コメディ・ライト小説(新)
- その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.74 )
- 日時: 2017/10/12 08:04
- 名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: JJb5fFUo)
スポッと頭部。熊のキグルミの頭を抜き取った犯人さん。露わになった顔。ちよこちゃんを殺した犯人は――
「私よ!!」
「「「「「「千代紙さんのお母さんんんんんん!!!?」」」」
ちよこちゃんのお母さん。れいこさんでした。
れいこさんは自信満々な顔でドヤァと穴息荒くさせて後ろに振り返り、蛇の海賊団をしている女帝さんみたいな見下しポーズをしています。
決め台詞は「妾は美しいから!」で……合ってたかな? しおちゃんに借りた海賊王に出て来た女帝さん。綺麗だし大人の女性って感じで憧れる……かも?
「な……なんで……母上殿が娘である千代紙君を……」
蒼白とした顔。驚愕して開いた口が閉じない……なまえ忘れた。とにかく派手なひと。…がれいこさんを落とそうとしている。同情で?
でもれいこさんに同情なんていらない。関係ない。れいこさんはいつも自由だから。
「理由なんてねぇ! ひとつしかないのよ!!」
「あ?」
れいこさんはしゅうくんを指さしこう言い放ちます。
「あっくんがちよ子とくっつかないからっ、だから仕方なくあの子の保険金で老後を……」
「「「「………………」」」
うんうんうん。わかります。わかりますよその気持ち。れいこさん。至高の存在であるしゅうくんは同じく至高の存在であるちよこちゃんと結ばれるべき。なのに他の人が邪魔するから……。わたしはちらりと会長を見ます。会長は歯を食いしばって悔しそうな顔をしてる。だいじょうぶ、安心して、会長にちゃんすなんてないから。
「ここまでひっぱるほどのネタでもなかったですね~」
「それはどうしてだい? 飯野君」
「だって~」
※あるある4 犯人は最初から最後までいる奴だ。
「だからですよ~」
「あら? 千代紙さんのお母さんが登場なされたのは3話目(十七話の)からじゃありませんか?」
「………おまえらなんの話をしているんだ?」
この世界のルールを知らないしゅうくんはしょうがないから置いておく。放置の方向で。
じゃあ代わりに教えてあげる。れいこさんが犯人だと最初からわかってた理由――それは。
***
『アホの子達が一か所に集まると…』1-3
◇「生徒会長に休みはない」
8月某日。夏休みも後半戦に入った頃。
「会長ーメロンパンとカフェオレ買って来たっす」
「ありがとう。足田さん」
動けない代わりに、近くにあるコンビニでお昼ご飯を買いに行ってくれた足田さんから、コンビニの袋とおつりを受け取ります。
あら? 私はパンと飲み物しか頼んでなかったのに、プリンが入っています。
顔をあげて足田さんを見ると、「頑張ってる会長へご褒美っす」とニカッと笑って言います。
本当に彼女にはお世話になっってばかり。なにかお返ししなければ……と、いつも思っているのだけどなかなか……。
「まだ動きはないっす?」
ある人物が住む家のベランダを見上げ
「ええ。今のところはないわね」
と答えます。私、高浜たかはま 律子りつこは今ある人物を張り込みをしている最中なのです。
そのためここ。電柱の後ろから動けないのです。いつターゲットが動くか分からないですからね。
「あっ、会長!」
ベランダを指さす足田さん。確かに人影のようなものが近づいて来て動いているのが見えます。
「ついに動いたわねっ!!」
私達が張り込みしているある人物と言うのは……。
「洗濯終わったか」
洗濯機の蓋を開けてぱ…ぱんつを取り出す、さ、最籐くん///
――と。向かいのお家に住むご近所さん。
「あらぁ~あっくんじゃない♪」
「こんにちは」
「こんにってもうっやだぁあっくんたらぁ~」
「ん。………あ」
「ぱ・ん・つは見えないように隠すように干すのよっ」
「………わかりました」
いつもみたいに不機嫌そうな顔で最藤くんは、ぱ、ぱんつを他の洗濯物と一緒に干し終わると部屋の中へ入って行きました。さ、最藤くんは……トランクス派なんですね。メモメモ……。
***
「ようは、全て終さんのせいだってことですね~」
事件を無事解決に導いた迷(惑)探偵は着ているねこの肉球柄が可愛いパジャマのぽけっとから銀色の二つあるわっかがくっついた物をしゅうくんに装着。カチリッという音が鳴りました。
「時刻は9時29分。現行犯で最藤 終逮捕です」
「はぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!?」
しゅうくんが全ての犯行の原因であると同時に悪い=犯人ということになり犯人逮捕で事件は無事に解決されました。
「解決されたないだろぉぉぉおおお!!! 俺は犯人じゃねぇ!!」
「犯人はみんなそう言うんですよ~あはは」
「笑いながら連行しようとするなぁぁぁぁあああああああああ!!」
――終わり良ければ総て良し?
- その十八「夏だ! 旅館だ! 温泉だ!」 ( No.75 )
- 日時: 2017/10/12 08:31
- 名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: JJb5fFUo)
「終わり良ければ総て良し?」翡翠 彗side
「ってな、こともあったね~」
と言っているのはちよこちゃん。場所は学校の教室でわたしの席を囲むようにしてみんなが集まり、撮った記念写真を見て話しているの。夏休みが後半戦に入った頃、商店街のくじでちよこちゃんが当てた1泊2日の旅行券で行った旅行の思い出話をしていたの、今までずっと――
「脈が止まってた時は本当に死んだかと思ったぞアホ」
「アハハ~ごめんねっあっくん♪
イラちゃんの提案でテニスボールを脇に挟んで脈止めた方がそれっぽくなるからって言ってたから」
「●ナン君が言ってたし」
「やっぱりおまえらぐるだったか」
楽しそうに話している幼馴染組がうらやましい……どうしてもわたしにはこの仲へ入って行くことは出来ない。出来るのは傍から見ているだけ。話の外側から見ているだけ。わたしの世界と彼らの世界は違う世界だから。
「………?」
「どうしたのだい高浜君。君の美しい顔にシワがよって台無しだよ?」
「お気遣いどうも。少し気になったのですが、翡翠さん」
「なに?」
「どうしてこの写真たち……真正面から撮ったものが一枚もないんです?
どれも物陰から撮ったような側面の……というより千代紙さんと最藤くんの写真ばかりで……まるでこれは
――隠し撮り写真。盗撮で撮った写真みたいですね」
帰って来た夏休み~fin~