コメディ・ライト小説(新)

初めての彼女は異世界で ( No.50 )
日時: 2018/03/07 21:14
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第5章 第一次異世界大戦
第46話 奴隷商

「これから、宜しくお願いします。」
王様から派遣された召使いさん。100人だった。多いなぁ。倍来ちゃったよ。召使いさん達は厳選されたらしく、王城で働いていたメイド長さんや門番さんなんかもいる。ていうか殆ど王城出身の方だが。
「いえいえ、こちらこそ。」
全員に挨拶をした。その後、マリーとネイレスの魔法練習をしようと思ったが……
「二人とも、ご主人様の為に魔法を頑張るわよ!」
何故かアンラが仕切っている。
「まずは基礎からね。魔力操作スキルを手に入れなければね。身体の魔力の巡りを感じて!」
こっちは大丈夫だな。そうだ、王都を回るかな。暇だし。
「何処へお向かいですか?お伴しますよ。」
外へ出ようとすると、パウ爺に声を掛けられる。
「少し王都巡りに。偽装スキル使うから大丈夫だよ。」
しかし、リルと煌龍を連れて行けと言われた。


『何をお探しなのですか?』
リルにそう問われる。
「少し奴隷を探しに。」
俺の夢を叶える為にな。え?ハーレムじゃねぇし。最強軍隊を作りたいだけだし。戦闘機とか空母とか憧れちゃう。……異世界でやる事では無いけど。まぁ、単に奴隷に興味があっただけだ。人を酷い扱いにして欲しくは無いし。この国ではキチンとした体制らしい。奴隷と言っても犯罪での場合が多いらしい。または借金返済のためとか。普段は後者の方が売られる。犯罪奴隷は強制労働、鉱山とかで働かせる。また、奴隷には食料など規定がある。衛生的にも気を使っている。
そんなこんなでこの国一番の奴隷商の店に来た。
「派手だな……。金持ちしか入らなそう。」
金の装飾が施され、重厚感溢れる。入るかぁ。


「ようこそ……!貴方はエトワール公爵様ではないですか!」
奴隷商は貴族や会員にならないと入らないので、貴族カードを見せて入る。
「今日は何をお求めで?召使い用ですか?それとも戦闘用ですか?」
言い方に少しムッとしたが、これがこの世界の常識なのだと感じる。
「まぁ、戦闘用というか騎士団を作りたくて。」
そう答える。
「分かりました。」
俺は奴隷商人に案内される。

初めての彼女は異世界で ( No.51 )
日時: 2018/03/08 22:15
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第47話 奴隷選び

奴隷商に案内されたのは部屋だった。応接室みたいな部屋だなぁ。実質そうなのだろうが。
「お茶でもお飲みください。これは昔の勇者が伝えた飲み物です。」
出されたお茶を見る。……完全なる紅茶だ。これはチャイ。マニアックな勇者がいるな。
「勇者様は色々な事を知っておられると聞いております。」
勇者はこっちから見たら異世界人だからな。……そういえばなんで俺は勇者なんだろう。召喚されると勇者という称号、職業が貰える。
《現地産の勇者もいるんですよ。ご主人様の場合は転生者なんでどっちも当てはまらないですけど。》
例外、ね。神をも予想しなかった俺という存在。まぁ、なってしまった以上、後戻りなんて出来ない。する気もない。前を進むだけだ。
「ご希望の奴隷はどのようなものでしょうか?」
はっ、とする。自分は考え事をして夢中になっていたみたいだ。
「そうだな……。では、戦闘奴隷の獣人でお願いします。性別は気にしないので。」
獣人は人間の倍、ステータスが高い。俺とかを抜いてだが。そもそも俺の仲間はチートばっかだからな。
「畏まりました。すぐにお連れします。」
すると案内人は部屋を出て行った。獣人はどんな感じなんだろうなぁ。


「お連れしました。おい、そこに一列に並べ。」
俺に挨拶をすると、奴隷達がぞろぞろと入ってきて、一列に並んだ。奴隷服みたいなのに体を包んでいる。白い病院で着る服だ。清潔感はあるが……勇者は碌な奴がいない。
「これが獣人か。」
一人でボソッと呟く。耳が生えて、尻尾もついている。
「なるべく戦闘に使えるように若い者を連れて参りました。」
若い子が多いなぁ。……俺も19歳だが。まずは鑑定するか。一人ずつ見るがうーんな感じの奴隷が多い。っていうか全員女だよな。悪意しかないな、商人。そう感じていた時、一人のステータスを見た。

ルナ
職業 奴隷
種族 銀兎族
Lv.5 (13歳の幼女)
魔力 156/98
筋力 165
体力 256/235
精神力 159
素早さ 256
幸運値 18
スキル
武道スキル、白銀龍の呪い、白銀魔法
称号
奴隷、白銀龍の焼印の持ち主、生き残り

最初の幼女やらは腹黒い何かが感じられた。
一人だけ面白そうなスキルと高いステータス。
「その子を買います。」
奴隷商人に言った。



初めての彼女は異世界で ( No.52 )
日時: 2018/03/10 12:22
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第48話 白銀龍の呪

「お買い上げ有難う御座いました。またのご来店をお待ちしております。」
商人に店の外まで送ってくれた。俺ははいと答えた。ルナのお値段は白金貨5枚。日本円50万と他の奴隷達より安かった。人に値段をつけるのは道徳的にどうかと思うが、これがこの世界なのだ。
ルナが安かった理由はあの呪いの事だと考えられる。
「ルナ、て呼んで良いかな?」
声を掛けてみる。
「はい、ご主人様のご自由にどうぞ。」
13歳の割にはしっかりしてるなぁ。ある程度の教養はあるのだろう。しかしこれから覚えてもらう事が沢山あるからな。パウ爺やアンラが色々教え込むんだろうな。……寒気がしてくる。
呪いの事は家で話して貰おう。



「今日から此処がルナの家だよ。宜しくね。」
門番さんに帰りの挨拶をして、中へ入る。
『お帰りなさいませ、公爵様。』
玄関から家に入った途端、一斉に声が聞こえる。ビビった。メイド達がずらっと並んでいる。
「う、うん。ただいま。」
返事をする。
「あ、お帰りなさい。ご主人様。奴隷を買ってきたのよね。ルナちゃんでしょ?」
アンラが出てきた。俺は堅苦しいのが嫌だからタメ口にしてと言ったらこんな感じになった。まぁご主人様は変わらないが。
「あ、服作んなきゃね。ルナちゃん、ちょっとおいで。」
ルナの手を引っ張っていく。なんだかんだであいつは良い奴だ。
「良かったですね、旦那様。」
パウ爺はニコニコしている。


ルナが服の採寸やらをしている時に、白銀龍とは何か煌龍に聞く。
『白銀龍は我々と同族です。原初の五体の天龍の一角に当たります。水を司り人間に豊かさを与えました。白銀龍は穏やかでありながら冷酷である、人間の味方でありながら敵でもあるような奴です。』
そんな回答が得られる。また、魔獣のスペシャリスト、リルに銀兎族について質問すると
『そうですね、確か昔に白銀龍と契約した種族です。しかしその契約に違反した事により、呪いを受ける事になったようです。だいぶ前の話ですからね。』
そんな事があったのか。異世界は色々あるな。あとでステータスを鑑定するか。


