コメディ・ライト小説(新)

その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.61 )
日時: 2017/11/05 20:37
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: 344/XKJR)

カポーンッ。

昼間アホの千代紙さんに散々な目に合わされた私(達)は本日泊る宿である旅館にある露天風呂で疲れを癒すことにしました。

「今誰も入っていないみたいですか貸し切りですねっしーさん♪」

「やほーい♪ 泳ぐぞぉぉぉ!!」

「ちよ子先輩には言ってないですよ! 温泉で泳ぐって小学生ですかっ!!?」

本当ほんとっ千代紙さんはアホですね。
脱衣所で着替えるだけなのにどうしてこんなにもうるさいのでしょう、あの子たちは。
蛙の子は蛙……親が親なら子も子、というわけですね。ふんっ。

「ふふふ」

「彗? なにかいいことでもあった? 顔ニヤけてる」

「あったと言うよりはこれからある、かな?」

「?」

後ろで着替えている緑屋さんと翡翠さんの会話が少し聞こえてきました。でもなんの話なのか全然わかりませんでした。
ま、まさか最藤くんとイイ感じになろうって話じゃ……ってそんなことあるわけないですよねっ。あの大人し系の2人に限って♪

「んー??? これなんだしー?」

部屋の隅。かどっこに置いてあるゴミ箱前にしゃがみ込んで小野さんがなにか言ってますよ。

「どうなされたんですか、小野さん」

「あ。りつこ~これ見るし~」

と、小野さんがゴミ箱から取り出したのは”バトン”と書かれた紙がセロハンテープで貼り付けられた長さ20㎝くらいの棒でした。

「そ、それはぁぁぁっ!!?」

「りつこ。これがなんなのか知ってるし?」

知っているも何もその棒を手にした者はお話の主役の座を勝ち取れ、お話を自分の好き放題にしっちゃかめっちゃかにしちゃえると言われる伝説的なバトンリレーとかでよく使われてそうな”棒”じゃないっ!!
な、なんでそんな伝説的な棒がこんなところにっ! しかも小野さんが手にしているのですかっ!!?

「ハッ!!?」

「んあ?」

ま、まさか今回のお話の主役は小野さんっ!? 今回あまり出番なかったですね~ご愁傷様です、ぷぷぷ~と思っていたら、後編のトップバッターですって!?
しかも! 最藤くんとの入浴シーンのお話でぇええええ!!?

※当旅館には家族風呂並びに混浴温泉はございません。あしからずに。

最藤くんと混浴なんて絶対にさせないんですからっ! なんとしてでもあの伝説的な棒を小野さんか奪う…いえ、温泉旅館に相応しくない物は没収しなくてはっ、だって私は生徒会なんでしからっえぇ!
しかしどうやって小野さんから伝説的な棒を没収しましょうか……そこか問題です。

「りつこ、これ欲しいし?」

「ええっ!? べ、べべべべべつに欲しいわけでは……」

「じゃあしおにでも…「まっ待ちなさいっ」ん?」

「私個人が欲しいと言うのではないんですよ? でも生徒会長ですから、そうゆう温泉旅館に相応しくないものは没収し保管しないと、ですね……」

「これ、ふさわしくないものだし?」

「えっ……えぇもちろんですっ!! 温泉に棒っなんて、いかがわしすぎますわっ!」

「????」

わ、私は何を言っているのでしょう/// 自分でも何が言いたいのか分からなくなってきました。

「……そんなに欲しいならあげるし、はい」

「だ、だから欲しいわけではなくて、ですねっ! でも有難く頂戴致しますわ」

では。と、小野さんに頭を下げてまだ着替えている皆さんの間を通って行き誰よりも早く引き戸を開けて露天風呂へ、そして

「よっしゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああっっっっ!!!」

勝った! これで今回のお話の主役の座は私の者です!!
さ、斎藤くんとイイ感じになって2人の仲は急接近して、そして2人は……

「会長楽しそうだね」

「うえええええっひ、翡翠さんっ!?」

ぜんっぜん気が付きませんでした。翡翠さんの顔がすぐ後ろにありましたっ。

「だいじょうぶ。わたしの邪魔をしなかったら、会長の邪魔もしないから」

「邪魔って…な、なんのことかしら??? 私は別に何も企んでなんて……」

「わたしの邪魔だけはしないでね」

ビュウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!

「さむっ!!?」

まだ8月なのに冬のような北風が……って翡翠さんがいないっ!? 先ほどまで私の後ろにいたのにっ!!?
翡翠さんってやっぱり不思議な子…。

「やっふー温泉だ♪」

「露天風呂だしーキャフー♪」

「滑りやすいですからね。足元気を付けてくださいね」

「大丈夫だよ、美希。そんなに心配しなくても……ぁ」

「しーさんっ!? だから滑りやすいって言ったじゃないですかっ!!」

「フンッ……騒がしいな」

他の皆さんも来たようですね。1人知らない人もいますけど他のお客様でしょうか。
うちのアホの子たちがご迷惑をおかけして本当申し訳ございません。
このお話では私が主役! なら次回で千代紙さんたちを退場させることだって出来るはずっ!
別に嫌いってわけでも恨みがあるわけでもないですが、私と斎藤くんがイイ感じになるための犠牲だと思って喜んで退場してくださいね。



さあ_熱き戦いの始まりですよ_!!










『あっくんの小さいアレ』高浜 律子side

その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.62 )
日時: 2017/09/28 10:22
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: idqv/Y0h)

『あっくんの小さいアレ』5-2


かぽーん。

「っあぁ~たまらんっ」

「気持ちいいね~」

「ごくらくごくらくだし~」

「生き返ります~」

「………ふふっ」

「爺か貴様らは」

ああぁ気持ちいい。温泉につかっていると日頃の疲れが癒されていくようです……って!! 皆さんと仲良く温泉につかって癒されている場合じゃないんでしたっ!?
今回の私は主役! このお話の神と言っても過言ではない存在! このお邪魔虫である千代紙さん達をなんとしてでも露天風呂から追い出して、竹で出来た壁の向こう側にいる斎藤くんと……イイ感じに///

「あっくんも女湯来るぅ~♪」

「「んなっ!?」」

って何を言っているんですかっこのアホは!!!?

「行くわけねぇだろ!!!」

壁の向こう側から斎藤くんの声が。そ、そうですよね! いくらなんでも斎藤くんがベルリンの壁を乗り越えてこちら側にやって来るわけないでしよねっ!?
もし……乗り越えてやって来る時が来たとしたらそれは……私を壁の向こう側へ連れ去ろうとした時とかっ!?

「キャァァァァァァ////」

「???」

「おい女。このブクブク女はなにがしたい」

「あー……無視しといてあげてください。会長は色々お疲れなんですよ……きっと」

「ふーん……そうか」

もしくは結婚式場で花嫁の私を連れ去ると時とかっ!? それか亀の親玉みたいな怪獣にさらわれた私を赤いMの帽子をかぶりオーバーオールを来た配管工のおじさんみたいに助けに来てくれた時とかっ!?

