コメディ・ライト小説(新)
- その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.67 )
- 日時: 2017/10/05 09:24
- 名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: KACJfN4D)
「どうして……みんな僕様ではなく斎藤君ばかりなんだろう……」
「アナタが変態だからじゃないですか~?」
「うぅ……ぶくぶくぶく………」
どうしてこの世界の登場人物達は僕様への扱いが雑といいいますか、なんか僕だけ違うような気がするのは気のせい??
沈む。温泉の湯の中にぶくぶく沈んでゆく。幼い頃から爺やに湯に入る時は頭までつかって100数えてから出るのですよっと教わって育ったからね。勘違いしている諸君もいるかもしれないから、言っておくけど、別に悲しくて沈んでいるわけではないのだからね。沈みたいから沈んでいるだけで、別に沈みたいからというわけでは……ありゃ??
「まったくあのアホ共は……って飯。なんだそれは」
あれ? 水面の向こう側から見える最藤くんの顔が逆さまに見える。なして?? 腰に巻いている白いタオルの中身もばっちり見えているって僕様は誰に向けて報告しているのだよ。
「水仙時財閥の一族ですよ~」
「は?」
「どうせなら~、白い覆面マスク持ってくるんでしたね~」
「旅館で殺人事件とかベタすぎるだろ……」
「第一発見者は若女将が良かったですよね~」
「紅葉を入れておけばそれっぽくなるだろ」
死んでないからっ! 勝手に僕様を殺さないでくれよっ君たち。と、ゆうよりも。元ネタが分からないよ。もっと僕様にも分かるように言ってくれたまえっ。
「ふぅ。じゃあ~僕はあがりますね~」
「もうか」
「熱いのは苦手なんですよ。じゃあ、すけきよさんと2人仲良く~「いや俺もあがる」そうですか? つまらない」
「つまらなくて結構」
ちょ、ちょ、ちょ、ちょおおおお!!? 待ちたまえ君たち!! ごく自然に、僕様を置き去りにして温泉からあがろうとしているのかい。ごく普通に雑談しながら僕様の前を横切り脱衣所の方へ向かっているのかい。
「えっええ、無視!?」
僕様の言葉は虚しくも、バタンと勢いよく閉められた引き戸の音でかき消されてしまった_完。
いや「完」じゃないから!! 終わっちゃ駄目だから!!
慌てて起き上がり、脱衣所の方へ走って行ってみたけどもうそこには最藤君と飯野君の姿はどこにもなかった。とゆうより他のお客さんの姿もなかった。もしかして今ここに居るのは僕様1人?
「~~~~~~~~~~~~~っ」
言いよなれない寂しさで胸がいっぱいになった。誰でもいい! 人間に会いたくてたまらない。
コインロッカーと呼ばれる収納スペースから着替えの衣服を取り出し急いで着替える。だってもしかしたら、脱衣所の外で2人が待っててくれているかもしれないからね。……待っていないような気が凄くするけど。でも友を待たせるのは水仙時財閥の者として恥だからね。…だから急いで着替えているんだ。
着替えている最中、見知らぬ棒切れのような物が着替えの衣服に入れていたバックに紛れ込んでいたような気が……気のせいかな。
着替え終わり旅館の通路へ出る、出入り口の引き戸を開いていざ_。
「うぉっと!?」
出ようとすると大きな壁にぶつかり尻餅をついてしまった。僕様とあろうものが…ってこんなところに壁なんてあった?
顔をあげて確かめるように壁をじぃ~~と見てみる。
「すまない」
喋った!? あっいや正確に言うならば、壁だと思っていたのは実は人間で、振り返った彼の顔は……
「鬼ぃぃぃぃぃぃ!!!?」
そのものでした_。
『男子部屋/鬼さんと卓球勝負あるある』水仙寺 優雅side
- Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.68 )
- 日時: 2017/10/06 10:41
- 名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: eetvNq3l)
『男子部屋/岩さんと卓球勝負あるある』水仙寺 優雅side7-2
「鬼じゃないですよ~、岩さんですよ~水仙時さん~」
「飯野君! それに最藤君も!」
脱衣所を出てすぐの所にある休憩所的な広間。そこのマッサージチェアーに座り気持ちよさそうな顔をして「くはぁ~」とか声をあげている二人を発見したのだよ。
先に帰っている物だとてっきり思っていたけど、やはり僕様の友は温泉に友人を置き去りにしていくような薄情者ではなかったのだね♪
「大丈夫か?」
「ヒッ!?」
傍に般若の顔がっ……ゴホンッ。いや般若ではなく岩君という名前なのかな? 彼が思ってもなかったくらいに近くにいたので少々! ほんの少しばかり驚いてしまったようだよっ。ハハハッ。
「ありがとう。礼を言うよ、岩君」
「うっす」
差し出された彼の大きなお相撲さんのような大きな手を掴み立ち上がる。
「ん……そうだ」
立ち上がる際にひとつ卓球台が目に入った。お礼に彼を卓球勝負へお誘いするのはどうだろう。もしかしたら僕様の好プレーに感動して失神してしまうかもしれないけどね♪
どうかな? と聞いてみたところ、いいぞ。とふたつ返事で答えてくれた。
お互い定位置に立ち、ラケットを持ってスタンバイオッケーだ。審判は何故か乗り気で逆にそこが怖い飯野君が引き受けた。
「では最初のサーブは君に譲ろう」
「いくぞー」
岩君がボール放り投げる。どう打ってくるのだ!? その瞬間を今か今かと待ち構え……
ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!