「ほらほら、ルナちゃんの服が出来たよ。」
何故にメイド服なんだ。俺は戦闘の為の服かと思ったが想定外だ。
「女の子なんだから当たり前でしょ。ユウキはそこが良くないところよ。」
マリーに怒られる。でも……なんて言ってられないんですがね。
「私と共にユウキ様に仕えましょう。」
ネイレス、お前は何を吹き込んでいるんだよ。
「ご主人様の為ならば何でもします。」
もうダメだ。洗脳されてしまった。


何故か俺の仲間は集まっている。俺の部屋にだ。
「白銀龍の呪いだなんて……アジ・ダハーカ呼んで倒してくるわよ。」
「私の旦那様なら瞬殺で終わりますよ。」
おい、チートコンビよ。不穏なことを言うな!
「まぁルナ。俺がそれは何とかしてやる。だから話してくれないか。その呪いについて。」
ルナは悲しい顔をしている。しかしそれを解くには知る必要がある。鑑定はするけど。

白銀龍の呪い
白銀龍の契約に違反した為に加護から呪いに変わった。周りの生物を凍死させる。一定の上限を超える場合は除かれる。

きっと俺らはLvが高過ぎんたんだろうな。チートばっかだし。
「……分かりました。この呪いは先祖から受け継いだものです。何があったのかは知らないですが、これを受け継いだ者は焼印をつけられ、奴隷として扱われるのです。しかし、私の住んでいた村は何者かによって火を放たれ燃えてしまったのです。私は呪いによって助かったのですが……他の人達は死んでしまって。それを見つけた商人に奴隷になれば衣食住は賄ってもらえると教えてもらい、私は奴隷になりました。」
そんな過去が……。辛かったな。
「分かった。白銀龍を呼べば解決するな?煌龍。」
『そうでしょうね。』
なら召喚するまでさ。

初めての彼女は異世界で ( No.53 )
日時: 2018/03/10 14:44
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第49話 白銀龍降臨

俺達は家の俺が作った召喚専用の地下室に来た。めっちゃ広いよ?だって煌龍みたいなのが出てきたら死ぬから。大体東京ドームぐらいはある。
「召喚陣は……面倒だから良いや。この紙に描いてるやつで。」
自家製メモ帳に描いた魔法陣を切り取り、床に置く。
「さて、白銀龍はどんなのか教えて欲しい。」
煌龍に尋ねる。名前からして白銀だよね。
『その名の通り白銀の龍です。身体は白銀の鱗で覆われ、光に当たると青白く輝きます。また目は深い青です。そうですね……蛇のように長い形をしています。』
所謂ドラ◯ン◯ールのシ◯ン◯ンみたいなのか。アジアの龍だな。
「有難う。じゃあ想像してみるな。」
白銀龍を思い浮かべて、召喚陣の方に魔力を送り込む。適当に詠唱しとくか。
「白銀龍よ、降臨せよ!」
なんかカッコいいじゃん、降臨って。中二病感半端ないね。
「まぶしっ……。凄い……!これが召喚魔法!」
マリーがはしゃいでいる。他の人は静かにしているが。
魔法陣が青白く光りだす。その光が絶頂に達し、緩やかに引いていくと、目の前に大きな龍がいた。
『私を呼び出したのは貴方ですか。この魔力は感じたことがなかったものです。美しくも冷酷に、また暖かい。まるで私達を創り出した神のような魔力でした。』
出会った瞬間語りだす。凄いな。うん、長い。
『契約を私の方から願い出てもよろしいでしょうか。』
いや、急過ぎるんだよ。
「おう、いいよ。」
契約したかったので良かった。結果良ければ全て良しなんだよ。何があろうと関係ない。見栄えいいと思うし。
『あぁ、この大きさではお邪魔をしてしまいますね。小さくなります。』
ポンっと音がすると白銀龍が小さくなっていた。魔獣は可愛い。
『奴は直ぐに相手の思考を読むことが出来ます。先々の事までを見通すことも出来、天龍の中での一番の人格者です。』
だから行動が早いのね。これから頼りにしております。
『なんと……。煌龍、貴方と再会できるとは。フェンリルまで!』
そんなに凄いことか?何となく呼んだら来てくれただけだけど。
「私もお忘れなく。」
「うちもね。」
ひょっこりとチートコンビも出てくる。
『神様まで…。素晴らしい主人です。お仕え出来る事を光栄に思います。』
お前の思考能力の方が凄いよ。喋り上手だね。
「白銀龍。頼みがあるんだ。」
俺は本題を切り出す。



『では、契約に違反した後、呪いのまま受け継がれてしまったのですか。分かりました。また新しく契約をし、上書きをしましょう。』
能力も残す事を考えてくれた。本当に頭が良い。
「ルナ、白銀龍の前に。」
俺は先導する。ルナはおどおどとしているが。
『手をお出しなさい。』
ルナははい、と呟き手を出す。
『白銀龍の名の下に貴殿らの種族と契約する。白銀の術を使い、良い方向に向かいなさい。』
ルナと白銀龍を青白い光が包む。
「綺麗……!」
マリーの言う通り幻想的な光景だ。



「白銀龍の契約に変わったみたいだな。良かった。」
ステータスを鑑定して変わっていた。
「そういえばどんな契約だったの?」
白銀龍に聞く。
『上書きしたものと同じです。悪い行いには使うなというものです。』
それで契約違反をしたのか。呪いが解けたから大丈夫だけど。


「これからユウキ様に永遠にお仕えします!」
ルナが深々と頭を下げる。俺は上げてと言うが上げてくれない。
「分かったから、これから宜しくね。だから頭上げて?」
そう答えるとキラキラした目で見てくる。
「はい!」
彼女の元気な声が家に響いた。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.54 )
日時: 2018/03/12 13:26
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第50話 公爵領、開拓

今日は公爵領に案内して貰う。公爵になったからには一つの都市ぐらい治めないといけないのだ。きっと大きいのだろう。面倒だなと思うがしょうがないな。
「グリフォン達は速いですね。もう着きました。」
そこら辺の馬車より倍は速い。
「此処です。」
グリフォン達が下に降りる。馬車の中を出ると平原が広がる。
「勇者様には此処を開拓して頂きたいのです。」
は?えっと何て言いましたか?開拓?無茶振りに聞こえたんですが。
「この地は聖国と獣国と接する国境線にある平原です。実はこの2つの国が戦争をする情報が入って来たのです。どうかこの国をお護りください。」
そんな事を言われたらイエスとしか言えないじゃないか。
「分かりました。やれるだけやってみます。」
そう答えた。



「まずは塀とか?ご主人様の世界の某巨人アニメみたいなのが良いわよね。」
まぁいいけどさ。マップで何処までが俺の領地なのかは知ってるし。じゃあ作ります。



「こんな感じか?結界もあるから大丈夫だと思うけど。」
塀から始まり、中心に俺の屋敷、街を作ったりした。後は何体か魔獣を召喚して、番犬になどになって貰う。最悪アジ・ダハーカに頼る方法もあるからな。……最悪の場合だぞ。
「これからこの街に住む人々が来るのね!」
マリー、まだそんな予定はござらん。飛行船とか作って人を運ぼうかな。