「キャァァァァァァ///」

「あのブクブク女は無視するとして、あっちのはなんだ」

「もぉー照れなくたっていいんだよ、あっくん♪」

「照れてないわ、アホ!!」

「………あれは人類の汚点です」

「………なるほどそうか」

※案外とはっきりものを言う美希ちゃん。

「もぉー。昔はよく一緒に入ったのに、照れ屋さんなんだから♪」

「一緒に!?」

「会長……どこに食いついているんですか……」

く、食いつくなんて人聞き悪いわね朱雀さん。私は別に食いついたりなんてしてないわ。
……ただ少し気になっただけです。

※それを食いついたと言うのではないでしょうか…。

「可愛かったな~……あっくんのち●ち●!」

「なっ///」

「あ……あはは///」

「むぅ~ブクブク」

「………ふぅ」

「アホ子~どんなんだったし、教えろだし~♪」

「こーんなちっちゃくって~♪」

と、千代紙さんは親指と人差し指で10㎝くらいを表していました。

「そ、そんなの!?」

小さい斎藤くんの……

「嗚呼アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ……ハッ!?」

気が付くと皆私の事を、冷たい目で見つめていました。皆さんの視線が痛いっ。

「べ、別に興味なんてないですからっ!! あるわけないですから!!」

「……むっつりか」

「りつこ興味津々だし?」

「うぅーもう! あがりましょうしーさんっ!」

「え? 美希っ」

「こんな所にいたら、アホがうつってしまいます!!」

「しおあがるし? じゃあアタシも~「イラン先輩はついて来ないでくださいっ!!」わかったついてくし~」

「ふりじゃないですよー!!!」

下の話についていけなくなった、朱雀さんは緑屋さんとついでに小野さんを連れて早々に退場。
当初の計画とはだいぶ違いますが、3人ライヴァルを減らすことができましたっ。結果オーライってやつですねっ♪
あと残るは姿を消した翡翠さんとアホの千代紙さんと観光客の人だけ! この3人さえ退場させることが出来ればもう私の勝利は決まったも同然ですっ!!







つづく☆

その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.63 )
日時: 2017/09/29 10:22
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: rZW0Z4bG)

『あっくんの小さいアレ』5-3


「りっちゃん興味津々か? なら覗きに行こう!!」

「な、何言っているんですか!?」

男女を隔てたベルリンの壁の向こう側へ行こうですって……そんな羨ま…

「は、犯罪よっ!!」

「可愛いものが好きなら一見の価値♪」

「そ、そうゆう問題じゃなくて、ですね!!」

「(………なんだこの不毛な過ぎる会話は)」

「それに今はたぶん、そんなに可愛くないわ!」

「なにぃぃぃ!? なぜわかる!?」

「じょ、常識よ…」

「……ふーん」

ウグッ。観光客の人の冷たい視線が痛いッ!!
べ、べべべべべつに、私が意図的に興味があって調べたとか、そんなことじゃないですからね!? か、勘違いしないでよねっ!?
ただその……おばあちゃん直伝の海苔巻きをもっと美味しく出来ないかと……パソコンでいろいろ検索していたらですね……イロイロ・モロモロな感じのピンクなページに………とばされちゃったりしまして///

「………////」

「どう可愛くないんだ!? おしえてりっちゃんっ!」

「な、なんでそんな説明を!?」

「やっぱり見に行くしかっ!」

「ずるいっ! …ぁ。じゃなくて駄目っ!!」

「(……今宵の月は美しい)」

壁の向こうへ行こうとする千代紙さんの腕をとっさに掴んだはいいですけど、どうしましょう。
なんて言えばアホの進行を止めることができるのでしょうか…。やはり、正直に説明してあげるしかない…の?

「お……大きくなっているの」

「ハ?」

「…驚くほど段違いに!!!」

「なんとっ!?」

「成長度合いで言えば、先頭の形状も変化!」

「かっこよさそう! よけー気になる、のぞこう!」

「駄目ですって!!」

「止めるな、りっちゃんっ」

「止めますよ! だ、だってもしかして斎藤くんの股間の”アレ”が標準の”ソレ”よりも小さくそのことを気にしてたら……貴女が見る事で深く傷つけることになるんですよっ!!!?」

「マジかっ!?」

「斎藤くんのような完璧人間程、そうゆうコンプレックスが強いと聞くわ!!!」

「詳しいな!?」

「やはり貴様、むっつりだろ」

「違います!!」

観光客の人が変な誤解をしてらっしゃるのはずごく気になりますが、今は目の前にいる千代紙さんの方です!
こ、これだけ教えてあげれば満足して出て行ってくれるは……

「だが、そうゆうことならばなおさら見に行かなくてはっ!?」

「ちょと、貴方!?」

無視ですか!? 私が言ったこと完全無視ですか、このアホはっっっ!!?

「そんなあっくんでも私は大好きだよ…と抱きしめてあげたい。
 そして深まる愛!!」

「んなぁぁぁぁああ!?」

「今行くよー、あっくーん♪「待ちなさいっ!!」」

白い戦闘ロボットに乗って「いっきまーす」って数回叫んだだけなのに名言と言われているあの人みたいに飛び出そうとした、千代紙さんの身体を掴み動きを封じました。

「そもそも斎藤くんのソレは小さくないかもっ!!」

「その時は……ワタチが殴られるだけのこと。ワタチは自分が殴られることよりもあっくんが苦しみ続けることの方が辛いから」

「ええええええぇぇぇぇぇええ!!?」

「さあー、離すんだ! ワタチは行くっ!!」

分かります。99%このアホはぶっ飛ばされる。でももし1%の確率で奇跡が起こってしまったら…

***

全裸マンのちよ子とー、あっくんがー

「あっくん…」

「…お前が一番だぜ」

がー

***

「イヤアアアアアアアアアアアアアアァァァァッァァァァアアアア!!!」

そんなことは絶対に起きないと、分かってはいます。でも1%でも起きる可能性があるのなら、私はっ!!

「私も行くわ!!」

「なにぃ!? 殴られるかもしれないというのに、なぜそこまでする!?」

「そ、それは……」

「ん?」

「生徒会長だからです!!」

「生徒会長って大変だなっ!?」

私達は共に手を握り合い

「ならば、共に行くぞ!」

「ええ。斎藤くんのためならっ!」

いざ! 男女を隔てるベルリンの壁の壁の向こう側へ!!

「あっくーーーーん!!!」「斎藤くんっ///」

「――――ッ!?」

「―――ぇ!?」

壁に登り顔を出した瞬間、隣にいた千代紙さんの顔面に鬼の金棒がめり込んでいました。そのまま千代紙さんは女湯の中へジャポン。

「あんたまでいったいなにを……」

斎藤くんの困惑した顔。
い、いけないっこのままだと私は千代紙さんと同類ということにされてしまうわ!! なんとか、誤解を解かないとっ。

「ち、違うの!! 変な目的じゃなくて、あくまで斎藤くんのためにしたことであって、変な目的じゃなくてぇぇぇぇぇええ!!!」

「……わかった。もういいから」

「ぇ? わかってくれた?」

「はいはい」

女湯に戻って温泉につかりなおします。

「あ~良かったぁ」

「(……良くはないだろ)」








※一方その頃男湯では……




「どうして……みんな僕様ではなく斎藤君ばかりなんだろう……」

「アナタが変態だからじゃないですか~?」

「うぅ……ぶくぶくぶく………」

犬神家の一族ならぬ、水仙時財閥の一族が誕生していましたとさ_♪








「ふふふ……レアな写真げっと」














****


ちょっと今回は猥談回になってしまいました(;^ω^) そしてもしかしたら次回もそーなるかも? 
年頃の乙女が集まって話す事と言えば”アレ”しかないですもんね(*ノωノ)

突然ですが問題です。

ゲスト出演した「観光客の人」とは誰のことでしょうか!?

