コメディ・ライト小説(新)

その二十一「救いの天使と破滅の悪魔」 ( No.79 )
日時: 2017/10/17 10:27
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: Xhss9HRk)

「はぁ……なんでこんなことに……」

いきなりの愚痴ですみません。久々の短編しかもトップバッターに任命されてヤッターと喜んでいた、朱雀すざく美希みきです。
喜んでいた? って感じですよね。今からそのことについて説明しますね。 時刻は一時間目の授業が始まったところで今日は家庭科の調理実習、家庭科室からお送りいています。

「みんな~ちゃんと席についたかしら~」

このなんともあまったるくてまったりとした話し方をしているのは家庭科の浪川なみかわよう先生です。
エメラルドグリーンっていうんですか? そんな感じの髪と瞳の色をしたゆるふわな先生です。自分とはなんだか合わない先生だと思っています。
浪川先生が「ちゃんと席についたかしら」と言うのはですね、クラスで決めた班でいいのにわざわざ……

「頑張ろうねミッキーちゃん」

「よろしくお願します」

じゃんけん大会なるものを行い、例の如く負けに負けた自分は負け組ならぬ外れ組(ドジラさんと下級生モブくん)と同じ班に……なってしまいました。自分は神様に見放されてしまったのでしょうか?
憎いです、どうしてあそこでグーを出してしまったんでしょうか!? 自分をグーで殴ってやりたいですっ!

「家庭科で同じ班になるなんて珍しいね美希」

「……あ。ひそっち」

隣に座る白い髪が特徴的な可愛い男……の子? は冬月(ふゆづき)ひそかくん。女子よりも女子力が高い事で有名で、家庭科の授業では敵なしのスペシャリストです。
しーさんつながりで知り合った友達でもあります。彼がいてくれたらもう安心ですねっ。……歩く自然災害ドジラさんがなにかをしでかさない限りは。

「じゃあ~今日みんなに作ってもらうのはね~~」

自分達に背中を向けて先生が黒板に向かって何かを書き始めました今回のテーマはハロウィンだって言っていたので、カボチャを使うのは確定ですね。……とゆうより各班の机の上にこれでもかぁぁぁと沢山のミニカボチャが置かれていますから。

「これよっ!!」

おっとカボチャに目がいっている間に浪川先生は書き終わっていたようです。えーと何々?


+++
【HMで簡単サクサク☆ハロウィンクッキー♪】

材料 (天板2枚分)

ホットケーキミックス 150g
マーガリンまたはバター50g
砂糖         30g
食紅         お好み
アイシング      市販の物
☆粉砂糖       大さじ2
☆牛乳        ちょっとだけ♪

1・まずマーガリンまたはバターを溶かすのよ。

2・ ボウルに溶かしたマーガリンと砂糖を入れて混ぜ混ぜよ♪

3・そうしたらホットケーキミックスを入れてまた混ぜ混ぜ♪最初はポロポロでも後から手でこねたらまとまるから大丈夫よ☆

4・もしまとまらなかったら、別量で水を少しずつ入れて、こねてみてね♪

5・そうたら生地を伸ばすわよ~!薄ければサクサク厚ければホクホクになります☆

6・そしていよいよ型抜き♪可愛くできるかな?今回は半分に食紅を入れてハロウィンっぽくしてみましょうか♪

7・次は焼く作業!オーブン180度で13分ほど焼きましょう♪

8・次はデコレーション。デコレーションをする時はしっかりクッキーが冷めた状態でやりましょうね。

9・顔などを書く時には、つまようじで書くとやりやすいわよ☆

10・アイシングが固まったら完成よ♪


アイシングなしでも美味しく食べれます☆焼き加減は人それぞれだからそこは調節してみてね。
☆を合わせてもアイシングは作れるわ。アイシングを作る時の牛乳は、ー滴ずつ様子を見ながら入れてね。
かたいなと思うくらいがちょうど良いわよ☆


++++


カボチャの絵付きで説明書きされていました。元ネタはCOO●PADかな……とか思いつつ。

「じゃあ始めようか」

「「はーーーい」」

家庭科のスペシャリストのひそっちと、返事だけは誰よりもいい足手まといのお二人とお菓子作り開始です。
……開始したところまではよかったです。本当に。

「きゃあああ!! ホットケーキの粉が宙を舞うよー!!」

「うわっ、こねていたら中身が飛んで行った!?」

「だ、大丈夫だからっお、落ち着て……ねっ? ねっ?」

想像していたよりも最悪な状況なんですけど……これ。どうして自分は今真っ白なんですか。なんで頭からホットケーキミックスを被り、こねた生地を頭の上にのっけているんですか……。

「ひそかくん!! オーブンから火がぁぁぁぁあああ!!」

「えぇぇぇええええええええええええっ」

……なんで触っちゃちゃんですか機械音痴ドジラさん。ええ。わかっていましたとも……わかっていましたよ、自分の班にドジラさんがいると分かった時点でね……はい、ではみなさんもご一緒に

――ドッカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーァァァァァッァァアアアアアアアアアアアアアアン!!




大爆発。


「もおおう!! なにしてくれてるんですかああああ!!
 うわああああああんっせっかくの家庭科の授業がぁああああっトップバッターだったのいにぃぃぃいいい」

「泣かないで美希」

肩を叩いたひそっちの腕の中には大きな袋がひとつ。

「まだホットケーキミックスはあるから」

「――いやっもういいよっ!!」


やはり自分は神様から見放されてしまったのでしょうか?