コメディ・ライト小説(新)
- Re: 「死神」少女 【コメント募集中٩( ᐛ )( ᐖ )۶】 ( No.14 )
- 日時: 2017/12/23 10:40
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
*・.。*──第2章 「朝香巴という生徒」
結城side
結城駿。 25歳。
今年度からこの高校で国語を教えることになった新人教師。
──きっと、これが生徒達に抱かれる第一印象だろう。
学校の仕事は、ほとんど何一つやったことがない俺は中間である高2の担任に抜擢された。
「はいこれ。今日からこの高校に転入してくる、あ……何だったっけな」
「朝香さん、ですよね」
「そうそう! ……きっと不安だろうから、色々と教えてあげてくれ」
「は、はい」
……不安なのは俺も同じだっつーの。
*
「失礼します」
職員室に入ってきた一人の女子生徒。
はっきり言うと、少しだけ後ずさりたくなるようなオーラをまとっている子だった。
「朝香です」
「え!? ……あ! えーっと、朝香さんの担任の結城です。 僕もまだここに来て間もないからあまり役に立てないかもしれないけど、困ったことがあったら相談に乗るよ」
「はい。 ありがとうございます」
……絶対に変に思われてるよな、この反応は。
「頼りないわ」とか思われてそう。
「先生は何の教科を教えているんですか?」
「国語です。……朝香さんは国語好きですか?」
すると、少しだけ考えている表情を浮かべてあまり間をあけずに「はい」と頷いた。
僕が国語の先生だから、とかそういうのではなくてただただ国語が好きだから頷いた。──何となくだけどそんな気持ちが彼女からは感じて取れた。
「先生の授業、楽しみにしてます」
それだけ言うと、朝香はお辞儀をしてから職員室を出ていった。
風のようにふわりと舞い降りた彼女は、少し何かを抱えているようなそんな雰囲気を持った生徒だった。
僕が想像している以上に高校生は複雑で難しい。
明後日からの新学期。
──どんなことが待ち受けているんだろうか。
- Re: 「死神」少女 【コメント募集中٩( ᐛ )( ᐖ )۶】 ( No.15 )
- 日時: 2017/12/28 23:50
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://From iPad@
結城side
「今日からこの2-Aの担任になりました。 結城駿です。 授業は国語を持つことになります。 慣れてないことばかりで、もしかしたら僕がみんなから何かを教えてもらうことになったりするかもしれないけど、よろしく!」
……あーあ、なんか指さされてる。
教卓に立って、クラスの生徒に自己紹介をした。
「先生は、彼女とかいますかー?」
「え!? ……いません!」
男子たちの笑い声、照れ隠しで頭を掻いた。
「それから、転入生を紹介します」
「男ー? 女ー?」
さっき質問をした男子生徒がまた質問をしてきた。
「それは見てから! じゃあ入って」
スっとドアを開けて、朝香が教室に入る。
全く吹いていないけれど、風が吹いたような気がした。
「なんかベタだけど、黒板に名前書いてもらおうかな」
そう言って、ぱっと見1番長いチョークを手渡す。
軽く頷いて、朝香はササっと名前を書いた。
「朝香巴です。 もともと1年生からここに通う予定でしたが家の都合で今年からという形になりました。 これからよろしくお願いします」
パチパチとまばらな拍手。
一昨日と変わらず、オーラが怖い。
「ありがとう。 席は、じゃあ……」
真ん中の列の1番後ろで隣の生徒の名前は……──と教卓に置いてある座席表を確認した。
「望月。 とりあえず、朝香に色々と教えてやってくれ」
「……はい」
望月冬真。
バスケ部を退部し、あまり騒がない物静かな生徒……だと前担任から言われている。
けれど今の望月は……信じられないほど、取り乱している。
だって今も、俺が名前を呼んだらペンケースを思い切り床に落としたのだから。
何となく朝香の方を見ると、微かに目を見開いて望月を見ているような。 そんな気がした。
どんなことだろうと、この2人の間に何かあったことは間違いなさそうだ。
*
夜──。
「こんばんは先生」
後ろから声をかけられた。
こんな遅くに誰だと思いながら、振り返ると朝香がいた。
ひっ、と叫びそうになるのをこらえて何とか平然を保つ。
──なぜ彼女がこんなボロいアパートの近くに1人でいるのだろうか。