答えは……彼女が正式に登場した回でw



その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.64 )
日時: 2017/09/30 20:17
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: 7ZQQ1CTj)

「なんだろう……これ」
***

「ふぃ~いい湯だったしぃ~」

「おじさんですかっ」

「(……もう少しつかっていたかったのに)」

温泉を出るというしおたちに続けてあがって脱衣所♪
体をふきふきふいて、持って来たパジャマにお着換え~♪ レモン柄のパジャマ、可愛いっしょ?
ちらりと着替えているしおとみきを見てみると~

「もこもこ可愛い!」

「なっ!? いきなり話しかけないでくださいっイラン先輩!!」

みきがしおに(無理やり)着せようとしている羊のコスプレみたいな白いもこもこパジャマ超可愛いし!!
やっぱしおと言えばフードのふわふわは頭の左右にくるんとなった羊の角みたいのがついてて、お尻の方にはちっちゃなしっぽがふりふりで超可愛いし!!

「ふっふっふ」

みきと見つめ合い

「?」

ガシッと腕相撲するときみたいな感じで手を握り合うし。

「イラン先輩もやっぱりそう思いますよね!」

「これを選んだ、みきは見る目あるし!」

お互いの手を握る力が強くなるし。

「……でも真夏にふわもこはちょっと(さすがに暑い)」

「でもも、ちょっとも、ないですよっしーさん!!」

「しお。可愛いは我慢との戦いなんだし」

「は…はぁ…?」

キョトンとしたしおのことはみきが放っといても大丈夫ですから、しーさんの可愛さについて部屋で語り合いませんか? と言って脱衣所のドアを開けてコッチコッチって、てまねきするからしおの腕握って

「へっ?」

脱衣所を出てアタシらが泊る部屋へゴーゴーカレーだし♪





つづく☆



その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.65 )
日時: 2017/10/01 10:35
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: k67I83SS)

「あっ。しーパイセン!」

「およ?」

脱衣所を出てすぐ、白髪の女の子に呼び止められたし。誰だし? しおの知り合い?
女の子はしおに近づいて子犬みたいなカンジでじゃれついてるし。しおも飼い主みたいによしよーしって頭、ナデナデしてあげてるしぃ。

「えへへ~♪」

「ひーちゃん、なんでここにいるの?」

「ぁ……美希もいたんだねっ」

ひーちゃんって呼ばれた女の子はみきを見つけてまたとろ~んってとろけた顔してるぅ~、ほっぺたでも落っことしそぉ~。
しおたちとは昔からの仲良しさんで、今日は家族旅行でタマタマこっちの方に遊びに来てて、タマタマこの旅館に泊まることになったんだって~。で、タマタマ困っていたところに、タマタマしおを発見して嬉しくなってタマタマしながら話しかけてきたそーだし。タマタマ。

「困りごとって……何があったの」

「そ、それがですね…」

歯切れ悪く、アタシらに見えないように後ろに隠していたものを前にもってくるひーちゃん。

「棒?」

「あ……それ」

「アーーー!!?」

「っ!! なんですかいきなりっ!?」

「海の更衣室でロッカーの中にあった変な棒だ。ゴミ箱に捨てたはずなんだけど…」

「旅館の脱衣所のゴミ箱で拾って伝説的な棒じゃん。りつこにボッシュートされたのになんでここにあるし?」

「「へ?」」

しおと顔を見合わせるし。しおの瞳って綺麗な色しててうらやまだしぃ。ウィンクしたら顔赤らめてそっぽ向かれたし、しおってはウブで可愛いし♪

「なにしてるんですか……イラン先輩」

でもみきには冷たく見られたし。ひーちゃんはアゴに手を添えてきょとんと首傾げてるし♪

「えっと、美希はどう思う?」

「べつにどーでもいいですよー。あまりこの件に深く関わっちゃいけないような気がする」

「そうなの?」

「ひーちゃん。この世界で生きていこうと思ったら、深く考えるちゃ駄目なんだよ。
 魔界のモンスター達に食べられちゃうんだよ」

「えっ、僕達食べられちゃうの!?」

「こら美希、変な事吹き込まない。食べたりなんてしないから安心して」

「しーパイセン///」

「しーさんは知らないだけですよぉ~」

ん……楽しそうに話しているしおたち。そっちよりもアタシはひーちゃんちゃんが持っている伝説的な棒が気になるし。
アタシじゃないアタシがあの棒を手に入れろって言ってるような気するし~、そうでなくても伝説とか言われたら欲しくなるのがニンゲンってもんだし~。

「あっ。そうだし! イイコト思いついたし♪」

「イラン?」

「どうしたのですか??」

「(……なんだろう。嫌な予感しかしない)」























『女子部屋/恋バナ』小野 イランside

その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.66 )
日時: 2017/10/03 17:37
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: wSTnsyhj)

『女子部屋/恋バナ』小野 イランside6-3



旅館。和室の3人部屋でふすまで仕切られた2部屋を合体させた6人部屋。畳の上に仲居さんが横2列に引いてくれた布団の上にダイブ! あとポテチとポッキーなどなどお菓子も忘れちゃいけないし♪ すべての準備がととのったらいざ!

「恋バナするしーー♪」

「恋バナナだぜうぇーい♪」

「「「は?」」」

バンザーイって喜んでるアタシとアホ子。あとパチパチしてるすい以外はみんな布団かぶって寝る準備してたしっ、みんな何寝ようとしてるんだし、夜はこれからだろっってコトを言ってやったらりつこが~。

「明日早いんですから寝るのは当たり前です」

って言い返されたし~つまんなぁい~。

「りっちゃん。恋バナナには興味ないのかっ!? あっくんのバナナには興味津々だったのにっ!?」

「んなっっっ//// きょ、興味なんてあるわけないじゃ、ないですか!!? あ、あれは一般常識として、ですね…」

「「………」」

「なんですかっその目は!?」

「ほらほら~、布団に寝っ転がるし~。恋バナするし~」

「ぐっ!!」

なんかりつこの顔が怒ってたっぽい気するけど知らな~いし♪ ココハ楽しんだもの勝ちってうやだし♪ 女の子が6人プラスゲストがいるのに恋バナしないなんてありえないし♪

「………///」

「どうしたの?」

「女の人ばかりの部屋に僕が居てもいいのでしょうか///」

「あら? そういえば貴方…見ない顔ですね。お名前は?」

「僕は……「ゲストさんだよっりっちゃん」え」

「ゲストさん?」

「正式に登場させようとしたらたぶんもうしばらくかかっちゃうから、なんかこんな感じで出そうかなと思ってます~的な感じでゲストとして登場させることにしたんだって♪」

「ふ~ん。そうなんですか……ってそれ何処情報なのよっ」

「え? それは……■△●×」

「……何を言っているのか分からないわ」

みたいなやりとりをした後、みんな布団の上に寝転んでポテチとかポッキーとかお菓子食べながらダラダラ話始めたし。

「この時間に食べるポテチには勇気がいるね…」

「そ、そうね。明日からまた地獄のダイエットが始まるわ……」

「ダイエット? ワタチ、そういえばしたことないかも」

「はぁ!?」「そ、そうなのっちよ子!?」

「うんっ♪ ワタチ太らない体質みたいだから♪」

「「(う、羨ましい……)」」

アホ子の体質の話で盛り上がり~

「(恋バナですか…。別に好きな人なんで別に……ぁ。そうです! この場を利用すればナチュラルな感じでしーさんに自分の想いを伝えれることが出来るんじゃないですかっ!?)
 しーさん!!」