この公爵領はこの先の未来に『神の国』と呼ばれる事になる。

追加のあとがき
50話になりました。もうこんなに話を出しているのか、と思うほど長続きしましたねwww。私は結構長続きしない人なので。え、頑張ってますよ?フラグなんて折ってやる勢いで。この時点で立ってますが。
雑談は置いといて、ここまでこれたのは読んでくださった読者様のおかげです。コメントを下さった方もいて、読んで元気を貰いました。
これからも頑張りますので、宜しくお願いします。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.55 )
日時: 2018/03/12 20:22
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第51話 ゴーレム兵器

公爵領を開発したのはいいが、兵隊やら此処を治める人材がいない。戦争地帯の近くなのだ。また、海にも面している。これは厳しい。
「どうすべきか……。アンラ、パウ爺、何かアイディアはあるか?」
チートコンビに聞いてみる。知識は豊富だからな。どんな解答が出るのかは保証出来ないが。
「ゴーレムとか?人型ゴーレムならこの世界じゃないけど、違う次元の世界にそんな文明があったわね。」
「私も同意します。人型ゴーレムは量産出来ますし、機械人形オートマタ人造人間ホムンクルスを造るよりも簡単です。」
ゴーレムね。巨体で破壊兵器みたいなイメージだったけど、人型もあるんだな。ロボットか。それならプログラミングすれば良いし。そうするか。


「人型ゴーレムは180cmぐらいでいっか。」
自分で量産するのは面倒。ならば機械を作って仕舞えばいい。俺は工場に行き、その機械を5個作った。後々増やすつもりだ。機械にゴーレムの設計図をプログラムして、量産する。パーツごとも量産出来る。
「……量産し過ぎじゃない?」
現在、600体ぐらいいる。アンラの言う通り、やり過ぎた感ありまくりだ。気にしないで。俺の領地広いし。
「まぁいいけど。海の方にも配置するんでしょ?海軍あたりが来そうだから、空母と戦艦、潜水艦も作っておきましょう。あ、私が何とかするからご主人様は休んで。たまには大切よ。」
アンラにほらほらと背中を押されて、工場を出た。最近休んでなかったからゆっくりするか。



「いや、こんなのを用意しろとも言ってないんだが。」
その先には巨大なゴーレムがいた。工場に来た途端驚いてしまった。頼んでないし。格納庫に置かなきゃならんわな。使う時とか無いし。
「もしもの場合よ。浪漫があるでしょう。」
……絶対に悪意しかない。無駄なものを作ってどうする。別にいいけど。
「警察署とか色んな設備は整えているし、島の所に監獄あるから。治安は守られるでしょうね。」
テキトーだな。設備が整っているのは有難いが。
「さて、次は住人集めよ。広告でも張り出しましょうか。」

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.56 )
日時: 2018/03/14 16:39
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第52話 飛行船の試運転

俺達は今、飛行船に乗っている。この間作った奴だ。現在試運転中である。ゴーレムが運転してくれている。本当にAIだな。客室乗務員もいる。ゴーレム作り過ぎたと思ったが、もっと必要かもしれない。
「メニュー表も御座います。」
ゴーレムの接客も試している。後、行き先は王城だ。王様にプレゼントする飛行船を渡すのと、住民を募集している事を伝えて、広告を掲載して貰いたいと思う。因みに、俺のこの飛行船は全金属飛行船だ。アメリカ海軍が運用した。それを超魔改造しまして、浮力とか関係無しに主砲なんかがあります。王様にプレゼントするのは軟式飛行船。俺がいた現代では最も運用されていたタイプだ。半硬式でも良いかなと思ったがあまりでかいと置くところが無くなるだろうなと思いやめた。
「この、『こーら』とは何なの?」
マリーがゴーレムに話しかける。
「歴代の勇者様が伝えた、その世界の飲み物です。」
一応、俺がそっちの世界側の人間だとは伏せている。マリーやルナにも言ってない。ネイレスは分かっていると思う。後のアンラやパウ爺、煌龍とかは知っている。チートだもん。



『ご搭乗の皆様にご連絡します。この機体がそろそろ目的地に到着致します。降りる際は乗務員が誘導致します。それまではお席を立たずにお願いします。』
良かった、出来ているな。プログラムは成功したみたいだ。飛行船も安全。そもそも魔法で何とかしてるから向こうの世界よりも頑丈なんだけどな。
「到着したみたいね。行きましょうか、ご主人様。」
「ユウキ、ノロノロしてないで行くわよー!」
マリーが意気込み過ぎている。出る時に転ぶなよって転んでるし。もう、お茶目だな。


「これが勇者様が作られた『ヒコウセン』ですか……。素晴らしいですね!これを下さるのは勿体ない。良いのですか?」
王様が飛行船を見に来た。これは俺専用だが。
「王様の分はこちらです。」
インベトリーから一回り小さい、軟式飛行船を出す。
「操縦が難しいので小さい物にしました。魔力タンクに魔力を貯めてから運転して下さい。これなら小回りが利きます。」
俺のは少しでかいからな。小回りは利かない。軍事的な意味では主砲やらを乗せているから良いのだが。
「有難く受け取らせていただきます。それでは、話が変わりますが住人募集の広告を街中に貼るように従者達に頼んだおきます。」
「有難う御座います。」
手回しをしてくれて本当に頭が上がらない。あ、もう一つ用事があった。
「王様、すいませんがもう一つお願いが……。」
申し訳ない。何度もお願いをしてしまって。
「いえいえ、何なりとお申し付けください。」
「実は商会を開きたいのですが。」
商会、俺の技術を世界に広めたいのだ。魔法は限られた人だけが使えるが科学ならば誰でも使える。俺はそれで便利に暮らして欲しいからな。
「畏まりました。では商会手続きをして、開きましょう。拠点はエトワール公爵領で宜しいでしょうか。」
「お願いします。」
俺は頭を下げた。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.57 )
日時: 2018/03/15 19:09
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第53話 エトワール商会

「商会ギルドようこそ、エトワール公爵様。」
俺達は商会を設立する為に商会ギルド本部に来ている。冒険者ギルド、商会ギルド、治療師プリーストギルドとかある。
「王様から話は聞いております。商会を設立したいのですね。立って話すのもあれですから、お部屋へどうぞ。」
商人に案内されて、接客室に来た。奴隷商の時と同じくらい煌びやかだ。
「王様から大体の事は聞いておりますので、この書類にサインして頂ければ、商人カードをお渡しします。先に説明をさせて頂きますと、この商人カードは商売をしても良いという事になります。」
所謂証明書ということか。俺のいた世界でもそうだったしな。何処もかしこも勝手に商売されたら税金やらで揉めるだろうし。
「サイン出来ました。」
書類に目を通して、サインを書く。速読を使ったけど怪しい契約とかは無かったから大丈夫なはずだ。
「畏まりました。では、カードを渡しておきます。失くしてしまうと商売が出来なくなります。再発行もできますが料金を請求するので、気を付けて下さい。」
俺は早く商売がしたくて堪らずに、商人さんに感謝の言葉を伝え、公爵領に転移した。