「へ?」
「は~い、岩さん点入りました~」
「シャー!!」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」
な、なに今の!? ボールが見えなかったのだけどっ!!? 打った瞬間、ボールは物凄いスピードで僕様の方へ飛んで来て顔ギリギリの所を通過して後ろに吹っ飛んで行ったようだ。ボールが激突した壁はひび割れし小さく穴が開いている。…なんだこの強者は。
2回目のサーブやっぱりそんな感じで先制点を取られてしまった。次の僕様のサーブで巻き返さなければっ。
「水仙時さんどうぞ~」
「よしっっ」
ボールを振り上げてラケットで打つ!
パ~~~~ン……コロン。
「あれ?」
ボールはゆっくり弧を描いて飛んでいきネットにぶつかって転がって止まった。
「ぷっ」
「笑わないでくれたまえ!!」
剛速球の岩君とそもそもボールが飛んで行かない僕様の勝負……これは
「これほど不毛な闘いもないな」
「最藤君!?」
それはたとえ思っていたとしても言ってはいけない一言だよっっ!!?
つづく☆
- Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.69 )
- 日時: 2017/10/07 19:19
- 名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: xLaEhu2C)
ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!
ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!
ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!
ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!
ビュゥゥゥゥゥゥゥンンッッッ!!
何度も僕様の整った美しい顔スレスレを横切ってゆくボール/ピンポン玉。後ろを振り返れば剛速球のボール/ピンポン玉を何度もぶつけられた壁は今にも崩れ出してしまいそうにひび割れ小さな穴ぼこだらけだ。
……もし壁が崩れてしまったら、コレはダレが弁償するのかな? ふと思った疑問。でも答えはすぐ傍にあった。そうです、僕様が払えばいいんですよね。僕様お金は沢山持っているから。……友達は幼馴染の3人しかいないけど。
岩君の剛速球は壁に激突し僕様の華麗な弧を描き飛んで行くボール/ピンポン玉はネットの向こう側へは飛んで行かない。…なして?
岩君と僕様の点数の差は圧倒的なまでにはれてしまっている。これはもう逆転勝ちのチャンスすらないかも、しれない。いや。あるかもしれないのだよ? たとえそれが1%の確率でもあると僕様が言えばあるのだよ?
父様も仰っていたしね。王になる資質の者の言葉であれば「たとえ黒であっても白となる」とね。
だから僕様の華麗な逆転勝利だって、ありえなく……
「大変だし!!」
「「「「!!??」」」」
突然入って来たのは、伸ばした金髪の髪を頭の後頭部上部で丸くまとめあげている、黄色いレモン柄のパジャマを着たレディでした。
- Re: 俺のペットはアホガール*短編集* ( No.70 )
- 日時: 2017/10/08 10:06
- 名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: jAa55n87)
「そんな血相変えてどうした小野」
平然とレディに話しかける最藤君って小野君!? このレモン柄レディが小野君っなのかい!?
小野君と最藤君の顔を交互に見る。二人ともこくこくと首を縦に動かしている。そ、そうなのか……髪型が違うしメイクもしていないから全然分からなかったよ…。女性は化けるというけど本当だねーとまったり話している場合ではないらしい。鬼の形相の小野君が「とにかく来てだし」と走り出してしまった。
口では「めんどくせーな」と言いながらもマッサージチェアから降りて最藤君と飯野君も後を追いかける。もちろん僕様もね。
「ここだしっ!!」
先に到着していた小野君が立っていた場所。そこは。
「俺達の部屋じゃないか」
僕様達が泊まる予定だった客室でした。この部屋になにがあると言うんだい? と小野君に聞いてみたけど、中を見てだし!! の一点張りで全然話を聞いてくれない。イラついた最藤君がもういいっと引き戸を開ける
――そこには
「―――」
うつ伏せになり倒れている千代紙君の姿が。こちらに向けている顔、瞳からは涙が流れ、口からは唾液が垂れている。彼女の利き手、上へあげられた右手の人差し指はなにか茶色い液体が付着、その下の畳には茶色い液体で
≪バナ一≫
と書かれていた。こ、これはっっっ!!!
「殺人事件じゃないか!!!?」
叫んだのは鬼……みたいに怖い顔の岩君だった。君の声は山でヤッホーと叫ぶ登山家並みに大きいね。今は夜更けだ。だから声のボリュームは下げてくれたまえ。頼むから。
「どうせ死んだふりか何かだろ。ほら起きろアホ」
「ああっむやみに触ったら」
最藤君が寝ている千代紙君を起こそうと近寄る…が様子がおかしい。彼女の手首に触れ脈を確かめたあたりからかな、ピタリと固まって動かない。どうしたのだろう。
「止まってる」
「はい?」
「脈が止まってる」
「「「「えぇぇぇぇぇぇぇええ!!!?」」」」
まさか商店街のくじ引きで当てた旅行でこんな、友を一人失うことになるなんてっ!!
「みんなを集めてください」
「飯野君っ!?」
「っ。きっとこの中にっ」
震えているのかい? 千代紙君を失った悲しみで震えているのだねっ?
「ぷっ。犯人がいるはずですからっあははっ」
「笑うの我慢してただけ!?」
「いや~だって~。いくらネタに詰まったからって殺人事件はないでしょ~?
旅館=殺人事件なんてもう使い古され過ぎて誰も使いませんよ~」
「そんな裏情報はいいんだよ! 卓球ネタしようと思ってたけど、実は卓球したことないし、そもそもルールすら知らねぇーや、やめぴっ☆ ってなったことは言わなくていいんだよ!!」
「おまえが今バラしているけどな」
し、しまったぁぁぁぁっぁあああ!!
※詰まった時は無理矢理に切り上げ別の話をすり込もう。
***
問題その3
ゲスト出演した鬼のように怖い顔をした岩さんとは誰のことでしょう?
答えは…彼が正式登場した回でw