「んふふっ。そうだね……ってなに? どうしたの、美希」

「あ、あのですねっ! じ、自分…ずっと前から……しー。しーさんのことが……」

「うん?」

「す、すすすすすっ」

「大丈夫っ美希っ!? 顔が梅干しみたいになってきているけどっ!?」

「すすすすすすす、すきゅっですっ(か、噛んだっひゃいっ///)」

「(美希……ドンマイだよ…きっと次のチャンスがまたあるから……)」

「うう、うわあああああああああんっ!!」

「あー!! しおちゃんがミキミキちゃんを泣かせたーーー!!」

「ええーーーーーーーーっ!?」


みきの一世一代の告白が不発に終わったり~

「ふふふ……」

「すい。何見ているし?」

みんなとの話に入らずずっとカメラの画面とにらめっこしているすいに話しかけるし。ちょいちょい笑ってるからなにか面白いもんひとりじめしてる?

「いらん。ちょっとね」

と言いながらすいは手に持っていたカメラを布団の中に隠すし。見せて~と言ってみたけど「だ~め」のひとことで断られたし。
すいに相手にされなくてかなしいから、りつこをイジッて遊ぶことにするし♪

「ひーちゃんは恋愛マスターだからりつこも相談してみればいいし♪」

「れ、恋愛マスターなの!? 貴方!? (私よりも年下そうなのに……人は見かけによらないってことなのかしら?)

「恋愛マスターだなんてそんなっ/// よく周りの女の子から恋愛相談をされるってだけ、でして…」

「それでも十分凄いですよ。私も生徒会長ですからよく相談事はされますが、的確にアドバイスすると言うのはとても大変なことですから」

「生徒会長さん…」

「だからりつこも相談のってもらえばいいし、終に相手にされないんですって」

「はぁぁぁいぃぃぃぃ!?」

「何々~? なんの話し~?」

他の話をしていたみんながゴロゴロ~ってこっちに転がって来たし。

「りつこが終に全然相手にされてないって話し~」

「その言い方やめてください。小野さん。それではまるで私が最藤くんのことをす、好きみたいじゃないですかっ!?」

「違うし?」

「ち、ちち違いますよ!! もう、変な勘違いはよしてくださいっ」

って真っ赤な顔してりつこは掛け布団を頭からかぶってとじこもってしまったし。ねーねー、本当の所はどうなんだしーと、どんなに揺らしても無反応。もう何も返してくれないし。

「じゃ次はしおにするし」

「……なにが、かな? イラン」

「そうですよ。まさかしーさんが最藤先輩にほのじだとでも言うんですか?」

「しーパイセン、好きな人いたんですか? 僕応援しますぅ!!」

「しなくていいよっひーちゃん! そんな人いるわけないですよね、しーさん?」

「………///」

耳まで真っ赤になってゆでダコみたいなしおは無言で掛け布団をかぶり布団の城にとじこもってたし…やっぱしおはウブだし…。

「ちょ、しーさんっ!? 嘘ですよねっ!? 嘘って言ってくださいぃぃ~~~!!」

みきがしおの布団城をどんなに揺らし攻撃しても、しおからは何も返答はなかったし…。

7人居た部屋で2人もリタイアしたし。布団の城、眠り世界へと旅立ってしまったし。
残った5人でどうする。どーすると(主にアタシとアホ子の間で)話し合った結果。

「あっくん達の所へ行こう!」

「お菓子奪いに行くしー!」

「どんだけっお菓子食べる気なんですかっ先輩達!? こんな時間に食べたら太りますよ!?」

そんなの気にしないし、だってアタシら

「いくら食べても太らない体質だからっ☆」

「食べた栄養は何故か全部胸にいくし☆」

「「大丈夫だし☆」」

「羨ましすぎるでしょぉぉおおおお!!!」

「「うぇーーーーい♪」」

みきの叫び声を背中に聞きながら、終達のところへゴーカレーだし♪





※一方部屋に残された3人は…というと。


「じゃあ、わたしも行ってくるね」

「え? 行くんですか? 彗先輩?」

「うん。お宝がわたしを呼んでいるから」

「海賊王の大秘宝デスカ?」

「???」

「ひーちゃん。そのネタ、彗先輩には分からないから…」

ちよ子とイランの後を首から下げた一眼レフカメラを持ってこっそり物陰に隠れながら追いかけていく彗の後ろ姿を見つめ

「みんな寝ちゃったし、ひーちゃんの部屋で海賊王の話でもしよっか」

「うんっ。三将星カタクリすっごく強いよね。主人公勝てるのかな」

「勝てるんじゃない? だって負けたらそこでお話終了しちゃうでしょ?」

「いやいや、負けてからの展開がねっ」

海賊王の話で花咲かせる美希とゲストさんなのであった_ちゃんちゃん♪










****
オチが思いつかなかったw
海賊王の話でお茶を濁すテキトー回。


問題その2

ゲスト出演した「ひーちゃん」とは誰のことでしょうかっ。

あだ名は(仮)です。伏字にしようとしてこれしか思いつかなかったw

答えは……彼女(彼)が正式に登場した回でw

その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.67 )
日時: 2017/10/05 09:24
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: KACJfN4D)

「どうして……みんな僕様ではなく斎藤君ばかりなんだろう……」

「アナタが変態だからじゃないですか~?」

「うぅ……ぶくぶくぶく………」

どうしてこの世界の登場人物達は僕様への扱いが雑といいいますか、なんか僕だけ違うような気がするのは気のせい??
沈む。温泉の湯の中にぶくぶく沈んでゆく。幼い頃から爺やに湯に入る時は頭までつかって100数えてから出るのですよっと教わって育ったからね。勘違いしている諸君もいるかもしれないから、言っておくけど、別に悲しくて沈んでいるわけではないのだからね。沈みたいから沈んでいるだけで、別に沈みたいからというわけでは……ありゃ??

「まったくあのアホ共は……って飯。なんだそれは」

あれ? 水面の向こう側から見える最藤くんの顔が逆さまに見える。なして?? 腰に巻いている白いタオルの中身もばっちり見えているって僕様は誰に向けて報告しているのだよ。

「水仙時財閥の一族ですよ~」

「は?」

「どうせなら~、白い覆面マスク持ってくるんでしたね~」

「旅館で殺人事件とかベタすぎるだろ……」

「第一発見者は若女将が良かったですよね~」

「紅葉を入れておけばそれっぽくなるだろ」

死んでないからっ! 勝手に僕様を殺さないでくれよっ君たち。と、ゆうよりも。元ネタが分からないよ。もっと僕様にも分かるように言ってくれたまえっ。

「ふぅ。じゃあ~僕はあがりますね~」

「もうか」

「熱いのは苦手なんですよ。じゃあ、すけきよさんと2人仲良く~「いや俺もあがる」そうですか? つまらない」

「つまらなくて結構」

ちょ、ちょ、ちょ、ちょおおおお!!? 待ちたまえ君たち!! ごく自然に、僕様を置き去りにして温泉からあがろうとしているのかい。ごく普通に雑談しながら僕様の前を横切り脱衣所の方へ向かっているのかい。

「えっええ、無視!?」

僕様の言葉は虚しくも、バタンと勢いよく閉められた引き戸の音でかき消されてしまった_完。






いや「完」じゃないから!! 終わっちゃ駄目だから!!