「此処が商会……って、会社じゃねえか。am◯zonかよ。」
見た目からして現代のビル。中を見ると現代でも最先端技術が使われていて、レジが無いコンビニまである。
「おい、アンラよ。頼んで無いよね。こんな現代感、この世界に合わないよ?」
中世の雰囲気が漂う世界に現代の物をぶっ込まれたら台無しだ。
「えー、憧れてたんでしょ?いいじゃない。堅苦しいのよ、ご主人様は。」
はぁ、と溜息を吐くんじゃねぇ。浪漫が無くなるんだよ。
「異世界の浪漫なんてハーレムぐらいでし、いひゃい、いひゃい、やへぇて。」
痛い痛いやめてと言っているように、俺はアンラの頬を抓る。
「ごめんなさいって、もう冗談通じないんだから。」
うっさい、悪かったな、こんな奴で。
「ま、とりまいいでしょう。中世風の所もあるわよ。」
「何箇所も作ったのかよ。」
「そりゃそうでしょ。絶対に売れるんだから店舗数を増やさないと。」
公爵領は結構広いからな。店舗はかなりあってもいい。
「これから何売るか考えたり従業員も考えなきゃ。その前に、こっちの公爵邸の召使いとかも募集しないと。ワープで繋いでいると言っても毎日移動できるわけないし。」
アンラの言う通り、某ドアの様に移動できるが毎日通るなんて面倒だ。王都あたりで雇うか?
「そうね、従者ギルドに行けば?そこに行けば執事やらも雇えるし。後は召喚ね。悪魔召喚だとイケメン出るかもよ。」
……何だよ、その目。物凄く腐ってる感しかないぞ。
「まだまだやる事は多いんだから、早くしなきゃね。」

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.58 )
日時: 2018/03/15 22:34
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第54話 イケメン登場

「悪魔召喚……!気になる!ユウキ、やってみなさいよ!」
「え、いきなりすぎね?」
マリーに今、迫られている。何故だ、こんな事になったのは。
「そうよね、そんな展開あるかもしれないし。」
元凶はテメェか。アンラ、ちょっとこっちに来なさい。
「ごめんなさい、ごめんなさい、こっち来ないで!悪意ある顔してるわよ!」
「正に鬼の形相ですな。」
どんな顔だよ。俺をいじりまくるな。パウ爺の方が悪意だぞ。
「ねぇ、早く早く!」
「急かすなってやるから。」
マリーが早くしろと言わんばかりの機嫌が悪くなって来た。ヤベェな。この間機嫌悪くて魔法をブチかましたら死にそうだった。怖い。
「さて、召喚部屋に行くか。」
転移魔法を発動させ、みんなで移動する。



「さて、やるか。」
相変わらず面倒な事を省略する。魔法陣は紙に描いたやつを代用する。
「これを他の召喚師が見たらどうなのか。」
アンラはズルだな、と言ってくる。おい、いじるな。
「遅い!」
マリー怒鳴るなよ。可愛いんだから。
「じゃあ行きます〜。諸々省略!」
「いや、ダメでしょ。」
アンラが厳しいツッコミを入れる。楽したもん勝ちだ。
「お、光り出して来た……て黒いな。」
めっちゃ黒い。どす黒い色の光?光なのかどうかは分からんが。
「……誰だ、貴様は。」
そこから出て来たのは美少年。色白で黒い髪型、赤い目をした青年だった。
「うわぉ、イケメンねぇ。」
アンラ、お前はチートだな。
「流石ですな旦那様。」
お前らよく冷静でいられるな。
「で、何で美少年が召喚されるんだよ。」
悪魔召喚を行ったはずなんだが。こんな美少年はお家に返してあげなければ。とか言いながら俺よりも背が高いが。
「いや、久し振りにだのぉ、ルシファーよ。」
「パウアンネ様!人間界にいたのですね。」
うん、パウ爺は人脈広いな。ルシファーね。元は熾天使だったけど神に反逆し、堕天して悪魔になった。魔王だね。
「パウアンネ様がいるという事は……。貴方が全能神……。」
全能神?あ、最高神に付けられたあだ名だったな。
「誇張過ぎだね。そんなんじゃないけどね。」
「謙虚すぎよ。私よりも強いんだから、ご主人様は。」
悪の創造神に言われてもなぁ。あんまり説得力ない。
「アンラ様まで。……神にも人間に使えるのも癪でしたが、貴方様になら忠誠を誓います。」
「いや、大袈裟だね。みんなオーバーリアクションだよ。」
思ってた事がつい言葉に。
こうして美少年が俺達の仲間に加わった。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.59 )
日時: 2018/03/17 14:37
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第55話 神界に来ました

「あ、最高神様が怒ってるかも。」
アンラが何か言い始めた。うん、最高神?怒ってるの?あ、もしかして神界行けって言ってたからな。
「じゃ、行く?」
「軽いノリで行く所じゃないでしょ。」
え、そんな軽いノリでしたか?行った方がいいかなと思っただけだけど。
「そもそも分かるの?位置的に。」
それは大丈夫なんだな。何故って?前夢の中であった時にスキルが記憶していたらしい。チートダァ。
「ほら、パウ爺もアンラも連れて来いって言われてたから、ルシファーもね。煌龍、リル、白銀龍、あの3人の様子見ててよ。」
『畏まりました。』
俺達は神界関係者を連れて、最高神に会いに行く。



「いつ見ても色がないなぁ。物寂しいくね?」
真っ白な世界を見て、そんな感想が出てくる。色って大切だなと改めて実感する。
「神界なんて直ぐに変化するからね。後これ、仮の姿。呪文言えば開くわよ。」
何だよそれ。遊び心あり過ぎだろ。千夜一夜物語か?アンラは当ててみろよみたいな顔をしてる。
「えー、テキトーでいいか。」
開くと言ったらこの言葉しか思いつかないのだ。
「開け、ゴマ!」
何でゴマなのかよく分からないセリフ。絶対に開くわけないよな。しかしそんな思いも打ち砕かれる。ゴゴッ、重い音がした後白い世界から切れ目が生じて、中から超ハイテク都市が出て来た。
「近未来やな。何で中世じゃない。理想を壊すな。」
ファンタジー感満載の神話は何処へ行ったんだ。小さい子達の夢を返せ。
「ようこそ、神界へ。お待ちしておりました、新たなる神とその仲間達。」
入り口と思われる門、SFな感じだ。そこに羽根のある天使?がいた。
「あ、どうも。最高神様に呼ばれて来ました。」
「本当にご主人様のノリが軽すぎる。」
アンラ、ツッコんでるな。普通はボケなのに。
「いや、此処で考える事じゃないでしょ。近未来とか、感想のレベルが小学生なのよ。」
語彙力が無くてすいません。何も伝わらないな。
「雑談はそこまでとして、最高神の住む城は向かいましょう。」
パウ爺が終わらない雑談を止め、俺達を促す。
「では、此方へ。」
天使は俺達をあの大きな城へと案内して行く。


