コメディ・ライト小説(新)

Re: 満月ウサギとクール男子~短編~ ( No.9 )
日時: 2018/03/28 16:23
名前: 雪原みっきい (ID: 9Urj1l4Z)

更新します!

第七章 仲間
その時、
「それは言いすぎなんじゃないですか?石川先生。」
と、声がした。利月は声のした方を向くと、目を丸くして驚いた。その声の主が、麗矢だったからだ。すると先生は、顔を顰めてこう言った。
「麗矢君、これは利月さんの問題です。あなたが口出しする筋合いはありません。さっさと一校時目の予習を始めなさい!」
麗矢はこの威圧にも全く動じなかった。
「それが、口出しする筋合いがあるんですよ。」
と言い、教壇へつかつかと歩み寄った。
「はあ?転校生のことを前々から知っていたと?あなたが知らないところから来たこの利月さんを?」
「いえ、前々から知っていたわけじゃありません。つい、昨日知り合いました。」
この麗矢の言動に、先生は口角を上げた。そして、
「じゃあ、利月さんのこともよく知らないくせに、口出ししたんですね?全く・・・あなたもいい迷惑ですよ、麗矢君。」
と、嫌味たっぷりに言い放した。
「先生は想像力が豊かですねぇ。まだ俺が、何故利月の事に口出しするのか言ってないのに。」
麗矢も先生に負けないぐらい、嫌味たっぷりに返答した。先生は少し、悔しそうな表情を浮かべた。
「ふん。褒めてくれてありがとうございます、麗矢君。まあ、聞く必要もありませんが、あなたの話を聞いて差し上げますよ。この後の授業もありますので、手短に。」
先生の言葉に、麗矢は勝ち誇った笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。実は、利月は俺と一緒に暮らしてるんです。利月は俺にその耳と尾の秘密を明かしてくれたんです。だから、彼女の真実を知ってるのは俺だけなんです、よ。」
この状況を無視して予習をしていたクラスメイト達も、麗矢の意外な一言に、一斉に麗矢の方を向いた。もう勝ちが決まってるこの状況で、負けず嫌いの先生は、焦りながら麗矢にこう問いかけた。
「あなたの発言だけでは信じられませんね。だって、あなたは対象の人物に優しすぎるんですもの。そのこと、ご家族の方たちは知ってるんですか?嘘をついてもすぐばれますよ?さあ、正直に言いなさい!」
麗矢は呆れたようにため息をつき、一呼吸おいてからこう言った。
「ええ、知ってますよ。疑うのならばうちの親に聞いてみるといいでしょう。ただ、それは先生の心が汚れている印ですがね。」
麗矢がそう言うと、先生はグッと歯噛みし、こぶしを握りしめた。もちろん、誰にもばれないように。でも、私は気づいた。麗矢も気づいたと思う。だって、あいつ館の良さは抜群だから。昨日それを知った。