慌てて起き上がり、脱衣所の方へ走って行ってみたけどもうそこには最藤君と飯野君の姿はどこにもなかった。とゆうより他のお客さんの姿もなかった。もしかして今ここに居るのは僕様1人?

「~~~~~~~~~~~~~っ」

言いよなれない寂しさで胸がいっぱいになった。誰でもいい! 人間ひとに会いたくてたまらない。
コインロッカーと呼ばれる収納スペースから着替えの衣服を取り出し急いで着替える。だってもしかしたら、脱衣所の外で2人が待っててくれているかもしれないからね。……待っていないような気が凄くするけど。でも友を待たせるのは水仙時財閥の者として恥だからね。…だから急いで着替えているんだ。

着替えている最中、見知らぬ棒切れのような物が着替えの衣服に入れていたバックに紛れ込んでいたような気が……気のせいかな。

着替え終わり旅館の通路へ出る、出入り口の引き戸を開いていざ_。

「うぉっと!?」

出ようとすると大きな壁にぶつかり尻餅をついてしまった。僕様とあろうものが…ってこんなところに壁なんてあった?
顔をあげて確かめるように壁をじぃ~~と見てみる。

「すまない」

喋った!? あっいや正確に言うならば、壁だと思っていたのは実は人間にんげんで、振り返った彼の顔は……

「鬼ぃぃぃぃぃぃ!!!?」

そのものでした_。










『男子部屋/鬼さんと卓球勝負あるある』水仙寺 優雅side

Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.68 )
日時: 2017/10/06 10:41
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: eetvNq3l)


『男子部屋/岩さんと卓球勝負あるある』水仙寺 優雅side7-2



「鬼じゃないですよ~、岩さんですよ~水仙時ナルキッソスさん~」

「飯野君! それに最藤君も!」

脱衣所を出てすぐの所にある休憩所的な広間。そこのマッサージチェアーに座り気持ちよさそうな顔をして「くはぁ~」とか声をあげている二人を発見したのだよ。
先に帰っている物だとてっきり思っていたけど、やはり僕様の友は温泉に友人を置き去りにしていくような薄情者ではなかったのだね♪

「大丈夫か?」

「ヒッ!?」

傍に般若の顔がっ……ゴホンッ。いや般若ではなく岩君という名前なのかな? 彼が思ってもなかったくらいに近くにいたので少々! ほんの少しばかり驚いてしまったようだよっ。ハハハッ。

「ありがとう。礼を言うよ、岩君」

「うっす」

差し出された彼の大きなお相撲さんのような大きな手を掴み立ち上がる。

「ん……そうだ」

立ち上がる際にひとつ卓球台が目に入った。お礼に彼を卓球勝負へお誘いするのはどうだろう。もしかしたら僕様の好プレーに感動して失神してしまうかもしれないけどね♪ 
どうかな? と聞いてみたところ、いいぞ。とふたつ返事で答えてくれた。

お互い定位置に立ち、ラケットを持ってスタンバイオッケーだ。審判は何故か乗り気で逆にそこが怖い飯野君が引き受けた。

「では最初のサーブは君に譲ろう」

「いくぞー」

岩君がボール放り投げる。どう打ってくるのだ!? その瞬間を今か今かと待ち構え……

ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!

「へ?」

「は~い、岩さん点入りました~」

「シャー!!」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

な、なに今の!? ボールが見えなかったのだけどっ!!? 打った瞬間、ボールは物凄いスピードで僕様の方へ飛んで来て顔ギリギリの所を通過して後ろに吹っ飛んで行ったようだ。ボールが激突した壁はひび割れし小さく穴が開いている。…なんだこの強者は。
2回目のサーブやっぱりそんな感じで先制点を取られてしまった。次の僕様のサーブで巻き返さなければっ。

水仙時ナルキッソスさんどうぞ~」

「よしっっ」

ボールを振り上げてラケットで打つ!

パ~~~~ン……コロン。

「あれ?」

ボールはゆっくり弧を描いて飛んでいきネットにぶつかって転がって止まった。

「ぷっ」

「笑わないでくれたまえ!!」

剛速球の岩君とそもそもボールが飛んで行かない僕様の勝負……これは

「これほど不毛な闘いもないな」

「最藤君!?」

それはたとえ思っていたとしても言ってはいけない一言だよっっ!!?




つづく☆



Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.69 )
日時: 2017/10/07 19:19
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: xLaEhu2C)

ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!


ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!



何度も僕様の整った美しい顔スレスレを横切ってゆくボール/ピンポン玉。後ろを振り返れば剛速球のボール/ピンポン玉を何度もぶつけられた壁は今にも崩れ出してしまいそうにひび割れ小さな穴ぼこだらけだ。
……もし壁が崩れてしまったら、コレはダレが弁償するのかな? ふと思った疑問。でも答えはすぐ傍にあった。そうです、僕様が払えばいいんですよね。僕様お金は沢山持っているから。……友達は幼馴染の3人しかいないけど。

岩君の剛速球は壁に激突し僕様の華麗な弧を描き飛んで行くボール/ピンポン玉はネットの向こう側へは飛んで行かない。…なして?

岩君と僕様の点数の差は圧倒的なまでにはれてしまっている。これはもう逆転勝ちのチャンスすらないかも、しれない。いや。あるかもしれないのだよ? たとえそれが1%の確率でもあると僕様が言えばあるのだよ?
父様も仰っていたしね。王になる資質の者の言葉であれば「たとえ黒であっても白となる」とね。
だから僕様の華麗な逆転勝利だって、ありえなく……

「大変だし!!」

「「「「!!??」」」」

突然入って来たのは、伸ばした金髪の髪を頭の後頭部上部で丸くまとめあげている、黄色いレモン柄のパジャマを着たレディでした。

Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.70 )
日時: 2017/10/08 10:06
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: jAa55n87)

「そんな血相変えてどうした小野」

平然とレディに話しかける最藤君って小野君!? このレモン柄レディが小野君っなのかい!?
小野君と最藤君の顔を交互に見る。二人ともこくこくと首を縦に動かしている。そ、そうなのか……髪型が違うしメイクもしていないから全然分からなかったよ…。女性は化けるというけど本当だねーとまったり話している場合ではないらしい。鬼の形相の小野君が「とにかく来てだし」と走り出してしまった。
口では「めんどくせーな」と言いながらもマッサージチェアから降りて最藤君と飯野君も後を追いかける。もちろん僕様もね。

「ここだしっ!!」

先に到着していた小野君が立っていた場所。そこは。

「俺達の部屋じゃないか」

僕様達が泊まる予定だった客室でした。この部屋になにがあると言うんだい? と小野君に聞いてみたけど、中を見てだし!! の一点張りで全然話を聞いてくれない。イラついた最藤君がもういいっと引き戸を開ける

――そこには

「―――」

うつ伏せになり倒れている千代紙君の姿が。こちらに向けている顔、瞳からは涙が流れ、口からは唾液が垂れている。彼女の利き手、上へあげられた右手の人差し指はなにか茶色い液体が付着、その下の畳には茶色い液体で

≪バナよこぼう

と書かれていた。こ、これはっっっ!!!