街の中を歩いている途中に見ると賑やかだなと思う。
「こんだけ神様がいんのか。」
何千人と街の中にいる。
「いるわけないでしょ。大体此処にいるのは天使や悪魔、神の眷属達よ。」
悪魔もいるのね。ルシ君はどうなんだろうな。
「私は……神に反逆していたため、神界は追放されました。」
え、気まずくね?そもそも入らないよね。
「ほほ、旦那様がいるからですよ。」
パウ爺が意味深な事を言う。どういう意味だよ。
「いずれ気づきますとも。」
曖昧にするなぁ。気になるじゃないか。
「ほら、雑談してるうちに着いたじゃない。」
アンラが話しかける時には城の目の前だった。
「此処が最高神様が住む城です。」
なんか夢の国のツアーみたいだな。BGMが流れるな。俺の頭にはもう流れているぞ。
「では、こちらの門から入ります。」
城はやっぱりSF感漂う。ファンタジー要素などもう無い。
門の中から入ると、ロビーに出る。中はホテルだな。どんだけ娯楽したいんだよ。
「エレベーターに登り宴会場へ行きましょう。最高神様が待っております。」
ロビーのカウンターの近くにあるエレベーターに俺達は乗る。



エレベーターの中はクラシックな雰囲気。外と中のギャップが激しい。ふと、エレベーターの階数のボタンを見る。
「1,500階……⁈」
そのボタンが目に入る。それ以上ある。
「そもそもこの城に限度なんて無いし。ボタン式やめたらいいのにね。」
本当にそう思う。1500個のボタンがあるのは面倒だな。まぁ、このエレベーターは思い浮かべた数字がボタンとして出てくるみたいだけど。入力式にしたら?


「着きました。」
天使にそう言われる。エレベーターのドアが開き、俺達は降りる。
降りるとそこには一面の花が咲いている。
「え、何?温室で花育ててんの?」
ガーデニング趣味でもあるのだろうか。
「いや、これは農耕神あたりが花を育てたんでしょう。これ当番制だから面倒なのよ。育てた本人がやりなさいよって思わない?」
人任せなのかよ、結局。自分でやりたい事は自分でやった方がいいと思う。アンラに一理あるな。
「待っていたぞ……ついにこの時を!」
いきなり誰かに襲われる。怖っ。剣を投げてきたよ。良くないと思う。
「あ、ガイアちゃんじゃん。」
俺が最初に出会った神様だ。大地神だ。でも出会いの時に凶器を投げるのは良くないぞ。就職難になる。
「おっと。」
彼女が剣を持ち、俺に攻撃してくる。が、甘いな。剣の太刀筋が出来ていない。後方支援だったのかな、近接戦は得意じゃないみたいだ。
「クソッ!何故避けられる!剣神から教わったのに……!」
あ、やっぱり剣の神様っているんだね。会ってみたいなぁ。
「だから甘いよ。付け焼き刃だよね。ほら、簡単に取れちゃうでしょ。」
彼女が何度も襲いかかってくるから俺は白刃どりをする。良かった、空振りは恥ずかしいからな。
「何故だ!」
いきなり力で押し込もうとする。うわうわ、危ないな。
「あっ、やっちゃった。」
俺は剣をボキッと折ってしまう。
「神器が……折れるなんて……。」
ガイアちゃんは驚いた顔をしている。これ、神器だったの?初めて知ったんだけど。神器も折れるんだね。
「いや、普通折れる訳無いじゃない。馬鹿力よね。」
アンラ、ディスってるよな。それ。
「良いものを見せていただいた。待っていたぞ、新しき神よ。」
「最高神様!」
ガイアが威風堂々としたおっさん、つまり最高神に近寄る。俺の事そんなに嫌い?泣いちゃうよ?
「さぁ、此方へ。」
最高神に手招きをされたのでついて行く。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.60 )
日時: 2018/03/21 17:27
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第56話 神の宴会

俺達は今、宴会場に来た。ガヤガヤしていて煩い。こんなにはしゃぐのか。神としての冷静さなんてないな。
「おいおい、新人君よぉ〜。一緒に酒飲もうぜ!」
「いえ、未成年なんで……。」
「神様に未成年なんて関係ないからなぁ〜!ほらほら、入れてやるよぉ。」
神様に絡まれている。こんなに神様がいるのか、そう思うぐらい多い。現在、下級神が絡んで来ている。
神にも階級がある。上級神はアンラ達のように名前がある。中級神は何を司っているのかは分かる。例えば水の神みたいな感じ。下級神は何も司らない。上位の神の手伝いをしているらしい。上下関係厳しいな。
『えー、静まれー。最高神からの発表があるぞー。』
大きな声がした。ステージの方を見るとマイクを持った神様がいた。やる気のない先生みたいだ。
『諸君、この宴会によくぞ参加してくれた。此処で新しい神の紹介をしよう。少年よ、来なさい。』
俺の方見ましたか?やめてほしい。目で訴えてくるんだが。アンラもほら、と小声で呟いてくる。行けばいいんだろ?分かったよ。
『えー、紹介預かりました、加藤勇気……じゃなくてユウキ・カトウ=エトワールです。』
只の自己紹介だな。名前しか言ってないが。まぁ、これで終わりでいいでしょう。
『彼が噂の全知全能たる神だ。』
「うぇ?」
間抜けな声が出てしまった。何を言ってらっしゃるのですか?急に言うことじゃないでしょう。
『彼はこれから上級神の序列12位として君臨する。彼のサポートを君達に頼む。』
序列なんてあるの?そして何故12位?なんか高くない?
「なんだって!こんな若造に何が出来るんだ⁈最高神様!もう一度ご判断を!」
批判の声が殺到する。うるさー。鼓膜が切れそう。
『これは決定した事である。異議があるものは申し出なさい。』
「っ!……最高神様。どうか此奴と勝負させて下さい!それでもう一度考え直して頂けませんでしょうか!」
『よかろう。』
いや、一切良くないよ!俺はもっとまともに生きたいんだ!
「ならば勝負だ!」
「え、此処で⁈」
周りの神々が退く。集団で襲いかかるか?やめてほしい。切実にだ。
「では、行くぞ!オォッ!」
チョットォォ!まてよ待て待て!おかしいだろ!10人で襲いかかるなんて!もう!
「あぁ、剣操ソードメニプレイト!」
すぐさまインベトリーから暗黒剣を出す。暗黒魔法を最大限の火力で付与してある。神様は光属性そうだから。7本あるが七つの大罪をイメージしている。その名の通りの能力も付いている。例えば……
「なんだ⁈私の剣が食われて……!私の身体も!やめてくれ!」
暴食は全てを喰らう。世界を、も俺に仇をなすもの全て。後は
「これは!俺の能力が使えない⁈」
これは強欲。全てのもの奪っていく。
「流石、私のご主人様ね。的確な判断よ。そこの奴ら!私のご主人様に手を出すんだったら私を倒していきなさい!」
アンラ、張り切りすぎじゃね?
「旦那様は流石ですな。アンラ殿、加戦しますぞ。」
パウ爺も剣を持っている。ヤベェ、チートコンビが暴れ始めるぞ。最高神も止めろよ。
「……パウアンネ殿を止められないか?少年。」
何で俺に頼るんだよ。お前の権限で何とかしろ。忙しいんだよ。
「あぁ、これが終わったらで。」
「直ぐに頼みたいんだが。」
焦るなって。トランキーロだぞ。
「トランキーロ。」
「は?何だ、その言葉は。」
親日プロレスを見れば分かるよ。
「あ、終わったな。パウ爺、アンラ、終わったぞ。」
チートコンビを呼ぶ。気付いたらしく、神々をボコるのをやめた。
『これで異議はないな。では、これで宴会を終了する。』
色々あって宴会場は滅茶苦茶だな。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.61 )
日時: 2018/03/21 17:57
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第57話 楽しい物作り

