コメディ・ライト小説(新)

Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.10 )
日時: 2018/03/28 16:59
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

第八章 いじめ 前編
悔しながらも観念した石川先生。そして、利月にこう言った。
「利月さん、関は麗矢君の隣。さっさとおすわりなさい!」
ぶっきらぼうなこの言葉には、恥をかかされた怨念と、悔しみが混ざっていた。利月が麗矢の隣の席に座ると、麗矢と利月の前の席の子たちが聞こえよがしにコソコソと悪口を言っていた。
「え~、本当にあの子と同居してたら超ショックなんですけど~」
「まっさかぁ。麗矢君の優しさでしょー。ごまかすために嘘ついたんだよ。だってあんな地味女、誰が一緒に住みたいっつーの!(笑)」
利月は麗矢に恥をかかせてしまった謝罪と、自分が情けなかった悔しさが同時にこみ上げてきた。利月は悲しくて、うつむくほかなかった。こんな様子を見て、前の子たちはクスクスと笑っていた。
「おいおい、こんなんで落ち込んでたら、もっとひどくなるぞ。お前はあんな奴らに敵わないほど可愛いんだから、自信持って堂々としてりゃあいーの。」
と、麗矢が励ましてくれた。利月は「可愛い」というのが冗談と分かっているが、心でドキドキしていた。でも、そんなことはばれないように、利月はそのドキドキにぎゅっと蓋をした。そして、麗矢にさっきの感謝も込め、お礼を言った。
「うん・・・ありがとう、麗矢。」
「ああ。あんなの、どうってことないぜ。ま、同居してんのがばれちまったけど。」
利月は心の中があったかくなるのを感じた。
(きっと、麗矢のおかげだ)
と思いながら。


―――――中間休み。利月はある女子たちに呼ばれた。
「利月・・・っていうんだよな。お前、麗矢と仲良くしすぎなんだよ。分かってる?麗矢がモテること。麗矢は私らのもんなんだよ。」
その女子グループの大将みたいな人に、そう言われた。
「分かってるよ。」
利月はそう言った。大将はこう続けた。
「よし、なら話は早い。麗矢はな、私らのもんなんだよ。お前みたいな地味子の相手したら可哀想なんだっつーの。だから金輪際、麗矢と会話すんじゃねーぞ?」
大将の言葉に、その仲間たちが、
「アハハハハッ!」
と、高笑いした。だが、前も言ったが、言いたいことは言う利月はこう言った。
「はあ?ばっかじゃないの。隣の席なんだから喋んなきゃいけないに決まってんでしょ?ペアで課題解くときとか。そんなことも分かんないなんて、よっぽどの馬鹿ね。」
と。この言葉にその女子グループたちは驚いた。今朝と利月の態度が全く違うからだ。
「調子のってんの?」
大将は負けじとそう言った。利月はそんなこと気にしないで、
「あなたたちこそ、調子のってるんじゃない?じゃ、私はこれで。」
と言い捨て、利月は教室へと戻っていった。大将―美菜は、悔しそうに舌打ちする。が、それもほんの一瞬。すぐに不気味な笑みを浮かべ、こう言った。

「見てろよ、利月。」