「殺人事件じゃないか!!!?」

叫んだのは鬼……みたいに怖い顔の岩君だった。君の声は山でヤッホーと叫ぶ登山家並みに大きいね。今は夜更けだ。だから声のボリュームは下げてくれたまえ。頼むから。

「どうせ死んだふりか何かだろ。ほら起きろアホ」

「ああっむやみに触ったら」

最藤君が寝ている千代紙君を起こそうと近寄る…が様子がおかしい。彼女の手首に触れ脈を確かめたあたりからかな、ピタリと固まって動かない。どうしたのだろう。

「止まってる」

「はい?」

「脈が止まってる」

「「「「えぇぇぇぇぇぇぇええ!!!?」」」」

まさか商店街のくじ引きで当てた旅行でこんな、友を一人失うことになるなんてっ!!

「みんなを集めてください」

「飯野君っ!?」

「っ。きっとこの中にっ」

震えているのかい? 千代紙君を失った悲しみで震えているのだねっ?

「ぷっ。犯人がいるはずですからっあははっ」

「笑うの我慢してただけ!?」

「いや~だって~。いくらネタに詰まったからって殺人事件はないでしょ~?
 旅館=殺人事件なんてもう使い古され過ぎて誰も使いませんよ~」

「そんな裏情報はいいんだよ! 卓球ネタしようと思ってたけど、実は卓球したことないし、そもそもルールすら知らねぇーや、やめぴっ☆ ってなったことは言わなくていいんだよ!!」

「おまえが今バラしているけどな」

し、しまったぁぁぁぁっぁあああ!!


※詰まった時は無理矢理に切り上げ別の話をすり込もう。




***


問題その3


ゲスト出演した鬼のように怖い顔をした岩さんとは誰のことでしょう?

答えは…彼が正式登場した回でw

その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.71 )
日時: 2017/10/09 09:30
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: B0dMG1jJ)

「湯煙温泉殺人事件 バナナは美味しかったです」8-1

っとまあタイトルでも入れとけば満足でるかね~?
あっどうも~2サツ好きの飯野です~。今回は僕がお話を担当しますね~え? バトンを受け渡しするシーンはないのかって? ……そもそもそんなシーンいります?
だってあれ思い付きだけでやっているようなものですよぉ? そんなものを書くために一々時間を割くなんてそんなもったいのない~っとわかりましたよ~。
そこまで仰られるのなら、やってあげましょう~。

「と、いう事で水仙時ナルキッソスさん。旅館にいる人、全員をこの部屋に集めてください~」

「何がということなのかまったく分からないけど了解したのだよ」

行きましたね? 水仙時ナルキッソスさんが部屋を出て行ったのを確認してから、彼の鞄を開けて………ろくでもないものばっかりだな。

「ありました」

長さ20㎝ほどのバトンリレーとかでよく使われてそうな赤い棒。……これで満足しました~?
じゃあ今度こそお話を始めるとしますっか。


***


旅館 部屋。

「どうしたどうした」「何なのかしら」「私みたいテレビがあったのだけど」「や~ん怖い~」「大丈夫だよハニー。君の事は僕が守るからね」「キヒヒ」「………」

以上。エキストラさん達でした。音声出演ありがとうございま~す。

さておふざけはこのくらいにしてっと

「ううぅ、まさか千代紙先輩が死んでしまうなんて…」

「ちよ子」

「なんで死んだんだしアホ子のアホーー」

「千代紙君は本当に死んでしまったのかい?」

「脈は……止まってた」

「………」

「残念なことですがちよさんがお亡くなりになられたのは事実です。そしてこの中にいる誰かに殺されたのです~」

「な、なんだって!?」

畳の上にうつぶせになって倒れている千代紙 ちよ子氏。顔は出入り口方向に向けられ、その表情は硬骨の笑みだ。
彼女が死の間際に書いたと思われるダイニングメッセージ。

≪バナよこぼう

これはなにを意味するのでしょうね~。あと書くために使った茶色い液体は甘い匂い味からチョコレートだと分かりました。
いや~ありがとうございま~す。全ては水仙時ナルキッソスが体を張って味見してくれたおかげですね~。

では~ちよさんの死亡推定時刻を予測するためにも皆さんのアリバイを聞きましょうか~」

証言1会長さん(高浜 律子さん)

「アリバイって……まあいいでしょう。私達は19時に温泉に入りました。その事は飯野くん知っているはずですよね」

「そうですね~。大胆にも覗きに来てましたもんね~」

「な///」

証言2リョク屋 詩緒さん

「僕と美希とイランはみんなより少し早め19時10分にあがったよ」

「あれ~。てっきり僕の方が先だったと思いましたが~」

「美希がね。早くあがろうって」

「なるほど~」

証言3水仙時ナルキッソス 優雅さん

「では僕様達がその10分後、19時20分にあがったということだね」

証言4朱雀 美希チンクルさん

「温泉をでた自分達はそれからしばらくロビーで、ひーちゃんと話したあと自分たちの部屋に戻って女子会をしてました」

「何時までですか~?」

「確か……20時30分ごろまでだったと思います」

「終って。寝ました?」

「しーさんと会長は寝てました? けど自分はひーちゃんの部屋でお喋りしてました」

証言5翡翠 ホウキさん

「女子会が終わったら私はちよこちゃん達を追いかけた。でも見失っちゃった」

「つまりアリバイがないと~?」

「………そうなるね」

証言6最藤 オワリさん

「俺達は19時30分から小野が呼びにきた21時までずっと一緒にいたぞ」

水仙時ナルキッソスさんと岩さんの不毛な卓球勝負を見さされていたんですよね~」

証言7小野 イランさん

「20時30から僕らに伝えに来るまでの間ずっとちよさんの傍にいたんですか~?」

「ううんだし。アタシ途中でお腹が痛くなって30分くらいトイレにこもってたし」

「なるほど~。そして待ち合わせにしていた僕らの部屋でちよさんの遺体を発見して、慌てて僕らの所にやって来たと」

「そうだし! 犯人はアタシじゃないし! 親友を殺すとかありえないしっ!」

※あるある1 自分から犯人じゃないと大きな声で喚き散らす。



今までの証言をまとめてみると~こうなりましか。

◇◇◇
19時 みんなで温泉

19時10分 緑屋・朱雀・小野 出る

19時20分 最藤・飯野・水仙時 出る

高浜・被害者 いつでたのか不明

しばらく緑屋・朱雀・小野ロビーで友達と話す。女子会がスタート。

20時30分まであったような気がする。

緑屋・高浜は部屋。朱雀は友達の部屋。翡翠は不明。

被害者と小野共に行動→途中 小野トイレへ30分くらい?