「そういえば、何で俺は序列12位なんだ?」
アンラに聞いてみる。
「そうねぇ、私は序列13位だからじゃない?あと、序列って言っても肩書きだけだから。実質私は5位くらいの実力はあるわよ。どっちかっていうと生命に貢献した順みたいな?」
そうなのか。序列は肩書きだけっていいのか?作る必要性無かったよな。
「パウ爺は現役何位だったんだ?」
チートな神様はどうだったのだろうか。
「そうですね、一位でしたよ。そもそも最高神にざっと5兆期当選してましたから。」
は?最高神に5兆期就任してたの?おかしくない?普通二期当選しかなくない?いや、神様の世界は常識など通じないのか。
「最多記録よ。凄い優秀で、パウ爺が現職時代は奇跡の時代と言われていて、全てが均等に、つまり善と悪が両立出来ていたのよ。普通、他の神は偏ってしまうのだけれど。」
均等にって凄いな。世の中、善と悪があるから成り立つわけで、でも偏るよな。
「じゃあパウ爺は凄いんだな。」
「旦那様の方が素晴らしいですよ。」
5兆期当選は普通出来ないよ?面倒だしね。パウ爺の方がしっかりしてるし、頼りになるし。凄いよ、本当に。
「じゃ、神界から公爵領に戻りましょうか。ルシ君が仕事の受け継ぎをしてるみたいだし。」
12位の仕事はそこまで無いって言ってたからな。大丈夫なはずだ。ルシファーの方がこっちで働いていたのが長いし。
「転移するか。」




「ただいま、って寝てるか。」
どうにも神界の時間は寛容らしい。こっちの世界じゃ一分経っただけだ。すげぇな。
「受け継ぎも終わりましたね。」
ルシファーがそう言ってくる。殆どお前のお陰だよ。俺何もしてないし。
「さて、俺はちょちょいと色々してきまーす。」
俺はルシファーの装備を作りにいく。
俺のアトリエは何か広い。そこまで大きいのは作る気無いんだがなぁ。アンラが変なの作るからこんな広いんだよ。
「さて、悪魔と言ったらローブ?いや、あれだけイケメンだとぱふぱふのコートとか?着せて見たい。俺の普段着も作るか。」
結局、色々作ることにした。



「こう?まて、ルシファーは魔法が得意なんだよな、後は召喚と使役すること。テイマーか。」
そんな事を考えてあれこれ練っていくうちに次の日が来た。




「出来たぞ!ルシファー、着てみてくれ!」
大声でルシファーを呼ぶ。いやー、考えて作ったので満足感しかない。ウキウキするなぁ。あ、ステータスはこんな感じ。


熾天使と堕天使のローブ
聖属性魔法と暗黒属性の魔法が使えるようになる。攻撃無効化。


「有難うございます。」
満面の笑みだ。良かった。しかし、その後無理矢理風呂に入らされた。臭うかな?

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.62 )
日時: 2018/03/22 20:59
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第58話 公爵領の運営スタート

今日は待ちに待った、俺の公爵領に住人が来る。王様から聞いたところ、沢山の応募があり、倍率は10倍らしい。凄いな。
現在、その人達を待っている。俺が王様に頼んで、飛行船場の土地を確保して貰った。
「定刻になったな、お、きたきた。」
飛行船の前で待っていると、沢山の人々がぞろぞろと来た。集まったので、説明を始める。拡声器魔法を使って。人数はスキルで把握している。
『えー、これからこの飛行船で公爵領に向かいます。家などはこちらで用意しておりますので、安心してください。』
飛行船のゴーレムはバッチリです。サービス業としてこれから頑張ります。
『ここまでの説明で何か質問はありますか?』
誰も手を挙げないので大丈夫だろう。
『最後に、人命に関わる事がある場合、中のゴーレムの指示に従って下さい。機内での質問がある場合もゴーレムにお声掛け下さい。』
一通りの説明を終え、ゴーレム達が入場口から誘導を始める。それに従い人々は入って行く。


五分ぐらいで全員が乗り込む。初めて乗る人々なので、凄いとか感嘆の声を上げている。喜んでもらえたようだ。ゴーレム達もメニューの注文の仕方などを教えている。上手く作動しているな。俺達は専用の部屋にいる。操縦も一応出来る。監視する事を目的とした部屋だ。何か問題を起こされたらたまったもんじゃない。
「今のところは何も無いな。」
怪しい事があったらゴーレムがまず質問する。職務質問だ。それから嘘を発見する装置も付けている。それで何か良くない事をしていた場合、その場で取り押さえる。そんなシステムもある。そこら辺の人間には負けない。ドラゴンぐらいなら耐えられるぞ。
「ご主人様、食べ物きたわよ。早く食べないと。あ、お酒は赤ワインを頼んだいたから。」
贅沢な限りを尽くしてますね。後、俺は未成年だからな。お前達も自重しろ。



『到着致しました。』
放送が流れる。ゴーレム達が誘導を開始し、俺達も専用出口から出て行く。
五分後には全員が外に出て、飛行船場、所謂空港、のエントランスに集まっている。
「此処から個人行動になります。住居にゴーレム達が案内しますので、それについて行って下さい。」
要件を伝えて、住居に案内し始める。ゴーレムが役に立っているぞ。
公爵領の運営がスタートした。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.63 )
日時: 2018/03/23 18:42
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

番外編 公爵小さな住人

「お父さん、今日も仕事が大変だったね。」
私達一家は田舎で農業をしている。お金がないからこそ、資源で税金を納める事しか出来ない。
ちょうど、私はお父さんの田植えの手伝いが終わったところだった。
「手伝いありがとな。お前達に本当は学校に行かせてやりたいが……。すまない、何も出来なくて。」
確かに貧しい家だと思う。都会になんて言った事もないし。学校もこんな田舎にもあるが、お金が払えないのだ。だからこうやって生活する為に働いている。そんな事でいつもお父さんは謝る。小さい弟にさえ。
田植えで泥だらけになった私達は、お母さんの声で家に帰って行く。


「おい、これを見てみろ!」
お父さんが私達の部屋に入り無理矢理起こす。朝刊の記事を見せてきた。
「えっと?」
記事は難しい言葉も使われていたが、なんとか読んでみる。すると、

《勇者様の公爵領住人を募集中。階級や職業などは問わない。このハガキを出し、当選した者には迎えが来る。応募を是非。》

「……お父さん、これに出すの?」
最近有名になった勇者様、エトワール公爵様。素晴らしい教養があり、右に出る者はいないと言われている。
「あぁ、支援もしてくれるみたいだ。学校にも通えるぞ。」
お父さんは応募する気満々だ。しかしだ、こんな下級農民が当選する可能性はゼロに近い。
「無理だよ、お父さん。沢山の人が応募するんだから当選出来ないよ。」
「やってみる価値ぐらいはあるだろ?当たらないなら当たらないでいい。少しの確率も信じてみよう。」
お父さんにお母さんも説得されて、みんなで応募する事にした。



