コメディ・ライト小説(新)
- 『カエデメープル』 ( No.102 )
- 日時: 2017/11/07 11:11
- 名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: 0j2IFgnm)
+メッシー優勝おめでとトロフィー代わりの小話第一弾+おまけのおまけ
さて。話を戻そうか。我々だ。なんの話をしていたかな。
そうだ。大和が第一回人気投票で優勝したトロフィー代わりの小話をしていたのだね。
海賊王最新刊(87巻)を買いに行った本屋で偶然出会った、大和と詩緒はそのまま流れ的に、ファミレス『メイプルスター』で楽しいひと時を過ごし「さよなら~」と別れたところで大和が背後に隠れる何者かに「盗み聞きとはいい趣味をお持ちですね~」とか言っていたのだね。
そんな感じの話だったね、たしか、そうだったはずさ、うん。
犯人たちの犯行の瞬間を見届けたり、現実時間でハロウィンが通過したり、第二回人気投票やら、キリ番祝いらすとなんかの準備ですっかり忘れていたよ。
電柱裏に隠れる当の犯人達だって
「ど、ど、ど、どうしようっ!!?」
「さすがめっしー先輩鋭い、すごいです」
「いやっ感心してる場合じゃないからっ、ひそっち!!」
「へぇ~しおちゃんとメッシーそんな関係だったんだぁ。ニヤニヤ」
「ニヤニヤって口で言っちゃってますよっ、千代紙先輩!
あと、しーさんに彼氏なんて穢れた負の存在がいるわけないじゃないですかっ!!?」
「そうなのっ!? カンセツチッスしてたのにっ!?」
「それでもですよ!!!」
かなり動揺しているようだ……というよりも、美希のツッコミの嵐が吹き荒れている。そんなにツッコミを入れまくっていて疲れないのだろうか。いやまず先に喉とか頭の大事な血管とかは大丈夫なのだろうか。枯れてお魚屋さんのおじさんになったりしないだろうか。大事な血管がプッツリいってしまわないか心配だ……などと本人に直接言おうものなら、その何百倍返しだ! とマシンガンのように罵詈雑言が飛んできそうなのでこれの気持ちは我々の心の中にしまっておくとしよう。
「もしかして~気づかれてないと思ってます? あっはは。おめでたい人達ですね~」
「達」と犯人が複数人いると断定されている。
「……やばい目合った」
真っ直ぐに見つめ合ってしまった。さて。どうしよう。
このまま素直に出て行けば許してもらえる……ほど大和は優しくはない。おそらくきっと、この後薄暗い裏路地へ連れ込まれ「諭吉を出せ」的なことを言われるのだ、そうに間違いない! じっちゃんの名に懸けて!
……などとボケている場合ではないのだ。美希達が捕まり、もし仮にも犯行を行うに至った経緯に我々が関与していることをバラされてしまうと、芋づる式に我々も……よし、助け船出港だ。
「ど、ど、どうしよう」
「美希ここはもう諦めて謝ろう? 僕も一緒に謝るから、ね?」
「一緒もなにも、ひそっちも共犯者なんだからね?」
「あっ、今日は見たいドラマの再放送があったんだった! ワタチ帰るねー「自由かぁぁぁああああ!!!」」
「役立たずの先輩が一人居なくなってくれたのはいいけど、状況は全く変わってない!!
むしろ千代紙先輩が大きな声で叫んだせいで、飯野穿破にバレてるよー。バレてるどころかめっちゃ笑ってる! 大声で笑うの我慢して苦笑してるっっっ!?
どーしよう! 先生も神様もひそっちも役立たずだし、このままじゃしーさんに思いを伝える前にわああああんっ!!」
「み、美希!? どうしたのっ。泣かないで。ハンカチ、これで涙を拭いて」
密が差し出したピンクの花柄の刺繍がハンカチを差し出したが「いらないよ!」と拒絶されてしょんぼり。でも気にするな密よ。我々が送り出した秘密兵器『助け船』が今到着したようだからな。
「みきちゃん」
「……えっぐ」
「だいじょうぶ。あとのことはわたしに任せて」
秘密兵器『助け船』は泣いている美希の頭を優しく撫で微笑むと美希達の横を素通り、大和と真正面から向かい合う。
「貴方も物好きですね~」
秘密兵器『助け船』を見つめ大和は悪そうな笑みを浮かべ
「……アリスさん」
と、嫌みたらしく言うのだ。そのお返しにと
「あなた程じゃない」
首を振り、キッと真っ直ぐ大和を見つめ
「……チェシャ猫」
と、嫌みたらしく言うのだ。
「あははっはははははっ」
「ふふふ……ふふふふふっ」
向かい合ったまま不気味に笑い合う二人。正直言って怖いぞこの光景。
「帰ろうっか……美希」
「……うん。そうだね」
美希と密は何事もなかったかのようにこっそりと、ひっそりと、二人に気づかれないようにこの場から逃げるように、差し足忍び足で離れてゆくのだ。それは我々も同じ。
オチは? オチはないのかって? なにを言っているんだい、ワトソン君。オチならほら、
「あははっはははははっ」
「ふふふ……ふふふふふっ」
楽しそうに(不気味に)笑っている大和と秘密兵器『助け船』の二人が立派なオチじゃないか。これ以上にどんなオチがあると言うんだい? 是非とも提示してもらいたいものだね。えっへん。
「あははっはははははっ」
「ふふふ……ふふふふふっ」
今日一日を経て得た教訓、この二人は混ぜたら危険でした。
+メッシー優勝おめでとトロフィー代わりの小話第一弾+おまけのおまけ 全部丸っと*fan*