コメディ・ライト小説(新)
- Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.7 )
- 日時: 2017/12/02 14:50
- 名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)
第六章 悲しみ
ドックン、ドックンと高鳴る鼓動は、もはやだれにも止められないほど、激しかった。もう、教室の前に十分ほどいるのに、なかなか先生に呼ばれない。そのため、私の鼓動が速まる。そんなことを考えていた時、やっと、麗矢のクラスの担任―石川里奈子先生が、私の事を呼んだ。私は返事をし、教室へ入る。緊張していたためか、つかつかと早足になりながら入った。廊下から教室までは二、三メートルしかないのに、百メートルくらいを歩いてるような気がした。そして私は自己紹介をした。
「初めまして、桜川利月です。月の国の中学校から転校してきました。どうぞ、これか らよろしくお願いします。」
そう言った途端、教室中が笑いに包まれた。冗談ととらえられたのだろう。でも、これは本当の事。前も言った通り、私は言いたいことは遠慮なく言う人。だから大声で否定しようとした。――――――でも、緊張していたせいか、声が思うように出せなかった。そう私が困っている時も、教室の笑いの声は、小さくなるどころか、もっと増すばかり。私はその場に立ち尽くし、呆然としていた。すると先生が思いついたように笑うのをやめ、こう言った。
「利月さん。今の冗談は面白かったですが、コスプレを学校につけてくるとは心外で すね。今ならおこりません。今すぐ外しなさい。」
もちろん、これは生まれつきなので外すことはできない。
「違います!これも生まれつきで―――!」
私はやっとの思いで声をだしたが、その思いは届かず。教室も、また嘲笑っている。先生は呆れたようにため息をつき、私にこう言った。
「またそんな冗談を!いい加減にしなさい!私をからかっているのですか?!まった
く、転校早々いい迷惑です!これ以上つまらない冗談を言うんじゃありません!」
今度こそ、私の心は音を立ててぽっきりと折れた。せめて涙は出ないように我慢したけど、目にはじんわり、涙が浮かんだ。もうこの場から去りたい、そんな気分だった。