「お迎えに上がりました。」
朝、玄関に王都の兵隊さん達がいた。一体何の騒ぎだと近くの家の人々も騒いでいる。
「えっと、何の御用でしょうか?」
恐る恐るお父さんが兵隊さんに尋ねる。
「先日、公爵領の住民募集に応募していただき、当選致しました。それでお迎えに上がりました。」
応募に……当選した?一瞬意味が分からなかった。しかし、お父さんは急いで準備をしろと言ってきた。夢ではないのか、そう思って頰を抓るが痛かった。
「夢じゃない……!」


準備が終わり、私達は兵隊さんが用意していた馬車に乗り込む。すると急に窓の外が暗くなった。
「勇者様が開発した、『ワープ』です。魔術師が使える転移魔法をこの水晶に魔力を込める事で発動致します。しかしながら、魔術師一人分の魔力は使うようです。」
兵隊さんは魔法の事について話しているみたい。学校に行っていない私は訳がわからなかった。



勇者様が目の前にいる!凄いことだ。兵隊さんに広がった場所に連れてこられ、真ん中には大きな乗り物があった。
『以上で説明を終わります。』
お父さんやお母さんは勇者様のお話をしっかりと聞いていたみたいだけど、私はずっと見とれていた。
「ほら、乗るわよ。」
人が動き始めて、お母さんに言われる。ワクワクするなぁ。


この乗り物の中は凄くて、動く人形さんが私達に食べ物や飲み物をくれた。とっても美味しくて、食べた事の無いものばかりだった。



乗り物から降りて、人形さんに案内されたのは家だった。二階建てで、庭もあった。中を見るといろんな家具が置いてあって、変な物もあった。後は自分の部屋もある。貴族様ぐらいしか自分の部屋を持たないのに。
「今日から此処が俺たち家族の家だ。」
お父さんに言われて、家族全員、頷いたのだった。
明日も楽しみだな。



あとがき
はい、番外編です。公爵領に住む小さい女の子の視点です。え?幼女趣味?いえいえ、紳士の嗜みです。まぁ、自己満の番外編なので駄作というやつですね。
雑談が始まりますが、この間某スマホカードゲームをやったんですよ。ログインしたらね、なんかプレゼントされてたの。それがね最高レア度カードだったんだけど、欲しくはなかった。嬉しいんですけどね?でもあっちが欲しかったんですよ。よりにもよってねぇー、某ネズミ帝国の人魚姫のヴィランみたいなやつが来るとは思いもしませんでした。天使が欲しかった。後、ルームマッチをしたい。青い鳥でも始めようかなとは思うんですけどね。面倒なんですよね。
長くなった雑談でしたね。え?リア友がいないのかって?いないですよ、そりゃあね。
前置きは置いておいて、ここまで読んでいただき有難う御座いました。これからも誠心誠意取り組んでいきますので今後ともよろしくお願いします。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.64 )
日時: 2018/03/23 21:10
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第59話 議会

現在俺は王城の会議室みたいなところで議会が行われている。議題は戦争の事についてだ。
「現在、獣国と同盟を結んでおり、戦争回避は難しいと思われます。」
議長である貴族が喋る。これがこの国の現状。魔法帝国は獣人差別も無いしな。仲よさそうだ。
「しかしだ、国民の安全はどうなる?我々は国民第一である。国民を守る為に私は反対だ!」
声を荒げる貴族達が多い。さっきの意見に賛成派の人が多いんだなぁ。
「勇者様はどう思いますか?」
議長に急に振られる。いや、俺に振らないでよ、戦争なんて知らないし。ま、向こうの世界の模範に倣うか。
「そうですね……、国民を危険に晒すわけにはいかないでしょうから、戦争に参加はせず、獣国に物資などの支援をするのは如何でしょうか?これならば同盟国として最低基準を満たしてはいると思われます。」
多分物資で大丈夫だろう。支援ならば一応戦争に参加はしているが実質してないも同然だし。
「流石勇者様です。確かに支援ならば国民を守れますね。」
まぁ、被害を受ける事はこの時代の技術なら出来ないだろう。戦闘機とかなら別だ。条約とかもなさそうだし。あったらあったで面倒だ。
「しかし、あの聖国の事です。何か兵器を隠し持っているのでは?昔の戦争でも勇者達を召喚し、その力で勝利したと言われています。」
うわ、外道ね。隠し持つとか、って言いながらこっちも持ってますが。最悪俺が対処する方法もあるな。暴食とかで喰らえばいいし。核兵器だって関係無い。
「最悪の場合、私一人で相手する事も可能です。」
一応案として提案しておく。
「いえ!勇者様はこの国を救って下さいました。危険な目に合わせるわけにはいきません!」
貴族達から反対される。それは死ぬ前提かな?勝手に殺さないでくれよ。
「まぁ、最悪の案です。まずは戦争に実質参加しないようにすれば大丈夫ですよ。私の魔道具マジックアイテムで対応も出来ます。」
ズルしてます。神の力使ってるし。てへぺろ、って巫山戯てるな。
「では、この物資を支援するという事で可決します。異議は?」
議長がまとまる。異議はないみたいだ。
「これで議会を終了します。」
そうやって議会は終了した。

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.65 )
日時: 2018/03/24 14:25
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第60話 偵察

ボォー、とホルンのような音が鳴る。空高く響くもんなんだな。
現在俺は聖国の王都の上空にいる。一応観察だ。情報提供も獣国にするつもりだし。
街はホルンの音が鳴ると歓声に満ち溢れる。早朝だというのに、王城の前の広場は人で溢れている。栄誉のためなどと叫んでいる人達も多い。
「昔のナチ党とかこうだったんだろうな。」
祖国の栄誉の為の戦争。これが俺の世界での悲劇を起こした。何にもならないのにな。勝利しようが敗北しようが未来の経済は明るくないし。
「あれって、勇者?」
王城から軍事パレードが始まり、最初に俺に似た風貌、日本人のような見た目の人間がぞろぞろ、30人くらい出て来た。
「確か勇者召喚出来るんだもんな。鑑定するか。」
一応、簡易鑑定、つまり職業だけなど限られた情報を集める。見すぎるとスリーサイズが表示される事もある。怖い怖い。

種族 日本人 転移者
職業 勇者

全員、この表示にされていた。つまりは、俺がいた世界の人間だって事。召喚されて来たのか。そして戦争へ投入される。死なないのだろうか。ステータスは高いから大丈夫そうだが。
「勇者はどう思うんだか。」
心境は如何なのだろうか。あそこの中に厨二がいたらチート無双でも思いつくかもしれないが、普通の子だったら、人を殺すのに躊躇いぐらいはあるのだろう。平和主義の世界で暮らしていて、いきなり投げ出された場所は命なんて軽々しい世界。厳しいだろうな。
「……何とか生き延びてほしいな。」
助ける気にはならない。この世界に来たのであれば自分で切り開かなければいけない。それがこの世界の掟なのだから。
「他には……、変な兵器あるなぁ。」
某半島の北側にある国の軍事パレードだな。軍隊の行進があり、後ろに兵器が続いていく感じ、似てますね。兵器と言ってもハイテク製品ではなく、石を投げ飛ばすカタパルトみたいなやつとかが多い。
「あぁ、前線も見ないとな。」
前線も見にいくので、此処にはドローン(透明な)を置いておく。スター◯ォーズみたいなあれなのでシューティングゲームの打つやつぐらいは出来る。街一つなら破壊可能でもある。あと隠蔽されているので見つからない。絶対にだ。
俺は前線へと全速力で向かう。



