段過ごしていて楽しいと思える分しか作らないと沙彩は聞いている。そもそも、大人数が嫌いなのだ。
そんな夏音が作りたいと思って作った友達――だから、そんなに悪い子ではないと分かっているけれど。
「タイミング、悪」
少しだけ、学校について考えていたときに……千春に何か言われたら、考えが変わってしまいそうなのだ。
歩いているうちに、沙彩の部屋に着く。
ため息を押し殺してドアノブに手を掛け、ゆっくりとドアを押す。
「あ、ありがと~!」
絨毯に座った千春が、沙彩を見て微笑む。
……その笑顔の真意が、沙彩には分からない。
「………ん」
「あ、オレンジジュース!私好きなんだよ~」
「……そう。良かった」
素っ気ない返答になってしまったけれど千春は大して気にしていないようだ。……というか、いつものことだと思っているのだろうか。
「沙彩ちゃんの部屋、すごく綺麗だね!」
「……あぁ、ありがと」
両親が居ない今あんまり色々なものを買えないからね、そんな言葉を飲み込んで素直に感謝の言葉だけ言う。
それに、突然誰か来る……主に夏音のことだが、そのようなことはよくあるからなるべく散らかさないようにもしている。
「私はあんまり片付けできないから……憧れるなぁ」
―――それから、少しの間沈黙が続く。
(あ……そろそろ、何か聞かれる……)
感覚的に。嫌――とも言える予感に襲われる。
千春が口を開くと同時に、沙彩がぐっと手に力を込めた。
「―――沙彩ちゃんって、俊くんのこと…好きだったりするの?」
――彼女が発した言葉は、あまりにも意外なことだった。