19時30分~21時まで卓球勝負。最藤・飯野・水仙時。

そこへ血相を変えた小野がやってきて、男子たちが泊まるはずだった部屋で遺体発見。
◇◇◇

「つまりちよさんの死亡推定時刻は20時30分から発見される21時までの間となりますね。
 まだ死後硬直していなかったことからも~まだ1時間は経過していないでしょう」

「大和殿本物の刑事みたいだね」

「いえどちらかというと~探偵ですかね~」

「じっちゃんの名にかけて頑張っているんだね。わかるよ」

「分かっていただけましたか~」

前に話していた時も思いましたが~リョクさんとは趣味が合いそうな気がしますね~。


Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.72 )
日時: 2017/10/10 09:39
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: KACJfN4D)

「湯煙温泉殺人事件 バナナは美味しかったです」8-2


「あの~」

「あ?」

せっかく推理が面白くなってきそうってときに水を差すのは誰ですか~と振り返ると

「まだ居たんですか下級生モブくん」

困った表情で固まったまま小刻みに震える俺の……下級生モブくんって使い捨てキャラだったのに再任出過ぎじゃないですか?
これで何度目の登場でしすか? もういいんじゃねいですかね~。だって彼に期待している人なんていないでしょ~、彼のことが好きなもの好きなんていないでしょ~。
そもそも君。日帰り旅行で来たって説明されてませんでしたぁ? いいからさっさと帰れよ人数合わせのモブが。

「………ッ!!!」

あはっ。少しだけ殺気するだけで固まった表情が泣き顔になりましたよ?
相変わらずからかいのある下級生モブくんですね~。

「会長は犯人じゃないっすよ! それだけは断言できるっす。自分が保証するっす」

会長さんのおみ足で踏まれたいと言っていた足フェチさん。あなたの証言なんてなんの意味があるんですかね~?

「そ、そうですよ。この中に犯人がいるなんて……きゃっ」

一歩足を踏み出しただけで転ぶ。奇跡の世代のドジっ子さん。
なにがしたいんでしょうね~なにもしなくていいので帰ってくれませんかね? 土に。

「さ、殺人事件なんて……」

リョクさんの後ろに隠れてオロオロ・オドオド、しているひーちゃんさん。

「…………」

無言の圧が逆に怖い岩さん。

「はぁ。特に何もないのなら私は帰らせてもらうぞ」

※あるある2 真面目系/インテリ系の人はだいたいイライラし帰ろうとする。

「いいですよ~どうぞお帰り下さい。そこのエキストラさんまとめて全員」

「「「え???」」」

全員もれなく鳩が豆鉄砲を食ったような顔をですね~。まあそんなこと俺には関係ないから無視して止めを刺しますけどね~。

「後は僕らレギュラーメンバーと~」

「どうも中居の紅葉と申します」

※あるある3 中居さんの名前はだいたい紅葉。主に山村美紗サスペンス系でよくみられる。

「……………フフッ」

※殺人/犯行現場にはよく全身真っ黒な人がいる。

「で、やっていくので~「ちょっと待ってください!!」はぃ?」

言葉を遮ったのはひーちゃんさん。リョクさんの後ろから出て来られない臆病者のくせになにを言おうっていうんですかね~? この俺に。
もちろん聞いてあげますよ。とびっきりの作り笑顔で。1スマイル=1億円です♪

「そのっ……全身が黒い人って犯人さんじゃ…」

ええっざわざわと部屋がざわつきます。

「………」

「失礼ですよ。ひーちゃんさん」

「で、でもコ●ンとかで見たことありますよ、その人が犯行を行っているところ!」

「それはそうでしょうね~黒田はコナ●を始め様々な推理もの作品で犯人役をやっている役者さんですから」

「く、黒田さん?? 役者さん??」

「今回のお話のスペシャルゲストさんですよ?」

「????」

ひーちゃんさん始めこの場にいる誰もが分からないと首を傾げていますね~。アホばっかりですか、この世界は……いえ俺以外アホしかしないんでしたね~そうでしたね~。

「黒田さんは『上京したら変態に憑かれました』という作品の登場人物であり、河井荘という(オンボロ)アパートの大家さんなんですよ~」

説明してやったのに全員ポカーン顔。この素晴らしき人の事が分からないなんて、やっぱりアホの相手をするのは疲れますね~。
黒田さんには改めて一度謝罪に行かせましょう、下級生モブくんを。

邪魔なエキストラさん達を追い出すことが……出来ませんでしたが黙らせることに成功したのでよしとし。
内容を事件の方へ戻しましょう。せっかく面白くなってきたんです。このままギャグ小説から推理小説にジョブチェンさせてやりましょ~か~ね~。



Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.73 )
日時: 2017/10/11 11:32
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: emG/erS8)

「湯煙温泉殺人事件 バナナは美味しかったです」8-3


「飽きた」

「は?」

みささんのその鳩が豆鉄砲を食ったようような顔も見飽きました。そしてこの話にも飽きました。長い。短編集ってサブタイ付けているのになんですか~? この話の長さは。長すぎていい加減飽きてきましたよ~なので~。

「事件解決しちゃいましょ~か」

「雑だな! 警察待たなくていいのかよ」

はい。鉄板トークありがとうございます~。いいんですよ。警察なんて待たなくて~だってそもそも呼んでないんですから~来るわけもありませんので~。
あははっ。おわりさんのこめかみにしわが寄っていきますよ~。お見せ出来ないのが残念なくらいに面白いですね~。

ますはこれまでのおさらいです~。容疑者は、僕も含めまして7人。
みなさんの証言をもとに造ったアリバイはこう~。

◇◇◇
19時 みんなで温泉

19時10分 緑屋・朱雀・小野 出る

19時20分 最藤・飯野・水仙時 出る

高浜・被害者 いつでたのか不明

しばらく緑屋・朱雀・小野ロビーで友達と話す。女子会がスタート。

20時30分まであったような気がする。

緑屋・高浜は部屋。朱雀は友達の部屋。翡翠は不明。

被害者と小野共に行動→途中 小野トイレへ30分くらい?

19時30分~21時まで卓球勝負。最藤・飯野・水仙時。

そこへ血相を変えた小野がやってきて、男子たちが泊まるはずだった部屋で遺体発見。
◇◇◇

被害者、ちよさんの死亡推定時刻は死後硬直がまだ始まっていないことから1時間以内。20時30分から発見される21時までの間となります。
その時間にアリバイを証明できないのは~

第一発見者の小野さん

寝ていたという リョクさんと会長さんの三人です~。

「では岩さん。この三人の中に犯人が居ると思われますか?」

「なっ?」

突然発言権を与えられて驚く岩さん。あなたほとんど活躍してないんですから僕の助手くらい働いてくださいね~。
岩さんは少し考えたあと小野さんを見つめます。まあそうでしょうね。事件において第一発見者を疑うのはもはやお約束ネタですからね~。

「まあだから犯人じゃないってのもお約束ネタですけどね~」

「そうなのかっ!?」

「ついでに言うと容疑者全員、犯人じゃないですしね~」

「でも飯野先輩、この中に犯人がいるって……」

リョクさんの後ろに隠れたままひーちゃんさんが答えます。
俺はニヤリと口角をあげます。誰が犯人はこの中にいないって言ったかなぁ? 容疑者の中にはいないって言っただけなんだけどなぁ?
と、ひーちゃんさんを見たつもりなのになぜか下級生モブくんがブルッと震えます。あいつ、なにがしたいんでしょうね~。

「もちろん犯人はこの中にいますよ」

「なら貴様がエキストラだと呼んだ私達の中にいるとでも」

観光客のフェンリルさんが吠えます。犬はワンワン五月蠅いから嫌いなんだよなぁ?

