コメディ・ライト小説(新)

Re: 君との出会いは本屋さん。『コメ・オリキャラ募集中!』 ( No.95 )
日時: 2017/09/01 13:54
名前: ましゅ ◆um86M6N5/c (ID: QYM4d7FG)

34.それまでの経緯いきさつ



「な、なんで貴女たちも来たわけ…?」
「え?だって、楽しそうじゃん~」
「2人の浴衣、一緒に選びたいし!」

ひかりに待ち合わせ場所と言われた涼風書店。そこにはなぜか、ひかりだけでなく夏音と千春まで居た――。
まず色々説明するには、一昨日の出来事から……



『ひかりちゃんと沙彩ちゃん、浴衣買いに行けば?』

千春の一言に、ひかりと沙彩の2人が顔を見合わせる。ひかりは少し嬉しそうだが――沙彩は浮かない顔をしていた。

『そんなこと言われても…私、学校行ってないのに友達…と買い物に行くなんて、変な感じだし』
『沙彩ちゃんって1年の時からめんどい性格やな!そんなん別にええやん?学校行けば全部解決する話なんやし』
『んー…でもさ、私にあんまりそんな権利…ない気がするのよね』

両親が亡くなって、そのことを悔やんでいたら佐野に、傷口に塩を塗られるような言い方を遠回しだけどされて。―――というのも、いつまでも振り切れない沙彩にも確かに非があるのだ。佐野が遠回しに言った「いつまでそんなことで悩んでないで」というのは――沙彩の個人的な感情を置いておけば――沙彩の我が儘でもあると言える。

そんな我が儘な自分に、友達と楽しむ権利は―――



『あるに決まってるじゃん!』
『あるに決まっとるやろ!』


沙彩が目を伏せていると、少しして千春とひかりの重なった声が耳に届いた。思わず顔を上げる。

『何言うとんの!?友達と楽しむ権利を自分で奪うとか、有り得へんよ!?』
『そうだよ、沙彩ちゃん!少なくとも…私は沙彩ちゃんと行きたいから!!』





―――2人の真剣な目に、さすがに沙彩も首を縦に振るしかなかった。
それで、今に至る。


「はいはい…別に自分たちで選べると思うけどね」
「この時期浴衣なんていっぱい売ってるのに選べる人なんて殆ど居ないよー?」

まぁそれもそうか、と最初は大人数であることに納得がいかなかった沙彩もその一言で少し納得する。……沙彩は不登校になってkら殆ど服など買っていないし、いざ選んでみようと言うことになったら迷ってしまうかもしれない。そういうときには他人の意見も必要だ。

この本屋から徒歩20分くらいの所に、ショッピングモールがある。今日はそこへ行こう、とひかりが決めた。沙彩はただそれに従うだけだ。


「じゃあ出発ー!」

夏音のいつになく楽しそうなかけ声に、沙彩は呆れながらも何だか嬉しさがこみ上げてくるのは隠せなかった――。