コメディ・ライト小説(新)

1.唐突な出来事 ( No.5 )
日時: 2017/08/07 13:06
名前: 岸本利緒奈 ◆YVidvJ3dh2 (ID: GfbO1Kzf)

「なんで俺が...いるの?」
俺は驚きのあまり、床に頭をガタンとぶつけそうになった。もう一人の『俺』は、気にも止めていない。
改めて気を取り直し、冷静に考える。
しばらく考えた末、これはある結論にたどり着いた。
...まさかこれって、ドッペルゲンガー?
ドッペルゲンガー。ドイツ語で「重なって歩く者」という意味で、もう一人の自分を指す。もし会ってしまったら、遠くないうちに自分は死んでしまうらしい。
...ということは、俺ってもう死ぬの!? ああ、もうおしまいだ。
父ちゃん、母ちゃん、友達に遺書を書かねえと...。最新作の『桃太郎の伝説11』も裏ダンジョンまでクリアしたかった...。オープニングすら見ていないというのに。沢山の後悔が俺の頭を横切った。
俺が紙を切って遺書を書こうとすると、横から『俺』が出てきた。
「何をかいてんの?」
「遺書を書いてるんだ。お前に会っちゃったからな」
しかしそいつはケロッとした顔で
「君は何言ってるの?」
とか馬鹿げたこと言ってやがる。
「お前に会ったから、俺は死ぬ羽目になっちまった。もううんざりだ!」
俺はペンと紙を投げ捨て、ぐったりと机に横たわった。
しかし彼は顔をしかめて俺に吐き捨てた。
「...別に死なないんだが、何をめそめそしてるんだ?」
...はい?
俺はガバッと起き上がった。
どうやら俺の思い込みだったっぽい。
んだよー。ビックリさせんなよ。
ホッとした俺を無視して、そいつはぽちっとテレビのボタンを押した。

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