「未だ動きは無いか。本陣は構えてるみたいだけど。」
平原で戦うらしい。そこに本陣を構えようとは思わない。普通ないでしょう。バレるし。形式が古すぎる。本当に中世だな。
「平原だから見渡せるな。お、ワイバーンもいるな。って事はライダーか?空中戦に持ち込むのか。」
ドラゴンの中でも1番弱いワイバーン。しかし、この世界での最強種のドラゴンなのだ。そこら辺の人間では勝てない。ギルドのSランクぐらいまで上がれば一人で倒せるみたいだが。
「ま、煌龍とか白銀龍とかなら1発なんだろうけど。」
そもそもドラゴンの頂点に立つ天龍だ。最下級とは相手にならないだろう。
「兵の数は……、25000ぐらいか。この後援軍も来るんだろうな。」
獣国の数は把握してないが多い方なんじゃないだろうか。
「さて、此処にもドローン設置して置いて、監視しときますか。」
ドローンを10台設置しておく。勝手に動いてもくれるし、透明だし。ほんとに便利。どの家庭にも一台は欲しい一品です。
「さてさて、まずは報告報告と。」
俺は魔法帝国に戻っていく。


あとがき
60話まで来ましたね。いやいや、長続きしました。いよいよ戦争開戦。結構戦略とか好きなんですよね。頭使うから楽しい。これから魔法帝国がどのように戦争と関わるのか、勝利を手にするのは獣国か、それとも聖国か、はたまた他の国なのか……楽しみですね。え?書けよって?いや、ちょっと眠いんで寝てからで。
次回もお楽しみに!

初めての彼女は異世界で 《コメント募集中です》 ( No.66 )
日時: 2018/03/25 10:33
名前: こあく (ID: 9Zr7Ikip)

第61話 聖国VS獣国(1)

俺は偵察が終わった後、直ぐに王城に戻る。そして報告をしておく。結構平和だったね。
「勇者様、申し訳ありませんがこの情報を獣国の王に伝えてくれませぬか。魔法帝国の皇帝としてお願いします。」
いや、まず何処にいるか分からないんですが。
「分かりました。しかし、私は獣国に行った事は御座いません。王様が何処にいるのかお教え下さい。」
うん、獣国の王都が何処にあるのかも知らないので。
「いえ、勇者様が見た獣国の本陣におります。私からの伝言といっていただければ入れると思います。証明書もお持ち下さい。」
王様から証明書を貰う。判子が押してあるのか。そうだな、勇者らしく行くか。それで信じていただこう。
「では、報告をしてきます。」
王城から外に転移して、俺は煌龍と白銀龍、リルといった魔獣達を呼び出す。煌龍に跨り大空という大海原を舞台に堂々と飛ぶ。威圧も大切。



本陣に着き、兵隊がいる門のところに行く。
「貴様は何者だ!証明書を見せろ!」
兵隊達が武器を構える。はぁ、煌龍達は大きいままなので威圧を放つと2人の兵隊は後ろへと退く。
「これが証明書だ。魔法帝国の皇帝の使いで来た。獣国の王の所まで通していただけぬか。」
証明書を兵隊の顔の前に出す。早くして欲しい。
「か、畏まりました。ではこちらへ……。」
煌龍達は空から見ているという事で飛び立った。リルは相変わらず俺の背後に立っている。結構でかいが、少し小さめにしてくれている。
兵隊達は怒らせないようにしているのか俺達に近づこうとしない。ま、俺も剣を背中に背負ってるからな。ソードライフルもローブの中に隠してあるし。
「此処です。失礼します。閣下、魔法帝国の使いの者が来ました。」
大きなテントに着いた。本陣だな。兵隊は中に入り確認をした。
「良い、通せ。」
重々しいとした声が聞こえる。低く、マッチョでダンディーな漢みたいだな。
「では、どうぞ。」
兵隊からテントの中に通される。中は見た目よりも倍広く、黒がベースで金の彫刻が施された重々しい雰囲気の家具が多い。暖炉もある。
「そなたが魔法帝国の使いの者か?」
この部屋の1番奥にライオンの獣人が1人、玉座に座っていた。きっと彼が王なのだろう。その彼が質問をしてきた。
「はい、そうです。ユウキ・カトウ=エトワール公爵と申します。」
まずは玉座の前に跪く。まぁ、名は名乗っておく。階級も名乗っておくべきだと王様にも言われたし。
「今日は聖国の現在の動きについて報告しに参りました。」
ドローンという現代の科学技術を持ってすれば簡単な事なのです。それに魔法も加わると近未来までいけるな。ス◯ーウォーズになるよ。
「成る程、戦争は参加はしないが情報提供と物資の支援をするとはこういうことか。」
ま、そういう事ですよ。物分かりが早くて良かった。この人、こっちの世界にいれば戦略家になれたよ。
「あぁ、紹介が遅れたな。私の名は
レオン・キマイラ=フェンリルだ。宜しく頼むぞ。」
あれ?リルさん、なんか名前が付いてますけど。外にいるリルにテレパシーで尋ねる。
『昔、この地に住んでおりそこの獣達に知恵を与えたのです。王に君臨したのが獅子で、きっと末裔なのでしょう。確かこの国の名前もフェンリルみたいです。』
いや、リルさん、さらっと言ってるけど凄い事だからね、俺はこの国の祖の神獣を従えてる事になっちゃうよ。
『この事を公表すれば間違いなくこの国の王になれますよ。』
おぞましいな。少しは自重しよう。面倒な事になる前に。
「どんな情報があるのか見せてくれぬか。」
王に聞かれる。分かりましたと返事を返し、俺はローブの中に手を突っ込み、インベトリーを発動する。盗まれたらやだからね、一応常人の振りもしておく。インベトリーも持ってる勇者は使えるとか思われたら大変だし。
「これが昨日までの聖国の動きになります。」
俺は報告書を手渡す。聖国はもうそろそろ奇襲やらをかけてくるからだろうな。だからこそ準備をしていただきたいな。同盟国が負けたらこっちにも被害も受ける。ならば最大限活用させていただこうという貴族達の思惑だ。ま、俺も利用されてるんだろうな。
「現在はまだ動きは……「陛下!聖国軍が動き出しました!」何!」
急に兵士が飛び込んで来て、聖国が動き出した事を叫んだ。ドローンの反応もした。ふーん、やるね。奇襲か。不利だろうなぁ。相手は獣人だ。夜行性の獣人を相手にするなど大変極まりない。
「そうか……、ならば我々獣人の力を見せてやろう。」
意気込んでますねぇ。よし、ならば俺も加勢しよう。え?勿論バレないようにね。