コメディ・ライト小説(新)
- Re: 「死神」少女 【コメント募集中٩( ᐛ )( ᐖ )۶】 ( No.8 )
- 日時: 2017/11/30 08:43
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://中2(過去)
*・.。*──第1章 「死神ちゃんと呼ばれていた奴」
冬真side
俺のクラスメイトの、朝香巴はいつも何に対してもつまらなそうな顔をしていた。 みんな朝香のことを嫌がったり、恐れたりしていた。
俺は実際、みんなほど嫌ではなかったけれど何となくその場の雰囲気に合わせようとして悪く朝香を言ったりしていた。
「本当にあんなんと目合わせたら、殺されちまいそうだよなぁ」
「同じ人間と思いたくないっつーかさ……」
「俺らって、来年クラス替えないから卒業までずっと死神ちゃんと同じクラスで過ごすのかよー」
「卒業までに呪われたりして、華の高校生活送れねーかもな」
──こんな風に俺らは悪口を言う。
悪口は、朝香の前でも聞こえるくらいのトーンで言っているからきっと聞こえてるはずだ。
俺と同じ考えをみんなそれぞれ心のどこかでは持っていたようで、ほとんどからかい半分に言っていたがいつになっても変わらない朝香の態度を本気で毛嫌いする奴や恐れる奴が出てきた。
もし俺が朝香の立場で、みんなから悪口をわざわざ聞こえるように言われて指を指されるのなら、今の自分を変えようとする。
──ちょっと我慢して、みんなに合わせればきっと1人よりはずっといい生活が送れると思う。
朝香はそういう「人に合わせる」ことが嫌いなのだろうか。
人に合わせることしかできない俺も、実際のところはただの弱虫で人に流されるだけの人間なのだ。
みんなの話を聞きつつ、そっと朝香の方に目をやる。
──窓の方を向いていた。……「弱い人間に興味はない」、そう言われているようで怖かった。
俺が出会った、中2の彼女は今も昔も変わらない芯の強い人だった。
……中2の俺からしたら、「捻くれてる」ように見えていたけれど今思えばあの頃から誰よりも真っ直ぐだったのかもしれない。
いい意味でも悪い意味でも、俺はずっと君に夢中だった。
- Re: 「死神」少女 【コメント募集中٩( ᐛ )( ᐖ )۶】 ( No.9 )
- 日時: 2017/12/02 20:55
- 名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: VNP3BWQA)
- 参照: http://中3(過去2)
冬真side
俺らは、中学校で最高学年の中3になった。
──受験を控えているにも関わらず、相変わらずで朝香の悪口を言い続けていた。
「冬真ー! ……お前、死神と同じ高校受けるらしいじゃん」
「まさかの、狙った感じ?」
──いやいや、さすがにそれはないけど……。
「んなわけあるかっつの。 たまたま行きたい高校が同じだっただけ。 ほらそこさ、バスケも強いみたいだから」
「ふーん。 じゃあ高校でもバスケやるんだ?」
「まーな」
──バスケをするためというのは嘘ではない。 朝香と同じ高校だったとしても別にそれはいいのだ。
死神、死神って言われているけど実際自分が同じように身の回りの大人全員死んだのにそんな死神呼ばわりされたらどんな気分なんだろうって考えられないのだろうか。
──俺だって、思ってるだけでワルぶってるだけで、本当は気持ちを伝えられないだけの意気地なしなのにな。
そんな俺に、ちょっとしたチャンスが与えられた。
──放課後俺と、朝香は教室に残って雑用係をやるようにと言われたのだ。
いいところにいた俺と部活に所属していない朝香だったら丁度いいという考えかと思ったら担任に個人的に呼び出されて、「ちょっと朝香に話しかけてやってくんねーか?」と頼まれたのだ。
──いや、なんでそこで俺?……なんて、聞けるはずもなく。
わかりました、と承諾してしまった。
「俺、ちょっと教室残るわ」
「うーっす。 じゃああとでな」
「おう」
……みんな、いつも通りの調子で部活に行くのを見送ってから自席に戻った。
隣の隣には、朝香も座っている。読書中だ。
──思った以上に2人だけ、というのは気まずくて話しかけられそうにない。
「……なんで、断らなかったの?」
声がした。 そしてその声が、朝香の声だと気づくのに時間がかかった。
「いや、まぁ……」
「だっていつも私のこと、嫌がってたみたいだし」
「それは……」
「いいよ別に」
気にしてないから、と朝香は冷たく言い放った。
強がってるとかそういうのじゃなくて本当にどうでも良さそうに。
……俺たちがやってること、このクラスの雰囲気すべてをくだらないと言い放つようにそう言った。
俺は、きっとこの時に朝香に壁を作られた。