「さっさと言え。私は貴様らと違って忙しいんだ」

フンッとする観光客のフェンリルさん。あーあ。こうゆう如何にも犯人っぽくて疑われるタイプって10時になったら殺される奴ですね~。

※2サスの掟『十時またぎの目撃者』

まあ今回の犠牲者はちよさんだけと決まっていますからよかったですね。命拾い出来て。

「では行きましょうか」

「行くってどこに…?」







ざぶーんっ。


「なんでぇぇぇぇぇ崖だぁぁぁぁぁあああ!!!」

※2サスの掟『謎解きは崖で』

「だからです」

「知るかっ!」

意味のないエキストラさんも含めみなさんが勢ぞろいしたところで始めましょうか。

「僕の推理を」

「推理はいいから犯人を早く言え」

チッ。空気の読めないおわりさんですね~。

「はいは~い、犯人はあの着ぐるみさんですよ~」

みんな俺が指さした方向を見る。あなた達は双子ですか~息ピッタリですね~。
視線を一身に集める。熊の着ぐるみさん。半分白く可愛い見た目で半分黒くちょっと怖い。ダミ声が似合いそうな熊の着ぐるみさん。

「……バレてしまってはしょうがないわね」

でも着ぐるみぼ中から聞こえてくるこもった声はは女性の声。四十代くらいの?
着ぐるみさんは被っている頭の部分を持ってすぽっと上に上げました。顔が露わになりました~。

「あ。あなたは……」

みなさん驚愕の表情。その真犯人とは――次回に続く。



その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.74 )
日時: 2017/10/12 08:04
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: JJb5fFUo)

スポッと頭部。熊のキグルミの頭を抜き取った犯人さん。露わになった顔。ちよこちゃんを殺した犯人は――

「私よ!!」

「「「「「「千代紙さんのお母さんんんんんん!!!?」」」」

ちよこちゃんのお母さん。れいこさんでした。
れいこさんは自信満々な顔でドヤァと穴息荒くさせて後ろに振り返り、蛇の海賊団をしている女帝さんみたいな見下しポーズをしています。
決め台詞は「妾は美しいから!」で……合ってたかな? しおちゃんに借りた海賊王に出て来た女帝さん。綺麗だし大人の女性って感じで憧れる……かも?

「な……なんで……母上殿が娘である千代紙君を……」

蒼白とした顔。驚愕して開いた口が閉じない……なまえ忘れた。とにかく派手なひと。…がれいこさんを落とそうとしている。同情で?
でもれいこさんに同情なんていらない。関係ない。れいこさんはいつも自由だから。

「理由なんてねぇ! ひとつしかないのよ!!」

「あ?」

れいこさんはしゅうくんを指さしこう言い放ちます。

「あっくんがちよ子とくっつかないからっ、だから仕方なくあの子の保険金で老後を……」

「「「「………………」」」

うんうんうん。わかります。わかりますよその気持ち。れいこさん。至高の存在であるしゅうくんは同じく至高の存在であるちよこちゃんと結ばれるべき。なのに他の人が邪魔するから……。わたしはちらりと会長を見ます。会長は歯を食いしばって悔しそうな顔をしてる。だいじょうぶ、安心して、会長にちゃんすなんてないから。

「ここまでひっぱるほどのネタでもなかったですね~」

「それはどうしてだい? 飯野君」

「だって~」

※あるある4 犯人は最初から最後までいる奴だ。

「だからですよ~」

「あら? 千代紙さんのお母さんが登場なされたのは3話目(十七話の)からじゃありませんか?」

「………おまえらなんの話をしているんだ?」

この世界のルールを知らないしゅうくんはしょうがないから置いておく。放置の方向で。
じゃあ代わりに教えてあげる。れいこさんが犯人だと最初からわかってた理由――それは。


***
『アホの子達が一か所に集まると…』1-3
◇「生徒会長に休みはない」


8月某日。夏休みも後半戦に入った頃。

「会長ーメロンパンとカフェオレ買って来たっす」

「ありがとう。足田さん」

動けない代わりに、近くにあるコンビニでお昼ご飯を買いに行ってくれた足田さんから、コンビニの袋とおつりを受け取ります。
あら? 私はパンと飲み物しか頼んでなかったのに、プリンが入っています。
顔をあげて足田さんを見ると、「頑張ってる会長へご褒美っす」とニカッと笑って言います。
本当に彼女にはお世話になっってばかり。なにかお返ししなければ……と、いつも思っているのだけどなかなか……。

「まだ動きはないっす?」

ある人物が住む家のベランダを見上げ

「ええ。今のところはないわね」

と答えます。私、高浜たかはま 律子りつこは今ある人物を張り込みをしている最中なのです。
そのためここ。電柱の後ろから動けないのです。いつターゲットが動くか分からないですからね。

「あっ、会長!」

ベランダを指さす足田さん。確かに人影のようなものが近づいて来て動いているのが見えます。

「ついに動いたわねっ!!」

私達が張り込みしているある人物と言うのは……。

「洗濯終わったか」

洗濯機の蓋を開けてぱ…ぱんつを取り出す、さ、最籐くん///

――と。向かいのお家に住むご近所さん。

「あらぁ~あっくんじゃない♪」

「こんにちは」

「こんにってもうっやだぁあっくんたらぁ~」

「ん。………あ」

「ぱ・ん・つは見えないように隠すように干すのよっ」

「………わかりました」

いつもみたいに不機嫌そうな顔で最藤くんは、ぱ、ぱんつを他の洗濯物と一緒に干し終わると部屋の中へ入って行きました。さ、最藤くんは……トランクス派なんですね。メモメモ……。


***


「ようは、全ておわりさんのせいだってことですね~」

事件を無事解決に導いた迷(惑)探偵は着ているねこの肉球柄が可愛いパジャマのぽけっとから銀色の二つあるわっかがくっついた物をしゅうくんに装着。カチリッという音が鳴りました。

「時刻は9時29分。現行犯で最藤 終逮捕です」

「はぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!?」

しゅうくんが全ての犯行の原因であると同時に悪い=犯人ということになり犯人逮捕で事件は無事に解決されました。

「解決されたないだろぉぉぉおおお!!! 俺は犯人じゃねぇ!!」

「犯人はみんなそう言うんですよ~あはは」

「笑いながら連行しようとするなぁぁぁぁあああああああああ!!」






――終わり良ければ総て良し?

その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.75 )
日時: 2017/10/12 08:31
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: JJb5fFUo)

「終わり良ければ総て良し?」翡翠 彗side



「ってな、こともあったね~」

と言っているのはちよこちゃん。場所は学校の教室でわたしの席を囲むようにしてみんなが集まり、撮った記念写真を見て話しているの。夏休みが後半戦に入った頃、商店街のくじでちよこちゃんが当てた1泊2日の旅行券で行った旅行の思い出話をしていたの、今までずっと――

「脈が止まってた時は本当に死んだかと思ったぞアホ」

「アハハ~ごめんねっあっくん♪
 イラちゃんの提案でテニスボールを脇に挟んで脈止めた方がそれっぽくなるからって言ってたから」

「●ナン君が言ってたし」

「やっぱりおまえらぐるだったか」

楽しそうに話している幼馴染組がうらやましい……どうしてもわたしにはこの仲へ入って行くことは出来ない。出来るのは傍から見ているだけ。話の外側から見ているだけ。わたしの世界と彼らの世界は違う世界だから。

「………?」

「どうしたのだい高浜君。君の美しい顔にシワがよって台無しだよ?」

「お気遣いどうも。少し気になったのですが、翡翠さん」

「なに?」

「どうしてこの写真たち……真正面から撮ったものが一枚もないんです? 
 どれも物陰から撮ったような側面の……というより千代紙さんと最藤くんの写真ばかりで……まるでこれは

 ――隠し撮り写真。盗撮で撮った写真みたいですね」














                    帰って来た夏休み~fin~